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いくら貯めれば安心?30代・40代・50代のリアルな貯金目標は?

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、現在35歳独身、派遣社員として働く女性Aさんからのご相談です。40歳以降は月収20万円ほどで堅実に暮らし、老後に備えたいというお考えです。しかし貯蓄は多くなく、お金の知識にも不安があるとのこと。今後5年間と40歳以降にすべきこと、そして励みとなる年代別の貯蓄目標について考えていきましょう。

派遣社員の35歳独身女性Aさんのご相談内容

現在35歳の女性、独身です。派遣社員で貯蓄もさほどなく、この先も独身でいる予定です。40歳以降は月収20万円くらいで、郊外の家賃の安い家に住み、老後に向けて少しずつ貯蓄をしながら自分の時間を大切にして細々と暮らしていきたいと考えています。とはいえ自由に使えるお金が月5万円ほどあればいいなとも思います。

今までお金について考えてこなかったので、保険や投資、税金についても不勉強です。まず今から40歳までの5年間でできること、40歳以降老後に向けて準備しておいた方がいいことを教えていただきたいです。また独身で過ごすにあたって、年齢ごとの理想の貯蓄額が分かればモチベーションになります。

35~40歳までの5年間でやっておきたい5ステップ

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将来を見据えて、今から行動しようとされているのは素晴らしいことだと思います。漠然とした不安を解消するため、具体的なステップに分けて考えていきましょう。なお40歳以降は月収20万円とありますが、今回は40歳以降の手取り金額20万円と仮定して進めます。

この5年間で将来に向けての基盤を作ることを意識していきましょう。

①現状把握と家計管理

まず、毎月の収入と支出を把握しましょう。家計簿アプリなどを活用して、何にいくら使っているかを知ることが第一歩です。「固定費(家賃、水道光熱費、通信費、保険料など)」と「変動費(食費、交際費、趣味など)」に分けて見直すと、削減できる項目が見つかるかもしれません。支出が削減できれば、貯金や投資などの原資の確保につながります。

②緊急予備資金の確保

病気や失業など、不測の事態に備えるお金(生活防衛資金)を準備しましょう。まずは生活費の3カ月分、最終的には6カ月~1年分を目標に普通預金などすぐに引き出せる形で確保しておくと安心です。なお緊急予備資金の準備の優先度は投資よりも高く、緊急予備資金の準備ができてから投資をスタートさせましょう。

③生命保険

ご自身の状況に合った必要最低限の保障を考えましょう。独身であれば、病気やケガで働けなくなった場合に備える「医療保険」や「就業不能保険」の方が、死亡保障より優先度が高くなります。また生命保険の代わりに、毎月の掛金が手ごろな都道府県民共済などの各種共済に加入するのも有効な選択肢と言えるでしょう。

④投資や資産形成

老後の資金作りには、時間を味方につける「長期・積立・分散投資」が有効です。まずは少額から始められるNISAや、税制優遇の大きいiDeCo(個人型確定拠出年金)について調べてみましょう。月5000円や1万円でも、長く続けることで将来大きな力になります。

⑤収入アップの検討

可能であれば、スキルアップや資格取得を通じて、より条件の良い派遣先を探したり、副業を始めたりすることも選択肢の一つです。収入が増えれば、貯蓄や投資に回せるお金も増えるでしょう。

40歳以降、老後に向けて準備したい5つのこと

40歳以降は、より具体的に老後のことを考えていく時期です。

①年金受給額の試算

厚生労働省の公的年金シミュレーターに年齢や収入・働き方などを入力すると、おおよその年金額がすぐに確認できます。なお、ねんきん定期便があるとより詳しく試算できます。

②老後の生活費の試算

どのような生活を送りたいか具体的にイメージし、月々の生活費を試算してみましょう。老後の生活費は一般的には現役時代の7割程度と言われますが、Aさんは現在35歳で、老後が65歳からとしても30年の時間があります。またインフレなども関係するので、現在の生活費の金額が老後の生活費の金額と考えて良いと思います。

