沖縄にしかないチェーン店へ行きたい。独自のMIXカルチャーを楽しめる店5選
“ちゃんぷるー文化”といわれるように、アメリカや中国、日本とさまざまな要素をミックスして独自の文化を構築してきた沖縄。そんなイズムを感じられるぴったりな場所・ローカルチェーン店をめぐり、ここだけの魅力を堪能しよう。
ジャンクな個性がクセを呼ぶ、やみつきローカルハンバーガー『A&W(エイアンドダブリュ)』
薬草を調合した個性的な味わいがたまらない炭酸飲料・ルートビア。そのスタンドとして、アメリカ・カリフォルニア州で1919年にスタートしたのが『A&W』だ。
沖縄では、日本本土復帰前の1963年に1号店・屋宜原(やぎばる)店が誕生。当時は基地内にファストフード店がなく、ドライブインレストランとして人気を呼んだ。
いまも日本では沖縄のみの展開で、地元では“エンダー”の通称で愛される、まさにローカル・ファストフード店。
アメリカンダイナーを彷彿とさせる店内が人気を集める店舗もあるが、ここ名護店では、マダムがお茶会をしていたり、高校生が放課後デートをしていたりと地元民の憩いの場としても活用されていて、ローカルな雰囲気を楽しめる。
2025年7月25日には『JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア オキナワ)』が開業し、ますます注目を集める北部エリア。許田ICからアクセスしやすい立地で、24時間営業・年中無休(!)の名護店は、北部観光の拠点となりそう。
新鮮野菜もたっぷりのモッツァバーガー、ルートビアフロートなど、ジャンクフードが食欲をそそる。テイクアウトして近くのビーチで食べるのも、おすすめの過ごし方だ。
『A&W 名護店』店舗詳細
A&W 名護店
住所:沖縄県名護市東江5-16-12/営業時間:24時間営業/定休日:無/アクセス:那覇空港から車1時間10分
ジャンルレスな商品に囲まれる、目移り必至スーパー『Jimmy's(ジミー)』
沖縄戦後に米軍基地で働き、アメリカ文化にふれた創業者の稲嶺盛保(いなみねせいほう)さん。
「基地内で体感したアメリカの食文化を沖縄の人々にも味わってほしい」という思いから、1956年に輸入雑貨の販売店として始まった『Jimmy’s』。店名は、稲嶺さんの愛称が“ジミー”だったことに由来する。
製造・販売を自社で一貫して行うスタイルは創業から変わらず、なかでも県内最大級の那覇店は、一日中いても飽きないほど。
ショップの見どころは、ホール買いでも良心価格のケーキやパイ。地元では記念日の食卓に花を添える存在としておなじみだ。
デリカテッセンには、県産の若鶏を焼き上げたガーリックチキンから沖縄料理までお総菜がずらり。購入してホテルでゆっくり味わうのも一つの楽しみ方。
那覇店にはビュッフェレストラン「アイランドグリル」を併設。和・洋・中の本格メニューがリーズナブルにいただける。沖縄の子どもたちにとって「『Jimmy’s』で外食」は大歓声のイベントなのだ。
異国の雰囲気をまといつつ、沖縄独自の素材と味わいを取り入れたオリジナル商品が魅力の『Jimmy’s』。迷いながらの買い物を体験したい。
『Jimmy's 那覇店』店舗詳細
Jimmy's 那覇店(ジミー なはてん)
住所:沖縄県那覇市銘苅3-8-5/営業時間:9:00~21:00/定休日:無/アクセス:沖縄都市モノレール古島駅から徒歩20分
定番アイスチェーンの本店で予想外のドリーム体験を『BLUE SEAL ICE CREAM(ブルーシールアイスクリーム)』
アメリカで考案されたコクのあるレシピをベースに、高温多湿な沖縄に合わせてさっぱり口どけよく仕上げたアイス。定番のバニラやチョコをはじめ、紅イモや塩ちんすこう、黒糖など沖縄の素材を使った豊かなフレーバーもウリなのが『BLUE SEAL ICE CREAM』だ。
1948年、アメリカに本社を置くフォーモスト社が米軍関係者へ乳製品を供給するため、ミルクプラントを設立。1963年に現在本店がある浦添市牧港(まきみなと)に拠点を移し、そこから沖縄のアイスブランドとしての歴史が始まった。
2024年に大規模リニューアルした牧港本店は、旧店舗のアメリカンダイナーな雰囲気を残しつつ、沖縄要素もプラス。2階フロアにはヒストリーコーナーやシアタースペースを備え、スケールアップした。
牧港本店限定のパーティーサンデーは、好きなアイス7つにソフトクリーム1つを選べて2500 円。複数名でシェアしていろんな味を楽しめる、まさに夢のようなメニューだ。
旅に欠かせないローカルなおやつタイムで、大切な人とともに甘い時間を分け合おう。
『BLUE SEAL ICE CREAM 牧港本店』店舗詳細
BLUE SEAL ICE CREAM 牧港本店(ブルー シール アイス クリーム まきみなとほんてん)
住所:沖縄県浦添市牧港5-5-6/営業時間:10:00~22:00/定休日:無/アクセス:那覇空港から車30分
タコライス発祥の“キンタコ”。おもちゃもかわいい新店へ『 KING TACOS(キング タコス)』
沖縄のソウルフード・タコライスの元祖として知られる『キングタコス』は、1984年に金武町(きんちょう)で創業。普天間(ふてんま)店が2022年に移転リニューアルしたのが、こちらの喜友名(きゆな)店。
他店とはひと味違うスタイリッシュな店内は、タコライスフリークで常ににぎわう。行列が苦手な沖縄県民も、観光客に交じって通うほどの人気ぶり。
「せっかくなら雰囲気を味わってほしい」という店主の思いから、イートインでお皿での提供は喜友名店のみ(ほかの店舗はテイクアウト用容器)。
野菜もタコミートもチーズもたっぷりで、お腹も心も満ち満ちる。
『KING TACOS 喜友名店』店舗詳細
KING TACOS 喜友名店(キング タコス きゆなてん)
住所:沖縄県宜野湾市喜友名1-26-7/営業時間:10:00~22:00/定休日:無/アクセス:那覇空港から車40分
“PIZZA HOUSE”だけど、ピザ以外もおすすめよ『PIZZA HOUSE Jr.(ピザハウスジュニア)』
1958年、洋食店がまだ少なかった沖縄に、アメリカンダイナーの先がけ的な存在として「PIZZA HOUSE」がコザ市(現・沖縄市)に誕生した。その味を気軽に食べられる店として生まれたのが『PIZZA HOUSE Jr.』。
米軍基地のレストランから受け継いだ本場の味をリーズナブルな価格で楽しめると、40年以上県民に愛されてきた。
手のひらサイズのライスコロッケは、県民にとって「学生時代によく食べたなあ」なんて味。
クリスピー生地タコスを沖縄で初めて販売。ほかにもタコスピザなどのオリジナルメニューも必食だ。
『PIZZA HOUSE Jr. 港川店』店舗詳細
PIZZA HOUSE Jr. 港川店
住所:沖縄県浦添市港川254/営業時間:11:00~21:00/定休日:無/アクセス:那覇空港から車25分
取材・文=花城綾子 撮影=小橋川恵里奈
『旅の手帖』2025年6月号より