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阿蘇の青空をそのまま飲む。井田商店の“青空ソーダ”で、時間がゆるむ午後【熊本県阿蘇市】

ローカリティ!

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井田商店のドアをくぐると、まず迎えてくれるのは、古き良き時代の記憶を帯びた木のカウンター。祖母の手により使い込まれたそのたたずまいは “物語を語る家具” のようで、そこでお金を支払うだけで、過ぎた時間と風景がふっと体になじむような安心感がある。

かつては酒屋で、タバコも扱っていたというこの場所――そんな歴史の層を抱えた場所だからこそ、今この空気を通して「今」の物語を語っている。

注文した「青空ソーダ」は 450 円。透明なカップに注がれたそのソーダは、まるで秋の空のかけらを溶かしたかのようにきらきらしていた。ひんやりした炭酸の泡が触れるたび、舌の上に “高原の空気” のような清涼感が広がる。甘さはやわらかく、後味にほのかな余韻が残る。

一口ごとに、頭の中に浮かぶのは阿蘇の空、草原、風。実際には目に映るのは手の届くコップの中身なのに、その小さな水面を通じて“あの広い世界”が胸に広がるような錯覚。ほんの少しエモーショナルな、その黄昏前の青空を飲んでいるような気持ちになる。

店主さんやスタッフも、すべてがフレンドリー。氷を袋から取り出すときの音、カウンター越しに渡されるコップ、注文をさばく合間のささやかな会話――それらは “飲む” 以外の時間をも濃くする。客はみな、それぞれの速度でここを味わっている。

Instagramには、店内の一角や古い看板、かすれた文字、縁側風の席などをとらえた写真が並んでいる。どれも、この場の空気感を切り取ろうとしている。見ていると“あ、あそこに座って、あのソーダを飲みたい” という気持ちがじわじわわいてくるだろう。

もしあなたが熊本を訪れるなら、観光の合間にこの空間を訪れてほしい。コースの途中で立ち寄って、「青空ソーダを飲む時間」をはさむだけで、その日の旅の記憶に“光の一滴”が刻まれるはず。

情報

井田商店
井田商店インスタアカウント名:ida_shoten
場所・概要:熊本県阿蘇市一の宮町、通称「古城ヶ鼻(こじょうがはな)」にある小さな商店

佐藤琢朗

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