20〜60歳代の労働者の8割が日本人の平均睡眠時間以下という調査結果に 特に20歳代は深刻
NTT PARAVITA(大阪府大阪市)は3月13日、同月14日の「世界睡眠デー」に先立ち、同社提供の企業向け睡眠改善サービス「ねむりの応援団」のユーザーデータを基に分析した調査レポートを発表した。
調査の結果、企業で就業している20歳代から60歳代までの、いわゆる「働き世代」の約80%は世界最短といわれる日本の平均睡眠時間(7時間22分)に満たないことが明らかになった。また、9割の人は睡眠の質に満足していないことなど、働き世代における深刻な睡眠課題が浮き彫りとなった。
労働者の平均睡眠時間は、日本人の平均以下の6時間半
経済協力開発機構(OECD)が実施した2021年の調査では、日本人の睡眠時間は7時間22分と、加盟国33か国の中で最も短いと報告されているが、今回の調査では、平均睡眠時間は6時間27分となった。
年代別では、50歳代が6時間3分と最も短く、次いで、60歳代の6時間11分、40歳代の6時間28分、20歳代・30歳代は6時間47分だった。
なお、働き世代の79.9%がOECDの日本の平均睡眠時間に満たなかった。
8割超が「不眠症」の疑い、睡眠不足や睡眠の質低下が原因の可能性
続いて、世界保健機関(WHO)が作成した、8つの質問を行い不眠症を判定する「アテネ不眠尺度」に基づき、 睡眠をさまざまな角度から分析した。
睡眠の質に関する主観調査では、89.2%が自身の睡眠の質に満足していないことがわかった。年代別でも、20歳代から60歳代まで全世代において、睡眠の質への不満が共通していたという。この結果を受け、同社は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠の質においても多くの人が問題を抱えていると指摘する。
また、睡眠計測に関する調査では、働き世代の38.4%が夜間に20分以上覚醒するなど、働き世代の一定数が夜間に中途覚醒を経験していることが示された。そこで、不眠症に関する調査も実施した。その結果、85.1%の人が「不眠症の疑いが少しある」または「不眠症の可能性が高い」結果となった。
睡眠不足や睡眠の質の低下が、日中の眠気や仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えている可能性があると同社は分析している。
特に、20歳代の睡眠不足が深刻という結果に
さらに、寝不足からくる日中の眠気に関する質問では、働き世代の89%が日中に眠気を感じていると回答した。中でも、20歳代は「日中の眠気がかなりあった」「激しかった」と強い眠気を訴える割合が最も多く、全体の36.8%を占めた。
一般的に、年齢を重ねるとともに睡眠の質は低下しやすく、50歳代以降は仕事や家庭の責任増加に伴うストレスに加え、更年期のホルモン変化や身体的不調などの影響により深い睡眠が妨げられる傾向が見られるが、次世代を担う20歳代の睡眠課題が顕著であることが今回の調査で明らかになった。
これは意外な結果であるとともに、プレゼンティズムの観点からも看過できず、早急に対策を講じるべき課題であると、同社は警鐘を鳴らす。
同調査は、2023年7月4日から2025年1月29日まで、ねむりの応援団導入企業のうち、睡眠センサーを用いて睡眠計測を行ったユーザーの睡眠データとアテネ不眠尺度の回答を抽出して分析したもの。調査対象ユーザーは948人(20歳代204人、30歳代157人、40歳代248人、50歳代281人、60歳代以上58人)。
調査の詳細は同社の公式リリースで確認できる。