「蔵のある家」ってどう?特徴を徹底解説
最近人気の「蔵のある家」の特徴は、何といっても広々とした収納空間。しかし、「蔵のある家」の魅力は収納力だけではありません。 この記事では、「蔵のある家」の魅力をご紹介。蔵のタイプ別の特徴やメリット・デメリット、設置の際に考慮しておきたいポイントも解説します。
蔵のある家とは?現代版の蔵の特徴をご紹介
現代版の蔵の特徴
「蔵のある家」は昔ながらの蔵ではない現代的な構造になっていますが、そもそも昔からある伝統的な蔵とはどのようなものなのでしょうか。 伝統的な蔵の特徴は、別棟として建てられていたこと。伝統的な蔵には、家財道具、ハレの日や年に一度しか出番のない道具、季節外れの衣装や寝具などが大切に保管され、次の出番を待っていました。 対して現代版の蔵の最も大きな特徴は、屋内に設置されていること。ライフスタイルや住宅事情の変化により伝統的なスタイルの蔵を建てる人は減りましたが、より利便性を高めた屋内の大収納空間として現代版の蔵を取り入れる人が増えています。
蔵はほかの収納と何が違う?ポイントは「集中収納」
パントリーやウォークインクローゼットは、キッチンや寝室に設置されてすぐに収納・取り出しできる「分散収納」型の収納空間です。 一方現代版の蔵は、「分散収納」では収めきれないシーズン用品やアウトドア用品、防災備品などを保管できる「集中収納」型の収納スペース。このように、同じ収納スペースでも適している用途は異なります。
収納力だけじゃない!蔵のある家の5つの魅力を解説
蔵収納で居住スペースを削らずに収納力を確保
納戸やクローゼットなどの広い収納スペースをつくる場合、一般的にはキッチンやリビング、個室などのスペースの一部を削って収納に充てることになります。対して蔵の場合は、中2階の下部分に収納スペースを設置したり、 蔵の天井の上をスキップフロアとして活用すると、実質的には部屋の面積を削らずに収納を確保できます。
お気に入りのものに囲まれた生活空間を実現
季節外れの冷暖房器具、クリスマスツリーや雛人形など、活用する期間や頻度が少ないけれどかさばるものは、生活空間や収納を圧迫しがち。それらを蔵に収納すれば、リビングや個室の収納には活用頻度が高い必要最小限のものを置いて、部屋をすっきりと見せることができます。 食器や洋服はたくさん持っていても、実際に使うのは全体の約2割程度だといわれています。蔵があれば、オフシーズンの洋服や出番の少ない洋服、使っていない食器や来客用の食器も収納できるのです。クローゼットや食器棚もすっきり片付き、常にお気に入りのものに囲まれて暮らすことができます。
蔵を設置することで天井も高く
蔵の設置場所によっては、部屋の一部がスキップフロアのように高くなるため、その分天井も高くなります。 日本の住宅の一般的な天井高は約2.4mです。高さ0.5mの蔵であれば、1階の天井高が約2.9m、高さ1.4mの蔵なら天井高が約3.8mとなり、吹き抜けのような開放感のある空間を実現することも可能です。 2階の窓やバルコニーの位置も高くなるので、隣家との目線の位置がずれ、洗濯物も干しやすくなるでしょう。
出入口・高さをカスタマイズできる
蔵は天井高を低くすることでデッドスペースを有効活用したり、蔵の上や下にも居室をつくることができます。出入口の位置や数を工夫すれば、居室や通路から物を出し入れできるほか、風の通り道をつくって通気性を高めることも可能です。 特に収納スペースは湿気が溜まりやすいため、通気性を高めておくことが大切です。蔵収納は、通常の収納スペースと比べて自由度が高い点も魅力のひとつ。通気性や生活のしやすさなども考えながら、自分のライフスタイルに合った「蔵のある家」をつくりましょう。
子どもも喜ぶ秘密基地のような空間に
蔵のスペースの一角は、まるで秘密基地のような雰囲気。秘密基地が大好きな子どもの遊び場や、インテリアを工夫してパパのくつろぎ空間になっているというケースも多くあります。 収納空間として使うだけでなく、家族で楽しめる場所としても活用できる点は大きなメリット。「蔵のある家」に住むことで、毎日の生活がもっと楽しくなります。
人気の蔵タイプ5つのポイントは?
