クラシゲ宝飾 倉茂さん 巣立ち祝う真珠に善意〈横須賀市〉
大滝町で宝飾店「クラシゲ宝飾」を営む倉茂紀夫さんが、真珠の加工を通じた慈善活動で三浦市立名向小学校の児童の成長を見守り続けている。
同校では、近くの小網代湾で技術研究や生産が盛んだった真珠養殖に焦点を当てた海洋教育を導入。地元のNPO法人「小網代パール海育隊」が指導役となり、地域の産業の歴史や海の豊かさを学び、郷土愛を育む授業を展開している。
創立50周年だった2017年、その年の卒業生に「真珠を記念のプレゼントとして贈りたい」という同法人の思いに賛同した倉茂さん。以来、「未来を担う子どものため」と、無償で加工を引き受け続けている。
23年度の卒業生も5年生だった一昨年の夏に真珠の原料になる核をアコヤガイに入れ込み、海中で育てること約1年半。今年1月、貝から取り出す浜揚げ作業が行われ、直径5〜6mmほどの真珠の養殖に成功した。
それらは倉茂さんの手によってタイタック(ネクタイ留め)に加工。2月下旬に子どもたちへ手渡されると、世界に1つのアクセサリーの完成に感嘆の声があがっていた。児童らは3月19日(火)に行われる卒業式で、タイタックを身につけて学び舎を巣立つという。