自動車メディア「レスポンス」のバイクニュースに秘められた想い
日本最大級の自動車総合ニュースサイトとして名高い「レスポンス」の存在は、ヘビーユーザーは言うに及ばず、乗り物を愛する人ならその名を耳にしたことがあるでしょう。もちろんバイクに関するコンテンツも扱われており、最新のバイク情報からプロライダーによる試乗インプレッション記事まで、ライダーがもっとも気になるトピックが日々配信されています。レスポンスのモーターサイクルニュースを担当するレスポンス編集部 副編集長の宮崎壮人氏に、レスポンスでのバイクコンテンツの取り組みについて話を伺いました。
レスポンス副編集長・ニュース統括
宮崎 壮人 氏
1979年、東京都生まれ。
中古車情報誌の制作に携わったのち、IRIコマース&テクノロジー(現 株式会社イード)レスポンス編集部に入社。燃費管理サービス「e燃費」プロデューサー、スクープサイト「Spyder7」ほか新規メディアの立ち上げなどを経て2017年にレスポンス編集長に就任。2023年より現職。現在の愛車はカワサキW800(2014年式)。
レスポンスは速報ニュースを中心に、自動車やモビリティに関する幅広い情報を提供する自動車総合情報プラットフォーム。月間PVは約5000万。1日あたり約50本のニュースを配信。四輪、二輪の新型車や試乗記、カスタムなど、自動車好きのためのtoC情報と、EVやSDV、自動運転などモビリティ業界に従事する方のためのtoB情報の両面を展開。業界ビジネスに特化した調査レポートやセミナーも提供する。
レスポンスの成り立ち
「レスポンス」はどういった経緯で誕生したのでしょう。
「『レスポンス』がスタートしたのは1999年です。当時の株式会社アスキー(現・株式会社アスキー・メディアワークス。IT関連メディアの草分けで、現在はKADOKAWAのブランドの一つ)が、自動車情報サイト『オートアスキー』を立ち上げたことが始まりです。
時代的には、ようやくiモード(株式会社NTTドコモが運営していた、同社携帯端末向けインターネット接続サービス)が登場した頃で、インターネットでのニュースメディアがほとんど存在していませんでした。その後、運営が株式会社IRIコマース&テクノロジー(現・株式会社イード)に移管されたタイミングでサイト名を『レスポンス』に改めたのです。モビリティのニュースに特化したWebメディアとしての歴史は25年ほどになります」
自動車メディア「レスポンス」がバイクの情報も取り扱われるようになったのは、どのような流れからでしょうか。
「『レスポンス』でバイクのニュースを積極的に取り扱うようになったのは、私が編集長になった2017年頃からなんです。私自身がバイク好きということもありますが、ちょうどバイク人気の高まりを感じたタイミングでもありました。現在の『レスポンス』編集部は、諸々含めて10人ほどで運営しているのですが、1人がバイクの免許を持っていて、バイクに乗った経験があることから、この2人でモーターサイクルニュースを担当しています。
2025年5月現在、『レスポンス』の月間PVは約5000万、ユニークユーザー数は約930万人、メールマガジンの登録者数は約37万人となっています。1日あたり約50本のニュース配信を行なっていますが、モーターサイクルニュースのPVは全体の10分の1程度です。
それでも、『レスポンス』にとって、モーターサイクルニュースは確かな価値があるものです。過去には飛行機や船舶、宇宙といったあらゆる分野のモビリティを取り上げようとした時期もありましたが、結果的に四輪車と二輪車の情報を扱うことが軸となりました」
お2人でモーターサイクルニュースの運営を担うのは、なかなか大変かと思います。
「実は2017年当初、私もバイクの免許は持っていませんでした。でもバイクに対する興味は強かったので、自分で取材して記事を作り、徐々にバイク記事のパーセンテージを上げていきました。現在は『レスポンスを見れば、最新のバイク情報が出ている』と認識されるまでになってきた、という感触を得られています。
2025年3月の『レスポンス』では、モーターサイクルニュースの記事がトップ3を占めたことがありました。ちょうど大阪・東京・名古屋の3都市でモーターサイクルショーが開催され、もっとも開催時期が早い大阪モーターサイクルショーの速報記事が注目を集めました。月間のトップPVを記録できたことは、ひとつの結果として示せたかなと思っています」
レスポンスのモーターサイクルニュースの強み
バイク専門メディアとの違いはどのようなところでしょうか。
「外部メディアとの連携による幅広い配信です。いわゆる通信社のような立ち位置で、Yahoo! JAPANやlivedoorニュース、MSN JAPANなど大手ポータルサイトから、企業のオウンドメディア、競合する自動車情報サイト、さらにスマートフォンのニュースアプリやSNSなどなど、さまざまなシーンで『レスポンス』の記事をご覧いただけます。幅広く配信することで、乗り物好きの方だけでなく、普段モビリティに関する記事に触れる機会が少ない方にも見てもらえるプラットフォームであることが『レスポンス』の強みと言えますね」
