【たつの市】朝鮮通信使船、261年ぶりに室津入港 日韓交流史学ぶ記念行事も
江戸時代に朝鮮王朝が日本へ派遣した外交使節団の乗り込んだ朝鮮通信使船が5月10日、たつの市御津町の室津港に寄港する。
朝鮮通信使は室町時代に始まり、豊臣秀吉の朝鮮出兵で一旦途絶。その後1607年(慶長12)に日本へ連行された捕虜を連れ帰る目的で復活した。1636年(寛永13)からは幕府新将軍の就任祝賀など友好親善が主目的となり、1811年(文化8)まで計12回派遣された。政府高官や学者らが乗船し、多い時には約500人を数えたという。日本と韓国が所有する通信使関連の記録は、ユネスコの世界記憶遺産に登録されている。
船は韓国の国立海洋遺産研究所が2018年に原寸大で復元したもので、全長34メートル、幅9メートル、高さ3メートル、総トン数149トン。動力はディーゼルエンジンだが、木造で当時と同じ内外装を再現している。
今年の日韓国交正常化60周年と大阪・関西万博開催を記念し、万博の韓国ナショナルデー(5月13日)のため大阪入りすることになっており、その際にかつての航路を辿ることから寄港が実現する運びとなった。通信使船が室津に入るのは宝暦14年(1764)以来、261年ぶり。
今回の来航に合わせ、地元たつの市は改めて朝鮮通信使の歴史を学び、この機会を日韓文化交流の場にしようと、各種記念行事を開催する。
入港は11時40分ごろの予定で、13時半から来港セレモニー。韓国から釜山芸術団、地元から御津中学校吹奏楽部と御津小学校金管バンド部が出演し、互いに演奏披露した後に乗船見学会。14時から1時間おきに3回実施する。参加希望者を各回70人まで先着順で受け付けている(無料)。
また、室津海駅館で10時半〜11時半に歴史講座を開講。宝暦14年の通信使船が来航する様子を描いた「朝鮮通信使室津湊御船備図屏風」などの資料を題材に、日韓交流の歴史を学ぶ(同館入館料が必要)。 問い合わせは同館(電話079-324-0595)。