③必要金額の試算

年金収入だけでは不足する額を算出し、それを補うためにいくらぐらいを貯蓄や投資で準備する必要があるのかという目標を立てます。

④働き方の検討

毎月の手取り金額20万円の働き方を実現するために、どのような仕事を選ぶのか、健康で働き続けられるかなどを考えてみましょう。概算ですが、手取り金額20万円であれば、額面金額は26万~27万円程度が目安になります。

手取り20万円の中から、家賃、水道光熱費、食費、通信費、税金、社会保険料、保険料、そして老後のための貯蓄・投資額を差し引いた上で、月5万円の余裕資金を確保できるか、具体的なシミュレーションが必要です。家計の見直しや、場合によっては働き方(収入)の再検討が必要になるかもしれません。

⑤家計管理と貯蓄・投資の継続

40歳までの5年間で身につけた家計管理の習慣を続け、収入に合わせた予算内で生活し、貯蓄と投資を継続します。特にiDeCoやNISAなどの運用は、長期で続けることが重要です。

30~50代、年代別の貯蓄額の目安(単身世帯)

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30~50代の各世代の単身世帯における貯蓄額の目安はどれぐらいでしょうか。以下のデータは令和5年の金融広報中央委員会による調査などを元にします。貯蓄額は収入やライフスタイルによって大きく異なるため、あくまで一般的な目安として参考にしてください。なお文中の金融資産とされているものは、預貯金・個人年金・投資信託・財形貯蓄・株式・債券などを指しています。

30代:年収(手取り分)が目標

年収分(手取り)程度が一つの目安と言われますが、金額のバラつきが大きいです。まずは生活費の3~6カ月分の緊急予備資金を確保し、そこから積み上げていくことを目指しましょう。

なお30代全体の貯蓄額の中央値(データを小さい順に並べた真ん中の値)は100万円ですが、金融資産を保有している人に限定すると中央値は300万円です。

40代:年収の1.5~2倍が目標

年収の1.5倍~2倍程度が目標と言われています。老後がより具体的に見えてくる年代であり、iDeCoやNISAなどを活用して積極的に資産形成を進めたい年代です。なお40代で金融資産を保有している人の貯蓄額の中央値は500万円、金融資産を保有していない世帯を含む40代全体の中央値は47万円です。

50代:年収の2~3倍を目指す

退職が視野に入り、老後資金準備のラストスパート期です。年収の2~3倍、あるいはそれ以上を目指したいところです。なお50代で金融資産を保有している人の貯蓄額の中央値は555万円、金融資産を保有していない世帯を含む50代全体の中央値は80万円です。

※各年代とも回答者の数が300~400名程度であり、調査数が少ないため、あくまでも参考値です。ただ全体的な傾向として、貯金のみの人よりもなんらかの金融資産を保有している人の方がお金を貯めやすいと言えるでしょう。

まとめ

40歳までの5年間は非常に重要な準備期間です。まずは家計の収支を把握し、無駄を見直すことから始めましょう。次に、病気や失業に備えるための緊急予備資金(生活費3~6カ月分)を最優先で確保します。併せて保険の見直しや、NISAやiDeCoといった制度を活用して少額からでも投資を始めてみましょう。可能であれば収入アップも検討してください。

40歳以降は、年金受給額や老後の生活費を具体的に試算し、必要な金額を明確にしましょう。手取り20万円で希望の生活や老後資金の準備が実現可能かシミュレーションし、難しければ修正が必要です。また年代別の貯蓄額はあくまで目安ですが、目標を持つことで着実な準備を進めやすくなるでしょう。

*各年代ごとの調査結果は「家計の金融行動に関する世論調査2023年」から引用していますが、各年代の回答者数が300~400名で分母が小さいため、あくまでも参考値としてご覧ください。

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