「女児への性的暴行」で逮捕された人気バンドの元ボーカルが獄中で殺害される 過去にはフジロックにも出演
かつてフジロック・フェスティバルの大トリを務めたこともある人気バンド<ロストプロフェッツ>の元ボーカリスト、イアン・ワトキンス(48)が、最悪の形で人生の幕を閉じることとなった。
世界的人気バンドのフロントマンに何が起こったのか?
ワトキンスはウェールズ出身のロックバンド、ロストプロフェッツ(Lostprophets」)のフロントマンとして1997年から音楽活動を開始。日本を含む世界中で人気を博したが2008年頃から他メンバーとの軋轢が噂されるようになり、ワトキンスは2012年12月に児童への性的暴行容疑で逮捕される。
逮捕当初から共犯として2人の女性も起訴されており、ワトキンスは13歳未満の女児に対する性的行為の共謀、児童ポルノの所持・制作・配布、動物との性的行為を含む“極端なポルノ”の所持など、計13件の罪に問われることとなった。
2013年12月、カーディフ刑事法院での判決において、裁判官ロイス氏は「この事件は過去に見たどの事例よりも凄惨で、道徳的に破綻している」と述べた。
判決文によれば、ワトキンスは自身の名声と影響力を利用して若い女性ファンを操作し、彼女たちの乳児を性的虐待に巻き込んだ。共犯の女性たちは自らの子どもをワトキンスに差し出し、性的行為を撮影するなど、極めて悪質な行為に加担していたとされている。
児童への性的暴行で逮捕、そして獄中で他の囚人から襲撃を受け……
ワトキンスは児童への強姦未遂、性的暴行、児童ポルノ関連の罪で合計35年の刑を言い渡され、英ウェイクフィールド刑務所に収監。この施設は“Monster Mansion(怪物の館)”と呼ばれるほど凶悪犯が集まることで知られていた。
獄中で目をつけられたワトキンスは、2023年には3人の受刑者に6時間にわたって拘束にされ、刺傷を負って病院に搬送されたこともあったという。そして2025年10月7日、刑務所内で再び襲撃されたワトキンスは、複数の刺し傷を負って死亡。48歳だった。
この殺害事件では、すでに25歳と43歳の2人の受刑者が殺人容疑で起訴されている。バンド崩壊の張本人としてワトキンスを恨むファンも少なくなかったが、彼の死は小児性犯罪者に対する社会的な怒りと、獄中での報復の危険性を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。
なおロストプロフェッツの元メンバーたちは、ワトキンスの逮捕後すぐにバンドの解散を決断し関係を完全に断っていたという。音楽ジャーナリストや関係者の証言によれば逮捕前からバンド内で孤立していたそうだが、因果応報という言葉では片付けられない、考えうる限り最悪の形でこの世を去ることとなってしまった。
今すぐ配信で観られる人気バンドの伝記映画
『ドアーズ』(1991年)
UCLAの学生で詩の才能を高く買われていたジム・モリソン。ロックバンド・ドアーズを結成すると「ハートに火をつけて」が大ヒット。やがてカリスマ的な存在となるも、パフォーマンスがわいせつと非難されるように。恋人のパメラはそんな彼の奇行を心配し……。ヴァル・キルマー主演、オリバー・ストーン監督作。
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2005年)
1944年、貧しい家庭に育った少年ジョニーは、兄ジャックの死と父との確執を経て空軍に入隊。除隊後に結婚し子をもうけるが、生活は困窮し夫婦仲も冷える。そんな中、偶然のオーディションで音楽の才能を認められ、プロの道へ。ツアー先で憧れのジューン・カーターと出会い、運命が動き出す。ジョニー・キャッシュが40回のプロポーズと10年の片思いを経て築いた、型破りなラブストーリー。
『コントロール』(2007年)
1980年5月18日、全米ツアー出発の朝、彼は23年という短い人生に自ら終止符を打った――。“ポスト・パンク”を代表するヒーローに上り詰め、熱狂のステージで激しく歌う裏で、イアン・カーティスは原因不明の痙攣、妻デボラと愛人アニークとの関係に揺れる。あくまで“ふつうの人間”として悩むロック・スターの知られざる一面は、多くの人たちの驚きと共感を得るに違いない。
『ジャージー・ボーイズ』(2014年)
ニュージャージーに住むフランキーは、マフィアのボスを涙させるほどの美声を持つ少年。幼なじみのトミーは彼と才能ある作曲家ボブをバンドに迎え、デビューを目指す。そして遂に「シェリー」が大ヒット。彼らはたちまちスターの階段を駆け上がるのだが……。クリント・イーストウッド監督作。
『ラブ & マーシー 終わらないメロディー』(2014年)
1960年代、カリフォルニア。夏とサーフィンの歌が大ヒット、ザ・ビーチ・ボーイズは人気の頂点にいた。だが、新たな音を求めてスタジオで曲作りに専念するブライアン・ウィルソンと、ツアーを楽しむメンバーたちの間に亀裂が入り、威圧的な父との確執も深まり、薬物に逃避するようになったブライアンは新作へのプレッシャーから心が完全に折れてしまう。それから20余年、彼に再び希望の光をもたらしたのは、美しく聡明な女性メリンダとの出会いだった。しかし、惹かれ合う二人の間に、ブライアンのすべてを管理する精神科医ユージンが立ちはだかる。メリンダの協力のもと、遂にブライアンは自分の本当の歌を取り戻すために立ち上がるのだが──。
『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)
1970年、ライブハウスに通う若者・フレディは、ボーカルが脱退したバンドに自らを売り込み、クイーンを結成する。彼らは革新的な挑戦を続け、次々とヒット曲を生み出していく。しかし、栄光の影で次第にフレディはメンバーと対立し、孤独を深めていく。
『ロード・オブ・カオス』(2018年)
1987年、ノルウェー・オスロ。19歳のギタリスト・ユーロニモスはバンド、メイヘムの活動に熱中していた。ボーカルのデッドは、ライブ中に自身の体を切り刻むなどの行為を繰り返し、その過激さもあって彼らはブラック・メタル・シーンに受け入れられるが……。
『エルヴィス』(2022年)
人気絶頂で謎の死を遂げたスーパースター、エルヴィス・プレスリー。彼が禁断の音楽“ロック”を生んだライブの日から世界は一変した。型破りに逆境を打ち破る伝説と、裏側の危ない実話。彼を殺したのは誰なのか?