男性育休の促進、3分の2がの企業が実施済みも、4月義務化の「数値目標」は3割が未対応
jinjer(東京都新宿区)は5月23日、企業の人事・総務担当者を対象に「男性の育休支援にまつわる働き方改革の実態」に関する調査を実施し、その結果を発表した。調査の結果、男性の育児休業取得促進に向けた企業の取り組みは進んでいるが、2025年4月から施行された「数値目標設定の義務化」には、約3割の企業が未対応であることが明らかになった。
男性の育休取得促進、「すでに実施している」企業は66.8%
同社は本調査の背景として、「男性の育児参加」を後押しする社会的な動きが加速していることに言及。4月に施行された企業への数値目標設定の義務化といった制度面の整備が進む中、企業側にも実効性のある育休取得促進施策が求められるとしている。
調査では、男性の育休取得促進に向けて、施策を実施しているかを質問したところ、「すでに実施している」と回答した企業は66.8%に上った。一方で、「これから実施予定」「現時点で未定」「特に予定はない」を合わせて32.6%の企業が実施していないことがわかった。
男性育休を「すでに実施している」企業が取り組む施策で最も多かったのは「育休取得を促進する社内ルールの整備」(74.1%)だった。次いで「育休取得者への手続きサポート」(52.9%)、「育休取得に対する経営層の積極的なメッセージ発信」(47.5%)、「育休取得後の復職支援」(41.7%)が続く。
「数値目標設定の義務化」の未対応の企業は34%、すでに対応済みは31%
今年4月に施行された「数値目標設定の義務化」に対する企業の対応状況は、「すでに(対応)済み」が約31%にとどまる。現在対応中が約34%で、未対応の企業も34%に上ることが判明した。
この数値目標について「有効だと思う」(「非常に有効だと思う」「どちらかといえば有効」の合計)と回答した企業は68.4%だった。一方、「有効ではない」(「あまり有効ではない」「全く有効ではない」の合計)と回答した企業は13%にとどまった。
男性育休は「取得しやすい職場・風土醸成がカギ」 必要なのは「管理職・経営層向けの研修」
今後の男性育休取得促進に必要な取り組みとして、最も多く挙げられたのは「取得しやすい職場風土の醸成」(59.6%)だった。その他、「代替人材の確保・業務分担の見直し」「育休取得に関する経営層・管理職の意識改革」「育休取得者向けのキャリア支援(復職プログラムの充実)」が続いた。
具体的に今後の方針として最も多かった意見は「管理職・経営層向けの研修を実施し、育休取得を促進する職場文化を醸成する」(21.3%)だった。
同社はこの調査を受けて、「育休取得率の伸び悩みや『育休を取得しづらい』といった声は、制度と現場の乖離(かいり)がもたらす構造的な課題を浮き彫りにしている」とし、これからの企業に求められるのは「制度は整えた」ではなく「制度が活きている」状態の実現だと指摘している。
「男性の育休支援にまつわる働き方改革の実態調査」は、4月14、15日にインターネット調査で行われ、企業の人事・総務担当者の計361人の回答を得た。詳細はjinjerの公式リリースより確認できる。