<わが子に劣等感……!>息子たちの友情、応援すべき?私は「フェードアウトしたい!」【まんが】
私(マイ)には小学2年生の息子リョウタがいます。小学校では仲よしの友達もたくさんできて毎日楽しく過ごしています。ただリョウタがいちばん気を許せるのは、幼稚園時代の親友であるアキラくん。学区が違うため別の小学校に通っていますが、お互い気が合うようで今でも休日一緒に遊んでいます。リョウタに「アキラくんと遊ぶ約束をしたい」と言われるたび、私がアキラくんのママ・チズルさんに連絡をとっていました。
今日は金曜日。チズルさんには土曜の予定をたずねるメッセージを送ってありました。アキラくんと遊びたいリョウタはその返事を心待ちにしていたのです。しかし……。
しばらくチズルさんと話をしたあと、私は電話を切りました。なぜかどっと疲れてしまう自分がいます。リョウタにとってアキラくんは、いちばん気を許せる相手なのだと思います。しかしアキラくんは最近サッカーチームに入り、週末に練習の予定が入るようになりました。
「アキラと遊べるんだったら、プールは休む!」と言われ、私は小さくため息をつきます。リョウタにとっては唯一の習い事なのに、まるでやる気が感じられません。アキラくんは熱心にサッカーを頑張っている様子なのに……。
私は思わず返事に詰まり、聞こえなかったフリをしました。私はチズルさんちと同じ小学校でなかったことに実はほっとしているのです。アキラくんは幼稚園の頃からなんでも上手にできて目立つ子でした。もしそんな優秀なアキラくんと同じ小学校になっていたら、リョウタのことをもっと情けなく感じてしまったことでしょう。チズルさんとは同じ幼稚園のママ友としてここまで仲良く付き合ってはきたけれど……。
アキラくんと遊べないことが分かって落ち込むリョウタ。私はその淋しい気持ちを紛らわせようと、代わりに「ばあばの家に行こうか」と誘いました。私の実家へは電車で30分の距離。私の母はいつも優しく遊んでくれて、リョウタもばあばのことが大好きです。このままアキラくんから気持ちが離れてくれればいいのですが……。チズルさん親子とは学校も違うし、うちから連絡しなければ自然と疎遠になる気がしています。ただリョウタの気持ちを考えると「それでいいのかな?」と迷う気持ちもあったのでした。
口癖を指摘され「相手も疲れるはず」もしや、気づかれてる!?
アキラくんはリョウタにできた初めての親友。幼稚園に通っていたときはそれがとても嬉しくて、母にもよく話していたのです。ママ同士も仲良くしていたはずなのに、最近はチズルさんの話を聞くとなんだか疲れてしまいます。母の問いかけに答え、リョウタが言いました。
熱心にサッカーに取り組んでいる様子のアキラくんと、習い事のスイミングすら面倒くさがっているリョウタ。アキラくんならきっと上手にこなすだろうし、取り組む熱意もずいぶん違うことでしょう。つい比べてしまい私はつぶやきます。
母に伝えたのはそれだけでした。でも娘のことはよく理解しているのでしょう。母は唐突に言いました。
「うん、ママ、すぐ『いいな』って言うよね! 知ってる!」リョウタの無邪気な反応に、母は苦笑いします。
「お母さんはね、小さい頃からナオおばちゃんに『いいな、いいな』って言ってばかりだったのよ」驚きました。私はそんなに姉(ナオ)をうらやましがっていたのでしょうか。でも母に言われて子どもの頃からの思い出を振り返ると……。
「知らなかったの? ママの口ぐせ、『いいなー!』だよ!」リョウタの発言に母は大笑いしました。そしてひとしきり笑った後、私に向かってこう言いました。
優秀なアキラくんを育てているチズルさんを、私はうらやましいと思っているのでしょう。アキラくんのできのよさに、つい心のなかで「いいな」が出てしまうのです。だからチズルさんの話を聞くと疲れてしまうし、フェードアウトしたいと感じているのかもしれません。チズルさんは決して鈍い人ではありませんし、もし私が「いいな」と思っていることを察していたら……。母に諭されて、私は自分の気持ちを見つめなおしたのでした。
ドキッ「私のこと、苦手でしょ?」自分勝手なモヤモヤに決別!
私が勇気を出して伝えると、ほんの少しの沈黙が流れます。しかしその後、チズルさんはあっけらかんと答えました。
「……あ、やっぱり? 私のことが苦手なのかなっていうのは最近なんとなく感じてたけど……」チズルさんには、私の自分勝手なモヤモヤはとっくに伝わっていたのです。申し訳なく思いながら、私は素直に伝えることにしました。
とっさに返した私の言葉を聞いて、チズルさんが大きな声で笑いだしました。久しぶりに聞くチズルさんの笑い声。幼稚園の頃はリョウタとアキラくんが遊んでいるのを見守りながら、2人で立ち話をしてよく笑っていたのを思い出しました。そしてチズルさんは明るくさっぱりした声で答えます。「……なんだ、そうだったの?」
「サッカーに熱心なのはいいけれど、上手くできないと悔しいらしくて暴言も吐くし……。チームの当番は大変だし、マイさんが想像するほど良いものじゃないよ?」私はチズルさんの言葉を聞いて気づきました。誰だって他の人のことを「いいな」と思うことはあるのです。ただ相手との関係を気遣って、むやみに表に出すことがないだけ。なのに私はチズルさんにその気持ちをぶつけてしまっていたのです。
通話を終えた後、ふと目に留まったアルバムを開きます。リョウタが幼稚園に通っていたときの写真です。
「よかった、嫌われていると思ってたよ」チズルさんは明るく笑ってそう私に言いました。私からの誘いを断っていたのも「リョウタくんが遊びたいって言うから仕方なく連絡をくれていると思っていた」からだと言います。反省しかないです……。そこまでわかったうえで「また遊ぼう」と言ってくれたチズルさんに、私は心から感謝しました。これからは他の人のことをむやみにうらやましいと思って嫉妬することのないよう関わっていきたいと思います。