やめれば睡眠の質がアップする!男性より女性に多い、眠りを妨げる行動【大学教授が伝授】
睡眠不足による悪影響は想像以上です。睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生によれば、慢性的に睡眠が不足した状態が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることもあるそう。先生が監修した『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)は、最新の睡眠科学がわかる一冊です。さらに、睡眠不足からくるパフォーマンス低下や、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについても解説しています。早速今晩から、自分の睡眠を見直してみては?
※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。
歯ぎしりは睡眠の質に影響する
浅いノンレム睡眠時に歯を強く噛み締めてしまう
歯と歯を強い力ですり合わせたり、噛み締めたりする歯ぎしり。ギリギリといった音や、あごの痛みのため、深い眠りが妨げられてしまうことも。
しかし、自覚症状がないことも多く、診断は困難です。原因としてストレスや歯並びが関係していると考えられていますが、詳細なメカニズムは解明されていません。
睡眠中の歯ぎしりは、ノンレム睡眠の浅い段階で発生することがわかっています。深い睡眠から浅い睡眠に移行する際に小さな覚醒が起こり、それが歯ぎしりにつながると考えられています。ただし、現状の対策は、歯と歯茎を守るマウスピースなどの対症療法しかありません。
歯ぎしりは睡眠の質を下げる
歯ぎしりはノンレム睡眠の浅い段階で起こり、しばしば睡眠を中断させます。歯や歯茎の負担になり、歯周病のリスクが増えるだけでなく、顎関節症にもつながるほか、日中の疲労感が増し、集中力や気分に影響を与えることもあります。
歯ぎしりには種類がある
歯ぎしりは、上下の歯をすり合わせる動作、上下の歯をくいしばる動作、動的に上下の歯をカチカチと噛み合わせる動作などに分類されます。寝ている間には、すり合わせやくいしばりが多く現れます。
すり合わせ型
速く大きく動かしてすり合わせることで、ギリギリと音が鳴り、歯がすり減ってしまいます。
くいしばり型
自分の体重ほどの強い圧力で噛み締めている場合もあり、歯茎とあごに大きな負担がかかります。
歯の負担を軽減する
長期間にわたる歯ぎしりは歯の損傷を引き起こし、顎関節に過度の圧力をかけることで痛みを伴う可能性も。根本的な治療法はないため、マウスピースなどで歯や歯茎、顎関節への負担を減らすといった対処法が用いられます。
マウスピース
歯に加わる力を分散し、歯のすり減りや顎関節への負担を軽減させることで、歯やつめもの、被せものを保護することができる。
バイオフィードバック療法
センサーを装着して就寝し、歯ぎしりやくいしばりを感知すると音や振動、電気といった弱い刺激が与えられることで、自覚・抑制できるようになると注目されている。