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盛土とは?メリット・デメリットや家づくりでのチェックポイントを解説

リブタイムズ

盛土とは?メリット・デメリットや家づくりでのチェックポイントを解説

盛土とは、土地を平坦にするためや高さを調整するために土を盛り上げる工法のことです。なかには、気に入った土地が盛土造成地だったことで不安に感じた方もいるのではないでしょうか。盛土は極めて一般的な工法であるため、盛土が行われているというだけでその土地を避ける必要はありません。とはいえ、盛土造成地には一般的な土地にはないデメリットがあったり、リスクが発生する可能性があったりします。 今回は、盛土造成地でも安全に暮らすために、盛土のメリットやデメリット、盛土造成地に家を建てる際の注意点などについて解説します。盛土を検討している方や盛土造成地での建築に不安を抱いている方はぜひ最後までご覧ください。 当サイトでは間取りのトレンドなどについても解説していますので、ご興味のある方は以下の記事などもご確認ください。 相互リンク:

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盛土とはどんな工事?

盛土とは、簡単にいうと「別の土を盛ること」「盛られた地面」を指します。ただし、土木や建築においては、斜めに傾いている土地に土を盛って平らな地盤をつくること、低い土地に土を盛り上げて高い敷地をつくることをいいます。今回ご紹介するのは、土木や建築における盛土です。 平地が少ないという特徴を持つ日本では、山や谷を住宅地・道路として整備することがあります。盛土は、そのような土地を使いやすくするために欠かせない工法であることから、広く知られている技術の1つといえます。 土を盛るだけでは沈み下がってしまうため、十分締め固めるのが基本です。しかし、どうしても元の地盤との固さに違いが出てしまうという特徴があり、地震や大雨による災害が起こる可能性があります。適切な処理が行われていれば、それらのリスクを低減できるため、正しい方法で工事を行うことが欠かせません。 ちなみに、平らな地盤をつくる工法としては、「切土」も挙げられます。盛土と類似しているため混同しがちですが、切土は地面を削り取って平坦な地盤を造成していく工法です。

盛土をするメリット

ここからは、盛土のメリットを見ていきます。盛土は、適切な処理を行えばリスクを抑えられるうえ、次のようなメリットも得られます。

浸水被害の防止になる

盛土は平らな地盤をつくるために行われますが、土を盛り上げた分、地盤の高さが上げられるという点も盛土の特徴です。これは、浸水被害の防止にもなるのです。 たとえば地盤の高さが50cmの地域なら、50cmの盛土で高さの合計が1mになります。すると、万が一水害が起こったとしても、水位が1m以下に収まれば、被害を受けずに済むのです。東日本大震災では、盛土をしていた住宅は流されなかったというケースも見られました。洪水浸水想定区域の場合は、盛土による浸水対策が欠かせないでしょう。 また、盛土には水はけの改善も期待できます。盛土をすると敷地に傾斜ができるため、雨水や下水の排水がスムーズになるのです。これも洪水対策の1つになります。

プライバシー保護につながる

大きな窓や日当たりの良さは快適な住まいには欠かせません。しかし、道路と同じ高さに家を建てると、どうしても家の中が見えやすくなってしまいます。プライバシーを考えると、間取りの自由度も下がってしまうでしょう。 そんなときは、盛土で高さを出し、外からの視線を遮るようにします。すると、プライバシーが保護され安心して暮らせるほか、防犯性向上にも期待できます。家が高いことで、敷地に入りづらくなるのはもちろん、中の様子が分からないため犯行に及びにくくなるのです。 敷地に塀をつくるスペースがないときは、プライバシー保護にも役立つ盛土を検討することも少なくありません。

