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川崎ダルク開設20周年 難しくても支える 薬物依存者の回復後押し

タウンニュース

岡崎重人さん

薬物依存症者の治療回復支援施設「川崎ダルク」(中原区新城)が今年で開設20年を迎える。施設で500人近い依存症の人々とかかわり続けてきた理事長で、もと依存症当事者の岡崎重人さん(43)に思いを聞いた。

6月3日の午前。川崎ダルクの男性専用デイケアセンター1階では、利用者たちがインストラクターの指導のもとヨガに打ち込んでいた。川崎ダルクの治療回復プログラムの一環で、毎週月曜の午前は「ヨガの日」。2階の談話室の週間予定を見ると、この日午後は「フットサル」とある。

理事長の岡崎さんが説明する。「近く、関東圏のダルクとの交流試合があるので。利用者にはまず規則正しい生活を送り、健康面を立て直すことから始めてもらう」

2004年に開設された川崎ダルクは、薬物やアルコールなど多様な依存症からの回復を後押しする入所・通所施設。利用者の増加とともに活動拠点も広がり、現在はデイケアセンターのほか、共同生活を送る入所施設が中原区と高津区に1カ所ずつある。6月1日現在の利用者数は入所利用が9人、通所利用が5人。薬物とアルコールがほぼ半数ずつという。

体験や思い共有

岡崎さんもかつては薬物依存に苦しんだ当事者だ。18歳で大麻やコカインを常習。家族に連れられてNPO法人日本ダルクに相談に行き、沖縄ダルクへ入所した。当時は「薬物依存症者」という自覚がなく、沖縄ダルクを抜け東京に戻ったが、依存症は悪化。再び日本ダルクに入り直した。

川崎ダルクが立ち上がったのはその数カ月後だった。岡崎さんの相談者が川崎の所長として開設準備を始めるタイミングで、「一緒に行こう」と誘ってくれた。

回復プログラムで重要なものは、依存症者同士が体験や思いを共有するミーティングだ。壮絶な生い立ちや癒えない孤独など、利用者たちの「語り」に耳を傾ける中で、依存に陥るプロセスを共有していく。岡崎さんは運営に携わるとともに当事者としてプログラムに参加し、回復を遂げた。「依存を克服した人たちの姿や話に触れて、新しい生き方に興味を抱くための『動機』を育む場所。それがダルクだと思う」と岡崎さんは話す。

20年間で300人以上が川崎ダルクを卒業したが、岡崎さんにとっては依存症の難しさを思い知る20年でもあった。回復した人生を送り続ける人もいれば、再発してダルクに戻る人も、戻らない人もいる。自死を選んだ人もいる。

岡崎さんは言う。「ダルクはあくまで通過点。ここを通過した後の人生がもしうまくいかなくても、支え続ける場所でありたいと思う」

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