“8人きょうだい・塾なし”で難関の開成中に合格した子どもが続けた“家庭習慣”
8人のお子さんがいるブロガーのオトクサさん。その長男くんが通塾せずに、難関と言われる開成中学校に合格したといいます。賑やかな家庭の中で、しかも通塾せずにどのように勉強をしていたのか、親はどのように関わっていたのかを知りたい方も多いのではないでしょうか。今回はオトクサさんに「受験時期を振り返って一番大事だったと思うこと」について、お話を伺いました。
教えてくれたのは……オトクサさん
1981年大阪府大阪市出身。私立の中高一貫校へ進学し、中学・高校は塾に通わずに大阪大学に現役合格。現在、妻と8人の子どもとともに東京で暮らしている会社員。長男が塾なしで中学受験に挑戦する様子をまとめた新刊『通塾なしで開成合格!中学受験おうち勉強法』では、子どもたちが自ら学び進めるための取り組みを、大家族ならではの日常を交えてわかりやすく伝えている。
受験勉強で一番大事だった「朝勉」。朝に勉強することのメリットは
――長男くんが開成中学校に合格した今、受験時期を振り返って「これが一番大事だった」と思うことは何ですか?
わが家でポイントになったのは「朝勉」です。朝に勉強時間を設けることで、勉強することが日常の一部になり、子どもが自分一人で勉強を進める習慣をつける第一歩になったと感じています。
長男は、6年生の夏休み初日から1月末の本番前日まで、毎朝1時間の算数のテストを欠かさずにやっていました。算数は基本的に「朝だけやる」ぐらいの感じで、徹底して取り組んでいましたね。 約半年間、毎朝テストを続けた努力が積み重なり、本人の自信にもつながりました。朝に継続して取り組んだことで、長男の課題でもあったケアレスミスによる失点がなくなったと思います。
――毎朝テスト! 続けられるのは、すごいですね。受験勉強というと「夜遅くまで頑張る」というイメージがありますが、朝に勉強するのは、どんなメリットがありますか?
「朝勉」がいいと思った理由は、朝のほうが必ず決まった時間に勉強する習慣がつけやすいからです。夜だと、1日の出来事によって親も子もコンディションが変わるし、勉強を始められる時間が変わる可能性もあるんですよね。夜は、子どもにとっては早めに休める時間、親にとっては家事や自分の時間、夫婦でゆっくり話す時間など、家族にとって大切な時間です。わが家が目指したのは「家族の生活リズムを崩さない中学受験」なので、「朝勉」が一番効率的だと思ったので始めました。
「過去問をやる時間が取れない」という悩みも多く耳にしますが、朝なら時間が取りやすいので、おすすめしたいです。 そのほかに、夕方に友達と遊びに行ったり疲れて寝てしまったりしても、「まぁ、朝に勉強していたからいっか」と親の心を穏やかにしてくれるメリットもあります。
「少しずつ起きる時間を早める」「勉強の内容を決めておく」ことが成功の秘訣
――うちの子も朝勉にぜひ取り組んでほしいですが、「眠い」と言われてしまいます(涙)。
わが家も最初はそうでしたよ。長男は小学3年生から少しずつ朝勉を始めたのですが、当初は自分で起きてくれなかったので、私が起こしていました。最初は7時、次に6時30分、さらに6時と、段階的にしていたことがよかったと思います。長男は4年生になったときには6時起きが定着して、5年生では自分で起きて勉強を始められるようになりました。はじめから「1時間半やろう」ではなくて、「10分から始めよう」と短時間から少しずつ始めて習慣にしてみるといいかもしれません。
――なるほど。ほかにも朝勉を続けるためのコツはありますか?
起きられなかったときは、「もう仕方ない」と思っているんです。無理に「この時間でこれだけやる」とガチガチに決めすぎないほうがいいと思います。もちろん、ベースとなるルールがないと守れなくなってしまうので、ベースを決めることは必要です。そのうえで、うまくいかなかったときは「やらなくてもいいよ」「やり方を少し変えてみようか」など、ゆとりを持つことがよかったのかなと思っています。
あとは、朝勉で取り組む問題の量も調整していました。10分なら10分で終わる量を用意するなど、かける時間に合わせて勉強する内容が決まっていることも、子どもがスムーズに勉強するためのコツです。
――「1日10分からでもいい」「ベースを決めつつ、ゆるさも持つ」と思えば、始めやすいと思う方もきっと多いと思います。
ありがたいことに、私の周りの人からも、私の本を読んで「朝勉を始めたよ」と言ってもらえたり、Amazonのレビューでも「実際に始めてみました」とコメントをいただいたりしています。たくさん反響をいただいて、うれしいですね。
こうして本を出版させていただきましたが、「開成中学校に合格するための本」や「塾なしで中学受験に挑むための本」というわけではないんです。わが家の目的や、家庭での勉強法をお伝えしている本なので、読んでいただいた方に「こんなやり方があるんだ」「この方法いいよね」と、一つでも気づきになって取り入れていただけたらいいなと思っています。
オトクサさんのお話を伺い、親子でいつもより少し早起きして「朝勉」を始めてみようと思いました。まずは10分からが目標です!
受験生がいると家の中が常にピリピリしてしまう印象がありますが、オトクサ家は常にポジティブな雰囲気だったそうです。そのコツはどこにあるのでしょうか。次回の記事では、オトクサ家の親子関係と夫婦関係について、ご紹介します。
shukana/webライター