盛土をするデメリット

次に、盛土のデメリットを見ていきましょう。盛土のデメリットには、主に次の2つが挙げられます。

コストが高い

盛土は浸水被害の予防やプライバシー保護に役立つ工法ですが、コストが高いというデメリットがあります。コストが高い理由は、材料費と地盤改良工事費用がかかるからです。地形や土の状態によって相場が異なることから、地域によっても多少のばらつきがあります。 一般的には、1平方メートルあたり4000~5000円程度が相場といわれています。4000円の地域で約60坪の土地に盛土を行う場合、盛土だけで80万円ほどの費用が必要になるのです。安全性や防犯性が高まるため、見方によっては良心的な価格かもしれません。しかし、建物にかける費用を考えると、かなり出費となるでしょう。 ちなみに、盛土をする際は必ず地盤改良を行わなければならないという決まりはありません。しかし、盛土をする前に地盤改良工事を行うことで、地盤が沈下するリスクを下げられるというメリットがあります。 もちろん、土地によっては地盤改良工事が必須の場合もあります。地盤改良工事を行うかどうかは、事前に地盤調査をしたり造成前の土地の状態を確認したりして決定します。地盤調査が必要な場合は、地盤改良工事費用がいくらになるのかを確認しておくことも大切です。

違法な盛土による地盤沈下や土砂災害のリスク

盛土は「盛土規制法」に則って行わなければならない工事です。このルールを無視して盛土を行うと、さまざまなリスクが高まります。違法盛土に関して令和5年5月には、新たな法律が制定されるほど問題視されているのです。新しく定められた法律では、盛土の規制区域が指定されたことや、指定されている区域での盛土には許可が必要になるなど安全性が強化されました。 違法な盛土によるリスクとしては、地盤沈下や土砂災害が挙げられます。地盤沈下や土砂災害は、国が定めた許可基準に則って盛土を行うことに加え、十分に締め固める・造成前の土地の状態をしっかりと確認する・必要に応じて地盤改良工事を行うことなどで防げる事故です。しかし、悪質な業者は違法な盛土を行うこともあり、事故が起こってしまうケースも少なくありません。

盛土造成地で家を建てる前のチェックポイント

場合によってはリスクをもたらす盛土ですが、家を建てる前の事前チェックをしっかりと行っておけば、リスクを減らしたり、対策を考えたりできます。ここからは、盛土造成地で家を建てる前のチェックポイントを見ていきます。

液状化のリスクがないか確認する

地震が発生した際の液状化リスクを確認しましょう。液状化のリスクは、国土交通省がまとめている地形区分ごとの液状化リスク情報やハザードマップで調べられます。液状化リスク情報は、国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向」を確認してみてください。 ハザードマップは各自治体がホームページなどで公表しています。局所的なリスクを確認したい場合はハザードマップをチェックしましょう。 特に木造住宅は、液状化によって傾斜や沈下といった被害を受ける可能性が高まるため注意が必要です。

購入・建築予定の土地周辺の災害履歴を確認する

盛土造成地で地震や台風といった自然災害による住宅への影響を最小限に抑えるには、購入・建築予定の土地周辺の災害履歴を確認することも大切です。盛土造成地は地盤沈下や土砂災害が発生するリスクがゼロとはいえないため、災害が多い地域に住むとなると、同じような被害を受ける恐れがあり、不安が拭えません。 盛土造成地で家を建てるなら、災害履歴をチェックしたうえで、どのような対策を採っていくかをしっかりと考える必要があるでしょう。

地盤の安全性や地盤対策を確認する

購入・建築予定の土地が大規模盛土造成地であれば、自治体がその土地の安全性を評価するという決まりになっています。評価済みであればすぐに結果を聞くことも可能です。 加えて、過去に行われていた地盤対策についても調べておきましょう。地盤対策が行われていない盛土での建築は危険です。よりくわしく調べたい場合は、地盤調査を依頼しましょう。

まとめ:盛土の理解を深めて安全な家を建てよう

今回は、盛土造成地で住宅の建築を予定している方向けに、盛土のメリットやデメリット、注意点などについて解説しました。盛土は広く使われている工法の1つで、盛土だから危険というわけではありません。 前もって土地の状態を調べておいたり、信頼できる業者に依頼したりすることで、地盤対策の施された安全な住宅を建てられます。盛土造成地で家を建てる前のチェックポイントを参考にしながら、家づくりを進めてみてください。

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