【倉敷市】コーヒーモストロ 〜 移住相談もできる、元社会人相撲チャンピオンが営むおいしくて楽しいコーヒー専門店
コーヒーモストロは、2024年11月に真備町でオープンしたスペシャルティコーヒーの専門店です。
お店の奥には大きな焙煎機が設置されており、店頭にはオーナーが焙煎したさまざまなコーヒー豆が並んでいます。また、店内はレトロな雰囲気のおもちゃやガシャポンが置かれ、遊び心をくすぐられる空間です。
コーヒーを味わうだけでなく、移住相談もできる場所を目指す「コーヒーモストロ」を紹介します。
「コーヒーモストロ」について
「コーヒーモストロ」は2024年11月に真備町有井にオープンしたコーヒー専門店です。
オーナーの赤澤徳彦(あかざわ のりひこ)さんが焙煎したコーヒー豆を購入できるほか、店内でドリンクとスイーツを楽しめます。
オープンのきっかけ
赤澤さんは学生の時から相撲(すもう)をしており、会社内で相撲部を立ち上げる企業に誘われ東京で就職しました。
所属していた実業団では東日本のチャンピオンになった経験もあるそうです。
相撲部が解散したあともそのまま働き続けていましたが、いつか岡山に戻りたいと思っていた赤澤さん。
2022年1月、異動のタイミングで辞めるなら今かなと決意します。
コーヒーが好きだったこともあり、コーヒー屋を開業してみたいと奥様に相談しました。
「お互い好きなことやるのもいいよね」という奥様の後押しもあり勢いで退職、開業の準備を始めます。
独学で勉強を始めるなか出会ったのが、東京で堀口珈琲研究所を主宰する堀口俊英(ほりぐち としひで)氏です。
赤澤さんは堀口氏に、「僕は岡山でコーヒー屋をやりたいです。素人ですけどできますか」と聞きに行きます。
堀口氏から、「できるよ。まずはコーヒーの味を取れるようになりなさい。ただ、原料であるコーヒー豆の品質を見分ける力をつけて。そのために2年は通って」とアドバイスされ、2年半通いました。
そして、毎回いろいろなコーヒーを飲んで、生豆の良し悪しを判断するスキルを身につけていきました。
お店の雰囲気
コーヒーモストロの店内は、テーブル席3席と窓際のカウンター席6席の計9席でゆったりと過ごせる空間です。
キッチン周りにはレトロなおもちゃや飾り付けが、レジ前にはキャラクターのステッカーが入ったガシャポンが置かれています。
ガシャポンはあたりが出たらコーヒーチケットがもらえるため、子どもから大人まで楽しんでしてくれるそうです。
コーヒーモストロのメニュー
コーヒーモストロのメニューを紹介します。
コーヒーモストロで提供されるコーヒーは、深煎りがメインです。
2025年5月時点のメニュー・税込価格です
深煎りは苦味が強いものが多いですが、コーヒーモストロの深煎りは苦味がありながらも雑味が少なく、すっきりと飲みやすいのが特徴です。香りも良く、飲み終わりまで楽しめます。
コーヒーと合わせて楽しめるよう、赤澤さん手作りのスイーツもあります。
取材時は期間限定の抹茶チーズケーキを食べました。
しっとりと密度の濃いチーズケーキで、抹茶の香りが口の中に広がります。甘さは控えめで、コーヒーとの相性もばっちりです。
抹茶チーズケーキは2025年5月6日までの期間限定でした
ふだんはプレーンのチーズケーキやしっかりとした食感のイタリアンプリンもあり、つい迷ってしまいます。
キャラクターについて
コーヒーモストロで印象的なのは、外観やパッケージに登場するキャラクターです。
イタリア語でモンスターを意味するモストロを店名にしていたので、「モスボー」と名付けられました。
お客さんが親しみやすいキャラクターとして、レトロアメリカンなイメージかつぱっと見てコーヒー屋とわかるキャラクターを赤澤さんがスケッチ、イラストレーターに仕上げてもらったそうです。
店頭に並ぶコーヒー豆のパッケージを見ると、モスボーの色がパッケージごとに変わっています。コーヒー豆の産地の国旗に合わせた色にしているそうで、お客さんを楽しませたい赤澤さんのこだわりがうかがえます。
コーヒー専門店でありながらさまざまなことにチャレンジしている、コーヒーモストロのオーナー赤澤さんに、こだわりや想いを聞きました。
コーヒーモストロ オーナーの赤澤徳彦さんにインタビュー
コーヒーモストロのオーナー、赤澤さんにコーヒーのこだわりや地域貢献に対する想いを聞きました。
コーヒーのこだわり
──提供しているコーヒー豆のこだわりを教えてください
赤澤(敬称略)──
生豆の品質の良し悪しをチェックするスキルを生かして、原料そのものがいい豆を選んで仕入れています。
コーヒーモストロで扱う豆は、ほとんどがウォッシュドという精製方法を使用しています。
ウォッシュドとは、コーヒーチェリーという木の実の状態から、生豆を取り出す過程でコーヒー豆を洗ってから乾かす方法です。
コーヒー豆にもテロワールと呼ばれる産地ごとの味や香りの個性があります。
ウォッシュドだと産地の土壌や気候が生み出す風味を感じられやすいです。
他にもコーヒー豆を洗わないナチュラルという製法や、発酵させて精製する豆もあります。
産地の良さを引き出して、いろいろなコーヒー豆の味わいを楽しんでほしいです。
──焙煎で大切にしていることはありますか?