蔵は、元祖「蔵のある家」のミサワホームをはじめ、さまざまなハウスメーカーから提供されており、目的や用途に合わせていろいろなタイプがあります。数ある実例の中から、評判の高い5つのタイプを解説します。
土間タイプ
コンクリートでできた土間タイプは、1階の玄関やリビングから屋外につながる位置に設置し、土足で出入りが可能です。そのためアウトドアグッズやガーデニングの道具など、野外で使用するものやペット用品の収納に便利です。家の内外からものを出し入れできるよう、蔵に出入口を設置すると便利でしょう。 ただし、規定で外側に開口部をつけられない自治体もあるため、設置が可能かどうかを事前に確認しておきましょう。
パブリックスペース隣接タイプ
1階または2階のリビングやキッチンなど、共有スペースの横に蔵を設置するタイプです。家族みんなで使用するものや来客用の椅子、使用頻度の少ない家具、日用品のストックや防災用の備蓄などを保管するのに最適です。 蔵の高さを抑えて上部をスキップフロアにするなど、大容量収納を確保しつつ、おしゃれで実用性の高い間取りにできます。
中2階タイプ
1階と2階の居室の間に収納空間を設け、踊り場などからものを出し入れできるようにした蔵です。空間を有効活用できるとともに、蔵が緩衝地帯となって2階の騒音を1階に伝わりにくくする効果もあります。 子どもが2階で走り回っても階下まで音が響かないため、二世帯同居の家庭にも人気の蔵タイプです。
小屋裏タイプ
屋根と天井の間は小屋裏と呼ばれる空間で、デッドスペースになりがち。小屋裏を階段つきの蔵にすることで、ハシゴで上り下りするロフト収納よりも安全に大きなものを出し入れできます。 居室スペースを削らずにデッドスペースを活用できるので、平屋でも人気の蔵タイプです。
ガレージ上タイプ
ビルトインガレージを設置する場合、デッドスペースになりがちな上部空間を活用して蔵を設けるのもおすすめです。2階の居室スペースにも出入口を作れば使い勝手もよく、防災用の備蓄や家具など、さまざまなものを収納できます。
蔵のある家のデメリットは?注意点もご紹介
蔵の活用目的が不明確だと使用しなくなる
蔵は活用目的がはっきりしている人にとっては、とても便利で使い勝手のよい収納です。しかし、蔵をどのように活用したいか、何を収納したいかなど具体的なイメージを持たずに設置すると、結局使いこなせないこともあります。 蔵の特徴やほかの収納との違いを押さえながら、家族にとって本当に必要かどうかを見極めることが大切です。
低めの天井高が体の負担になることもある
蔵は収納するものの種類に応じて高さを低く抑え、空間を有効に活用できます。しかし、腰をかがめてものを出し入れするためどうしても体に負担がかかることも。特に高齢になった際、使いづらくなることを考慮しておきましょう。
設置場所によっては階段数が増える
中2階の蔵タイプの場合は階段の数が増えるため、年齢を重ねると昇り降りが辛くなることも考えておきましょう。また、1階で洗濯したものを2階で干す場合などは、家事動線が長く複雑になることも。動線も考慮しながら間取りを決めましょう。
夏場は高温多湿に注意
蔵は夏場に暑さや湿気がこもりやすく、特に小屋裏タイプは高温多湿になりがちです。設置の際はハウスメーカーとよく相談し、風の通り道ができるよう出入口の位置を工夫したり、小窓や換気扇をつけたりするなどの対策をしましょう。
まとめ:蔵のある家ですっきり快適な暮らしを実現しよう
今回は、伝統的な収納の知恵を現代のライフスタイルに合う形で復活させた「蔵のある家」をご紹介しました。蔵は居室スペースも収納力も確保したい人にとって、大変使い勝手のよい収納スペースです。 メリットだけでなくデメリットや解決方法もふまえて計画すれば、すっきり快適な暮らしを実現する助けになるでしょう。蔵のある家を検討する際の参考になれば幸いです。