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猫が『糖尿病』になる5つの原因 人と同じで生活習慣が関係する?症状や予防法は?

ねこちゃんホンポ

猫が「糖尿病」になる原因とは

人間の糖尿病の多くは「2型糖尿病」と呼ばれる生活習慣病です。

残念ながら猫も糖尿病を発症する恐れがあります。しかし人間と同じく、食習慣や日常のクセなどが要因になることがあるのでしょうか?

そこで今回は、猫が「糖尿病」になる原因について解説いたします。

1.炭水化物の多い食事

人間と猫の大きな違いは、『猫は本来肉食動物である』ということです。そんな猫が、炭水化物の多い食事を取り続けると、糖尿病になるリスクが上がってしまいます。

というのも猫の体は、炭水化物の摂取によって急激に上がった血糖値を下げることが苦手で、下手をすると高血糖の状態が続いてしまう恐れがあるのです。

そこへ更なる追加の炭水化物が重なると悪循環に陥ります。

そのため、キャットフードを購入する際は、糖分が多く含まれていないものを選ぶように心がけると良いでしょう。

2.ストレスによる血糖値の上昇

猫はクールなように見えて実は繊細な動物です。そのため、日常生活において何かとストレスを受けやすく、それが血糖値の上昇を招く恐れがあるのです。

肉体的もしくは精神的なストレスがかかると、アドレナリンやコルチゾールといったホルモンが分泌され、これが同時に血糖値の上昇を引き起こします。ストレスが持続すると、インスリンの効果が低下し血糖値のコントロールが難しくなることがあります。

日々の生活の中で、「猫が嫌がることは極力しない」「隠れ家を作って安心してもらう」などの工夫を凝らし、不要なストレスを増やさないように気をつけてください。

3.肥満

理想体重(短毛種の場合3kg〜5kg)の猫に対して肥満傾向にある猫は、糖尿病になるリスクが4倍になるといわれています。

肥満になるとインスリンの働きが悪くなり、慢性的に血糖値が高い状態に陥りやすいのです。

糖尿病は、「初期段階ではほぼ無症状」なのですが、徐々に「多飲多尿になる」「よく食べるのに痩せる」などの小さな変化が生じます。さらに進むと、腎障害、神経症状などを起こす恐れがあります。

そう、糖尿病は合併症が恐ろしい病なのです。毛並みの悪さや目が見えにくそう…という異変も、1つヒントになるでしょう。

『いつもとは違う違和感』に気づいた時点で、なるべく早く診察を受けるようにしてください。最悪の場合は「ケトアシドーシス」と呼ばれる状態に陥り、命に関わります。

特に去勢手術後のオス猫にリスクがあるので、術後ある程度体力が回復したら、肥満対策をメインとした食事に切り替えるようにしてください。

4.膵炎

猫の膵炎は、中高齢に好発する病気です。糖代謝に関わるインスリンを作り、放出しているのは膵臓のため、ここがダメージを受けてしまうとインスリンが思うように作られなくなってしまいます。

そのため、膵炎の発症を機に、猫は糖尿病になることがあるのです。特に肥満傾向にある猫や、高脂血症の診断がくだっている猫は要注意です。

ちなみに膵炎は、若い猫でも発症する恐れがあります。急に食欲がなくなったり、1日に何度も吐いたりするなどの症状が見られた場合は、すみやかに診察を受けてください。

糖尿病の原因である肥満を防ぐ意味でも、食事の与えすぎや運動不足に気をつけましょう。仮に猫が食べても良いとされるものでも、人間の食べ物を無闇に与える行為も良くありません。

食習慣や運動習慣を見直し、改善すべきところがある場合は「今日からスタートする」という意気込みで取り組みはじめてください。ストレスとの兼ね合いも見て、できることから少しずつ改善していくことがポイントです。

5.ウイルスや腫瘍、薬剤の影響など

最後に、ホルモン系の疾患やウイルス感染、腫瘍なども糖尿病を引き起こす恐れがあることを知っておきましょう。

また、ステロイドの長期服用も糖尿病のリスクを上げてしまいます。やむを得ない事情でステロイドを使用する際は、獣医さんの指示に従って適切な検査を受けるようにしてください。

そして、将来的な薬剤の使用に備えて肥満にさせないことも重要なポイントです。糖尿病自体の原因と同じく、『肥満傾向にある猫がステロイド治療を受けると糖尿病になりやすい』という特徴があります。

まとめ

猫は甘いものこそ食べないものの、単純な食べ過ぎや炭水化物の多い食事によって糖尿病を発症する恐れがあります。

人と暮らす猫の場合は飼い主さんが諸々管理することになるので、くれぐれも気をつけてください。

糖尿病はひとたび発症すると厄介で、症状が重ければインスリン注射を打たなければならなくなります。猫の場合はコントロールが難しいので、できるだけ回避したいものです。

人間も猫も、糖尿病のほとんどは『生活習慣病』です。日頃の生活習慣を振り返り、改善すべき点は早めに変える努力をしてください。

それでも尚、発症してしまうことがあります。早期発見・早期治療につなげるためにも、些細な異変に目を向けるようによく観察してください。気になることがあれば、かかりつけの動物病院に相談しましょう。


(獣医師監修:平松育子)

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