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島寿司、くさやなど八丈島の郷土料理を島焼酎と一緒に。立川の居酒屋『佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)』

さんたつ

佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)

『佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)』は立川駅からほど近い路地で、地元出身の兄弟が切り盛りする居酒屋だ。兄弟ゆかりの地である八丈島の料理や島の焼酎、趣向を凝らした和の一品料理など、立川エリアでは珍しい料理の数々が味わえる。

佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)(ジャパニーズキュイジーヌ サトウ)

立川出身の兄弟が営むアットホームな居酒屋

兄の佐藤慶太さん(右)と弟の亮太さんが役割分担しながら店を切り盛りする。

立川駅の南口を出て約3分歩くと、老舗の飲食店が集う路地がある。このツウなエリアで2013年から営業する『佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)』は、立川出身の佐藤慶太さんが弟の亮太さんと共に切り盛りする居酒屋だ。

学生時代のアルバイトから始まり、和食店や寿司店などで経験を積みながら料理人の道を歩んできた慶太さん。

「僕と弟が独立を決めたタイミングが合ったので、生まれ育った立川で一緒に店を始めることにしました。弟はもともと飲食店でホールスタッフをしていたから接客は弟にまかせ、料理は僕が担当し、仕込みは一緒にしています」

店内はモダンな雰囲気。仲間とのカジュアルな飲み会から大切な人とのデートまで、多様な食事シーンとマッチする。

温かみのある木の扉を開くと、落ち着きのあるウッディな空間が待っていた。和食の居酒屋というよりも、洋食のバルといったイメージが近いおしゃれな店内だ。キッチンをぐるりと囲う形でカウンター席が充実しているため、一人でもふらりと立ち寄れるのがうれしい。

店の壁には登山ツアーやマラソン参加者を募るチラシが。お客さんとも温かい交流をしていることが伝わり、ほっこりとした気持ちになる。

いつも常連でにぎわうほか、店の近くに住む佐藤さん兄弟の親戚が遊びに来ることもしばしば。慶太さんは「僕らは4人きょうだいなんですが、アルバイトの子が入れないときには妹が手伝いに来てくれることもあります」とニコリ。そんな地元ならではのアットホームな雰囲気も魅力のひとつだろう。

「島寿司」「くさや」など八丈島グルメが勢ぞろい

東京から飛行機で約1時間の距離にある八丈島は、佐藤さん兄弟の母の出身地で、いまも祖母が住んでいる島。幼い頃から何度も遊びに行っていた思い出の場所だ。『佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)』では、そんな八丈島の郷土料理や島ならではの食材を使った創作和食を、島焼酎とともに味わえる。

慶太さんは「八丈島は“ひょうたん島”と呼ばれ、2つの火山からできた島。溶岩でつくられたという土地柄もあり、収穫できる農作物が限られているんです」と、八丈島のことを話してくれた。島の周辺で手に入る限られた食材を住人の知恵でおいしい料理にし、大切に受け継がれてきたのが八丈島の郷土料理なのだろう。

海に囲まれた八丈島では、魚介を使った料理が欠かせない。中でも代表的なのが島寿司とくさやだ。

島寿司1貫300円~(手前から真鯛、しまあじ、真鯛、かつお、かんぱちの5貫で1500円)。

島寿司は、醤油のタレで漬け込んだ寿司種を甘めのシャリに合わせるのが特徴。魚介の旨味を引き立てる醤油タレの塩気、シャリの甘みのバランスが絶妙だ。わさびではなく和からしをつけて食べるのも面白い。

「青むろあじ」といった島ならではの魚介が味わえることに加え、豊洲や築地から仕入れた鮮度抜群の魚介を“島スタイル”で堪能できる。

香ばしく焼き上げた、青むろのくさや1300円は店のイチオシ。

昔から島の保存食として親しまれていたくさやは、近海でよく取れる青むろあじを、魚の旨味成分が溶け込んだくさや汁と呼ばれる秘伝の塩汁に漬け込み、乾燥させたもの。

独特の匂いと濃厚な魚の旨味、肉厚でジューシーな食感が酒の肴にもってこい。唯一無二の味わいは一度食べたらクセになり、リピートする人も多いやみつきの珍味だ。

明日葉の天婦羅1000円は2~4人前。一皿を仲間とシェアするのもよし。

もうひとつ、八丈島の家庭料理としておなじみの食材が明日葉(あしたば)。とにかく生命力が強く“芽を摘んでも明日にはすぐに新しい芽が出てくる”という意味で名付けられたのだとか。

明日葉が持つ特有のさわやかな風味とほのかな苦味は、これもまたお酒との相性ぴったり。島の料理を網羅したいならぜひ味わっておきたい。

好みに合わせて選べる、個性豊かな味わいの焼酎がずらり。

お酒はビールやサワー、カクテルなど定番は一通り揃っているが、やはり堪能しておきたいのが島の焼酎だろう。芋焼酎や麦焼酎など10種類ほどの用意があり、八丈島はもちろん青ヶ島など他の島の焼酎も見逃せない。

焼酎のほかにも和食によく合う日本酒や、女性には八丈島のパッションフルーツを使ったサワーも人気なのだとか。島の郷土料理と合わせて島づくしの夜を楽しもう。

アイディアが光る創作料理も豊富

お得なお刺身盛り合わせ 一人前 1500円~(写真は4人前)は、宴会の主役になってくれる(写真=店舗提供)。
ボリューム満点なのにヘルシーなサラダピザ2000円(写真=店舗提供)。

島の郷土料理以外にも、メニューには和食を中心に、洋のエッセンスを加えた一品まで豊富な創作料理が並んでいる。趣向を凝らした一品料理は、都度メニューの入れ替えもあるためいつ訪れても飽きない。

仲間と一緒にシェアしながら、たくさん注文してみよう。

レストラン風のおしゃれな外観に、味わいのある提灯が居酒屋らしさを演出している。

「八丈島はいわゆる南国のビーチリゾートのような雰囲気とは違って、黒潮の荒波や火山島ならではの溶岩など、ダイナミックな景観が多いんです。最近ではそういう独特な雰囲気にひかれて、スキューバダイビングや登山に来る人が増えているみたいですよ」と慶太さんから島の興味深いお話を聞いた。

八丈島の大自然を思い浮かべながら郷土料理を堪能すれば、俄然(がぜん)島への興味がわいてくるはずだ。

佐藤(JAPANESE CUISINE SATOH)(ジャパニーズキュイジーヌ サトウ)
住所:東京都立川市錦町1-1-24 永島ビル1-C/営業時間:17:00〜23:30LO/定休日:日(祝日の場合は営業、月休)/アクセス:JR立川駅から徒歩3分

取材・文・撮影=稲垣恵美

稲垣恵美
ライター
北海道出身のお散歩・お出かけ好きライター。晴れた日はどこかに出かけたくてソワソワしだす。フリーペーパーの出版社勤務後、現在はフリーランスで活動中。

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