赤澤──
豆のポテンシャルを引き出してあげるような焙煎を心がけています。
コーヒー豆の種類によって、深く焙煎すると味が抜けてしまったり逆に深く焙煎したほうがおいしかったりとさまざまです。豆の密度や硬さを考えながら、焦げないように火加減やガスの強さに気をつけて温度管理をおこないます。
焙煎したあともそのまま袋詰めして出せるわけではありません。
どうしても一定数悪い豆が入っているので、それを手ではじいていく作業が発生します。
それをいろいろな種類何kgも何kgもやっていくと、あっという間に2〜3時間はたってしまいます。
焙煎の技術は、これからもどんどんスキルアップしていきたいです。
スペシャルティコーヒー×地方創生
──SNSに書いてある、移住相談ができるとはどういうことでしょうか?
赤澤──
地域活性化として、移住相談ができるコーヒーショップというコンセプトを掲げています。
真備町は水害があってから定住人口が1割ほど減っていて、過疎化が進んでいます。真備町を軸に、倉敷市に移住したい若い人を呼んで活性化したいです。
事業を始める前、くらしき移住定住推進室へ移住相談ができるお店をやりたいんですと伝えに行きました。
想いを親身に聞いてくれて、連携できることがあればやりましょうと話しているので、移住を希望する人には行政の相談窓口の担当者を紹介できます。
移住に対するハードルを下げたいと考えていて、たとえば移住に興味がある人が役所に行っていきなり必要な手続きはなにかを相談するのはハードルがあると思うんです。
倉敷に移住したいなと思う人が、まずお店に来てもらえると僕がUターン移住してきた経験をもとにお話しができます。
先日は大阪にお住まいのかたが訪ねてきてくれました。
農業に興味があると伺ったので、「自分のつてで農業をしている人がいるので、仕事の面では話を聞けますよ」とお伝えしました。
移住したいかたと行政をつなぐ役割ができればいいなと思います。
これからの展望
楽しい・おいしい・移住の三つのコンセプトを柱に続けていきたいです。
まずは、もっと多くのかたにコーヒー豆を届けていきたいですね。
いろいろな種類のコーヒー豆がそろっているので、お客様が購入しやすいよう通販の体制を整え始めています。カフェやレストランへ卸したり企業のオフィスコーヒーとして導入してもらったり、たくさんの場所でモストロのコーヒーを楽しんでもらいたいです。
次に、移住相談もSNSで定期的に発信するなど、積極的に進めたいと考えています。
たとえば、毎週曜日を決めて移住相談ができるようにしていきたいです。
真備町は、復興としては一区切りついている段階だと思います。ここからさらに発展していければと思い、フットワーク軽く積極的に動いていきたいです。
おわりに
オーナーの赤澤さんやキャラクターのモスボーなど、親しみやすい雰囲気であふれた店内。
すっきりと飲みやすいコーヒーと合わさって、気軽に通えます。
終始楽しそうに話す赤澤さんからは、お客さんへのおもてなしの気持ちと地域貢献への強い想いが感じられます。
手作りのスイーツと一緒に一息ついたり、個性豊かなコーヒーからお気に入りのコーヒー豆を選んだりと、ほっとする時間をお楽しみください。