「普段モビリティに関する記事に触れる機会が少ない」読者にリーチできていることは、数値面にも表れているのでしょうか。
「はい、表れています。『レスポンス』本体だけでなく、ニュースを配信している他サイトからの流入数や、どの記事がどれだけ深く読まれたかを数値化したデータを見ると、新規ユーザーは着実に増えてきています。
自動車業界の方が仕事前に『レスポンス』を読まれているなど、業界認知度も高いんです。『レスポンスに書いてあることなら信用できる』と思っていただけるストレートなニュースを心がけており、四半世紀かけて培ってきた信頼の表れだと思っています」
レスポンスが伝えたいバイクの魅力
バイクのどんなところに魅力を感じ、どのように伝えたいとお考えでしょうか。
「バイクってクルマ以上にファン性、趣味性が求められる乗り物だと思うんです。私がバイクに惹かれるのはまさにその部分で、モーターサイクルニュースの強化を図ったのも『レスポンス』の趣味性を高めたいという思いからでした。もちろん仕事ですので、好きというだけでできるわけではありません。市場規模やニーズを分析した結果として『取り組むべき』と判断したからです。
2019年頃、アウトドアブームの影響からキャンピングカー関連の記事のPVが急増したのですが、長続きはしませんでした。ただアウトドア関連の記事が注目を集めたことはひとつのヒントとなり、加えて2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックから、三密を避けられる分野として『バイクが当てはまる』と考え、モーターサイクルニュースのコンテンツを増やしてきました。その結果、しっかりと反応を得ることができました」
宮崎氏がバイクの免許を取得されたのも、コロナ禍だったとお伺いしました。
「2020年ですから、コロナ禍の真っ最中です。十何年も前からバイクに乗りたいと思っていたのですが、なかなか免許を取りに行く時間が取れませんでした。在宅ワークが増えて時間の余裕ができたので、これを機にバイクの免許取得に向かったのです。
バイクの教習所に行くと、大混雑でした。その多くが私と同じ40〜50代の男性で、『次の教習は1カ月後』と言われるような混み具合だったんです。普通二輪免許を取得するまで半年以上かかりました。それでというわけではありませんが、これだけ多くの人がバイクの免許を取ろうとしていて、バイクを買おうとしている事実を目の当たりにし、バイクの未来を感じましたね」
バイクに乗られるようになって、新たに得られた感覚、変わった印象などありましたでしょうか。
「初めてバイクで公道を走ったときは、驚くことばかりでした。クルマで何度も走っているトンネルでは『トンネルってこんなにカビ臭いんだ!』と気付かされました。改めて、プリミティブな移動の楽しさを感じられる乗り物なんだと思いました。バイクの記事は免許取得前から書いていましたが、自分で乗るようになって見えてくるものが大きく変わりました。開発者の方にインタビューさせていただく際も、以前と比べて気付ける部分が増えていますね」
「速報性を重視しつつも、『レスポンス』は記事の信頼性を大切にしています。そのうえで、記事を見た人が興味を持ってくれるような最新のモビリティ情報をお届けしたいと思っています。より深く知りたくなったら、メーカーサイトや二輪車専門誌、そしてバイクショップに足を運んでみたくなる、そのためのキッカケづくりになりたいんです。
Webメディアである『レスポンス』は、いわばバーチャルな世界に存在しているわけですが、記事を読んだ人が次なるアクションを起こしてくれれば、リアルの世界に動きを起こせたことになる。もしかしたらそのアクションが、その人の生活や人生をもっと良いものにする可能性もあるわけです。ひとりの人間を動かせたのなら『レスポンス』にとって大きな成果です。
仕事である以上数字を追い求めてはいますが、その根幹にあるのは人に働きかけることだと思います。『レスポンス』の記事を読んだ人が、ひとりでも多くバイクを好きになってもらいたい。今もっともやりたいことがこれですね」
新たな気付きを与えてくれるレスポンス
「まだバイクに触れたことがない人や、ライダーの皆さんが次のアクションを起こしたくなるような記事を届けたい」という宮崎氏が手がける『レスポンス』のニュースには、バイクに対する情熱が込められていました。日本最大級の情報量とPV数を誇る『レスポンス』のモーターサイクルニュースは、身近なデバイスを用いればあらゆるところから見られます。そこにはまだ気づいていないバイクの魅力を教えてくれる情報があり、新たなバイクライフに繋げられることでしょう。
お問い合わせ先:レスポンス