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どうつなぐ?担い手不足のお祭り

TBSラジオ

秋はお祭りの季節。にぎわいが楽しみな一方で、担い手不足も深刻。「続けたくても続けられない」という声も各地であがっています。そうした中「どうにかして続けたい!」と、あの手この手の工夫も広がっています。

登録すれば、いきなり獅子舞の担ぎ手に!

まずは2年前から福岡県で始まった取り組みについて。企画地域振興部の木下 創さんに聞きました。

福岡県・企画地域振興部 木下 創さん

「地域伝統行事 お助け隊」という制度を行っております。実施団体から、要請のあった活動に対して、「ボランティア」として派遣する制度です。まずはですね県のホームページにアクセスいただいて、そこから「お助け隊」に登録をしていただきます。その後に、実施団体から派遣要請があった場合に、県から連絡をしますので、そこで参加の申し込みを出していただくという流れになっています。

「獅子舞の、獅子の担ぎ手」なんかもあります。獅子舞の、あの「獅子の面」を持って舞う・踊る、ということになろうかと思います。基本はですね「当日だけ参加してください」というような形式の募集が多くて、県から特段、報酬や交通費は出してはないんですけども、ボランティアという形で参加いただいてます。

現在、久留米市の「柳瀬おくんち獅子舞」も募集中。当日 集まった「はじめまして」の人が加わって、地域の人たちと一緒に獅子舞で練り歩きます。

福岡県「地域伝統行事 お助け隊」のHPより

事業の名前は「地域伝統行事 お助け隊」。「我こそは」という人を福岡県が募集し、担い手が足りない祭りに派遣する仕組みです。登録できるのは15歳以上で、県外の人もOK。派遣先は県内のお祭りに限りますが、実際、お神輿を担いだり、神事で舞を舞ったりと、まさに祭りのど真ん中で活躍することになります。

一昨年から始まって、去年までの2年間で、累計21件のお祭りで募集。報酬は出ない中でも、登録者が300人を超えているそうです。

サーファー移住者が支える 300年続く火祭り

このように、「助っ人」を募って続ける福岡の工夫がある一方で、宮崎では、移住してきた「サーファーたち」が地元の人と力を合わせて、途絶えた祭りを復活させた事例についても話を聞いた。宮崎で地域のお祭りを支える佐藤 明子さんに伺いました。

宮崎の「柱松実行委員会」 佐藤 明子さん

そもそもは300年以上前から伝わっていると言われているお祭りで、一時やっぱり人手が足らなくて、中断してたものを復活してますね。

「玉入れ」を想像していただくといいと思うんですけど、「松の木」のまっすぐのものを探してくるんですけれども、それの高いものですね。その上に火の入る「巣」というものを、萱とかそういうもので作るんですけど、そこへ「たいまつ」をみんなで投げ入れます。

移住者、ほとんどサーファーなので、そういう感じでみんな関わってくれています。50半ばになると、肩がキツいんじゃないかなってぐらい、たいまつを投げ入れるのは大変で力もいるので、やっぱり30代、40代の若い人たちに「お願いします!」って感じです。みんなすごい良い体してますよ。

宮崎の「日南(にちなん)海岸」は、良い波を求めて全国からサーファーが集まる土地。この地域に伝わるのが、30メートル近くある松の大木を立てて、その頂上の「かご」に、火のついた「たいまつ」を投げ込む「市木古式 十五夜 柱松(はしらまつ)火祭り」。この伝統的な祭り、一度途絶えたのですが、1990年代に復活。その中心となったのが地元に戻ったUターン組と、外から移り住んだサーファーたち。移り住んできた人が担い手となって立て直すのは全国的にも珍しいケースとして当時も注目されたそうです。

さらに去年からは「大人のみ参加可能」というしきたりを変えて、高校生も参加可能に。今年は女子高生の志願もあり、かつて女人禁制だった神事も、少しずつ形を変えているようです。

祭りを「外に出す」 新しい支援の形

続け方は地域ごとにさまざまですが、一方で「地域で守る」だけでなく、あえて外に出してみる、そんな新しい取り組みも始まっています。お祭りの支援会社「オマツリジャパン」の加藤 優子さんに伺いました。

株式会社オマツリジャパン 加藤 優子さん

お祭りを出演させて、盛り上げたいと思っているところっていくつかあるんですよね。

例えば「東急歌舞伎町タワー」という商業施設が歌舞伎町にあるんですけれども、そちらの2階で毎週土曜日に、お祭り団体を毎週違うのを派遣させていただいていると。今週は「よさこい」かとか、今週は「エイサー」かなど、いろんなお祭りが見られる。

起業して今11年目ですけど、最初全然なかったんですが、最近は海外のお客さんも増えているのか、そういったホテルでやってほしいとか、社内イベントで来てほしいという話は聞きますね。

今、残っているお祭りって、すべてが何かしら形を変えて残ってきているんですよのえ。お祭りを守るというのは、何も変えないっていうことではなく、時代に合わせて変えていくことが、お祭りを守るということなので、そうして、文化を残してコミュニティを維持していく。

「オマツリジャパン」のHPより

オマツリジャパンは、全国のお祭り団体とのネットワークを活かして、商業施設への派遣や、「お祭りに参加できる旅行ツアー」なども企画しています。さらに、協賛企業探しやスポンサー募集といった、地域だけでは手が届かない運営支援も。じつはコロナ禍で途絶えた祭りも多い中、「どうにか続けよう」と各地で工夫が始まっています。

お祭りは、その土地の歴史や文化を次の世代に伝える場。続けていくには、外からの力や、新しいアイデアを取り入れる、そんな柔軟さも、祭りを残す力になるのかもしれません。

今からでも間に合う!加藤さんおすすめの2025年お祭り

川越まつり(埼玉・川越市)

開催予定:2025年10月18日(土)–19日(日)
ここが推し:江戸情緒の街並み×山車の巡行。まち歩きとセットで「二度おいしい」。

唐津くんち(佐賀・唐津市)

開催時期の目安:毎年11月2日–4日(文化の日周辺)
ここが推し:歴史ある美しい曳山。港町の空気とあわせて堪能を。

佐賀インターナショナルバルーンフェスタ(佐賀市)

開催予定:2025年10月30日(木)–11月3日(月・祝)
ここが推し:色とりどりの熱気球が空を埋める、国内有数のビッグイベント。
※唐津くんちと日程が重なるので“ハシゴ”もおすすめ。

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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