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ストレスが原因で起こる猫の『心の病気』2選 飼い主さんができるメンタルケアは?

ねこちゃんホンポ

ストレスが原因で起こる猫の心の病気3選

猫のストレスはさまざまな心の病気につながるおそれがあります。

知っておきたい代表的な心の病気について、それぞれの特徴や症状を詳しく見ていきましょう。飼い主が早めに気づくことで、悪化を防ぐことが可能になります。

1.分離不安症

分離不安は、飼い主が不在になると猫が極度の不安や苦痛を感じることを指します。

猫が単独でいることに強く不安を感じたり、飼い主さんなどに強く依存している場合などに見られることが多いです。

甘えん坊の猫や強い執着を持ちやすい猫などに見られることが多いですが、育ってきた環境や普段生活する環境、飼い主さんとの関係性などによっても異なるため、どんな猫でもなってしまう可能性はあります。

症状として、過剰な鳴き声や付きまとい、破壊行動、不適切な場所での排泄、過剰グルーミングなどです。ひどいケースでは、飼い主がトイレやお風呂で見えなくなるだけで症状を発することもあります。

分離不安は、飼い主が見えない状態にすこしずつ慣れさせる「脱感作療法」や、猫の不安を軽減するための環境調整が効果的です。

これには、猫の隠れる場所と外を眺められる窓際の確保に加えて、飼い主のニオイがするものを与えて安心させるというやり方もあります。

2.常同障害

常同障害とは、「退屈」や「五感への刺激不足」といったストレスが原因で、特に目的もなく同じ行動を延々とくり返してしまう行動パターンのことを指します。

具体的な症状としては、過度な毛づくろい(特定の部位を舐め続ける)、自分のしっぽを追いかける、同じ場所を行ったり来たりする、壁などを舐めるような行動が長時間にわたって見られます。

これらの行動をすることで、猫にとっては一時的なストレス解消になっていますが、長期化すると身体的な問題(脱毛や皮膚炎など)を引き起こす可能性があります。

常同障害の治療には、ストレス原因の特定と対策をはじめ、猫特有の「探す」「隠れる」「狩る」などの行動を引き出せるような環境エンリッチメントが効果的です。ただし、重症化してしまうとお薬を使った治療も必要となる場合があります。

飼い主ができる猫のメンタルケア

猫がストレスを感じはじめると、飼い主や同居猫などに突然攻撃的な行動に出ることがあります。猫が直接対処できない不安や不満を、別の形で全く関係のない相手になんとか発散しようする「転嫁行動」です。ストレスを自分に向けると、過剰グルーミングや自傷行動などの問題行動をはじめます。

転嫁行動は、ストレス解消の一環なので短期的には有効ですが、長期的であったり、過度の転嫁行動になったりすると強いストレスを感じているサインとなり、他のトラブルにもつながる危険性もあります。

そのため、猫にくり返し転嫁行動が見られた段階で、原因の特定と同時に猫が規則正しい生活を維持できるようにしましょう。

食事や遊びの時間を決めて一定にすることで、猫が予測可能になり、なおかつ実現するという安心感を与えられます。遊ぶときには、適度な運動になるような遊び方も重要です。

若くて元気な猫なら、走ったりジャンプしたりすることでストレスが緩和されます。あまり活動的ではない猫でも、布の下で手やおもちゃをモゾモゾと動かして興味を引くだけでも猫の狩猟本能を刺激できるので、ストレスの発散には有効です。

継続的なケアは大切ですが、改善が見られない場合には、あわせて専門家に見てもらうことも大切です。状態によっては投薬が必要な場合もあり、投薬によって猫の精神的な負担が軽減されることもあります。

専門家に相談すべきタイミング

「専門家に相談しましょう」といわれても、毎日見ていると、どのタイミングでアクションを起こしたらいいのか迷うこともありますよね。

猫の心の病気に関する場合は、すぐに命の危険があるような緊急性の高いものはほとんどありません。次のタイミングで相談しましょう。

✔症状が1週間以上続く場合
✔攻撃性が急激に増加した場合
✔過剰グルーミングでケガになった場合
✔食欲不振で24時間絶食してしまった場合

子猫や太っている猫の場合は、12〜18時間以上、絶食したら病院へ行きましょう。絶食が長引くと、「肝リピドーシス」という肝臓の病気になる危険が高まるためです。

猫の心の病気を早期発見するためには、環境の変化があるときには継続的に猫の様子を観察するようにし、「何かがおかしい」と感じたら動物病院に相談することが重要です。

猫は家族以外の人や家庭以外の環境では強いストレスを感じやすい傾向もあるため、動物病院の受診が遠のきがちですが、このようなケースを気軽に相談するために、普段から健康チェックや体重管理などでこまめに動物病院へ通って慣らしておくことも大切です。

普段から愛猫の性格をかかりつけの先生に把握しておいてもらうことや、家庭での様子を動画で撮影するなどして、受診の都度診てもらうなども安心できる可能性が高いでしょう。

最近では動物行動学に基づいた行動診療を行う動物病院もあります。あらかじめ探しておくのもよいでしょう。

まとめ

今回は、猫の心の病気について解説しました。

動物であっても、心がある以上は病気になってしまうこともあります。悪化してからの治療は困難になりますが、日々の適切なケアで悪化を予防することは可能です。

猫の心の病気を引き起こす環境の変化は、人がある程度はコントロールできる部分なので、事前にわかっているときには、規則正しい生活の維持や定期的な運動など、予防にも効果的なメンタルケアを習慣化しておきましょう。

猫の精神的な健康は、飼い主の理解にかかっています。愛猫は大切な家族の一員だと思いますが、人間とは異なる生き物で、生まれ持つ性格なども猫らしいものであることが多いです。猫の本質を理解した上で、猫の変化にいち早く気づけるように日頃からの観察をこれからも続けてあげてください。


(獣医師監修:葛野莉奈)

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