ピート・ローズは永久追放、過去にはダルビッシュ有も調査対象に…MLBと“賭博”のルール
ドジャース「通訳の水原一平を解雇」
3月20日、韓国で幕を開けたメジャーリーグの2024シーズン。他の28球団に先駆けて行われたパドレス－ドジャースの一戦は、ドジャースが5－2で逆転勝利を収めた。
ドジャースでの公式戦デビューとなった大谷翔平は「2番・指名打者」で出場して5打数2安打1打点と躍動。さらにパドレスの開幕投手を務めたダルビッシュ有が4回途中1失点（自責は0）で、6回途中には今季からパドレスに加入した松井裕樹がメジャーデビュー。0回2/3を無失点に封じるなど、いきなり3名の日本人が競演したことでも大きな注目を集めた。
しかし、一夜明けて迎えた21日朝。衝撃のニュースが駆け巡る。ドジャースが大谷の通訳を務める水原一平氏を解雇。複数の米メディアの報道によると、違法なブックメーカーとの関わりが発覚したという。
今回の一件はスポーツ賭博が禁止されているカリフォルニア州の当局による捜査の中で判明したもので、『ESPN』によると「水原氏は違法ブックメーカーに多額の負債があり、大谷の口座から少なくとも450万ドル（約6億8000万円）が送金されていた」とのこと。
これを受けて大谷側の弁護士も「大規模な窃盗の被害に遭っていることが判明したため、当局に問題を引き渡した」と声明を発表。ドジャースも「報道を認識しており、情報を収集しています」としつつ、「通訳の水原一平を解雇。現時点ではチームからの追加のコメントはありません」と水原氏を解雇したことを認めている。
MLBの見解は？
大谷と水原氏と言えば日本ハム時代からの長い付き合いで、2018年のメジャー挑戦を機に大谷の専属通訳としてともに渡米。昨春のWBCでも侍ジャパンに帯同するなど、いわゆる通訳業務だけでなく練習のサポートも含めて常に大谷をそばで支える存在だった。
前出の『ESPN』の記事によると、水原氏は2021年からサッカーをはじめ他のスポーツの賭けを行っていたとされており、本人も「明らかに、これはすべて私の過ちです」と認めているとのこと。一方で、「私は野球には賭けをしなかった、それは100%です。そのルールは知っていました」と述べ、野球賭博への関与は否定しているという。
MLBの規則には“賭博”に関するルールも明記されており、実はスポーツベッティング自体は認められている。ただし、メジャーリーグの試合を対象にした賭けは禁止。自軍が関わらない試合でも賭博行為が判明した場合は1年間の試合出場停止処分となり、もし自軍が関わる試合に賭博していたら球界から永久追放となる。
また、今回の件は公式に認められていない違法なブックメーカーを介した賭博であり、この場合は対象が野球であろうとなかろうと当然ながらアウト。「コミッショナーがその行為の事実や状況を考慮し、適切と判断した処罰を下す」ことになっている。
最近では2015年に当時マーリンズに所属していたジャレッド・コサートがこのルールに抵触。金額は明らかにされていないが、罰金処分を受けた。
過去にはダルビッシュも調査を受けた
水原氏は「みなさんには大谷が賭けに一切関与していないことを知ってほしい。（相手が）違法だとは知らなかったことを皆に知ってほしい」とも述べており、今回の件について大谷の関与は全面的に否定している。とはいえ、MLBや地元当局からの捜査の対象となることは避けられないだろう。
思い返してみると、過去にはダルビッシュ有も“賭博”に関する捜査の対象となったことがある。
2015年10月、ダルビッシュ有の実の弟であるダルビッシュ翔ら8人が賭博開帳図利と常習賭博の疑いで逮捕されるという事件があった。すると年明け1月、MLB機構はダルビッシュ有の調査に乗り出す。数日後にはその疑惑も晴れたのだが、やはりセンシティブな問題だけにMLB側も厳しい姿勢での対応を貫いている。
MLBと賭博に関する問題で最も有名な人物と言えば、通算4256安打のMLB最多記録を持つピート・ローズ氏だろう。
世界一のヒットキングとして金字塔を打ち立てたレジェンドでありながら、監督時代に野球賭博への関与が発覚して1989年に球界永久追放処分を受けた。あれから30年以上の月日が流れ、その間にローズ氏は何度も処分の撤回を求める動きをしてきたことが報じられているが、MLB側の姿勢は断固として変わっていない。
果たして、これからの水原氏と大谷に一体どのような展開が待ち受けているのか。まずは開幕直後のショッキングなニュースがプレー面に影響を及ぼすことがないように祈りつつ、今後の動向を見守りたい。
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記事：SPAIA編集部
