<SDGs週間に開催される水族館のイベント4選> 水生生物を通して自然・環境を学ぶ
9月25日は国連で採択されたSDGsの記念日「Global Goals Day(グローバル・ゴールズ・デイ)」です。そして、Global Goals Dayを含む1週間は「Global Goals Week(グローバル・ゴールズ・ウィーク=SDGs週間)」とされており、持続可能な開発目標に向けた行動を促進する週間に設定されています。
このGlobal Goals Weekに合わせ、日本各地の水族館においても来場者に向けたSDGsの認知拡大、意識向上への取り組みが行われています。今回はその中でも4つの水族館の取り組みに注目してみました。
SDGsは<17の目標>と<169のターゲット>から構成
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称。それぞれの単語の頭文字と、Goalsの「s」を合わせた言葉です。
国連が定めた、国際社会共通の17の目標(ゴール)と169のターゲットから構成されており、キーワードは「誰一人として取り残さない」こと。
それぞれ持続可能な社会を作るための目標で、人権に関するものから文化・教育に関するもの、環境に関するものまで、ゴールとターゲットはさまざまです。一人ひとりがそれぞれを意識して過ごすことで、社会全体の幸福、持続可能な社会を目指しています。
SDGsのひとつに掲げられているのが、目標14「海の豊かさを守ろう」。
ターゲットとして、海洋ごみをはじめとする陸上活動による海洋汚染の防止や、海洋資源の管理により生態系回復のための取り組み、海洋酸性化への対処など、合計10個のターゲットが定められています。
横浜・八景島シーパラダイス「シーパラ SDGs WEEK」
神奈川県横浜市にある「横浜・八景島シーパラダイス」では、9月20日から28日の期間「シーパラ SDGs WEEK」を開催しています。
「シーパラ SDGs WEEK」は今年で5回目の開催。生きものたちや暮らしている環境や、その自然環境を守るためにできることを考える機会を提供しています。
水族館の役割である「種の保存」について学べる「SDGsシアター ~シーパラのこどもたち~」や、生きものの標本を触ったり、顕微鏡で観察しながら飼育員による解説を聞ける学習体験プログラム「シーパラいきもの教室」など、水族館の意義・生きものの生態をしっかりと学べるプログラムが開催されています。
特に、SDGs週間の期間限定ガイドツアー「オーシャンツアー」では、水族館「うみファーム」を巡りながら、身近な海「東京湾」をテーマとした環境問題の解説を実施。うみファームでは、実際に魚を釣って食べることもできます。
五感を使って海の環境問題に触れることができそうです。
「サンシャイン水族館 SDGs WEEK」
東京都豊島区にある「サンシャイン水族館」で9月20日から28日まで開催されている「サンシャイン水族館 SDGs WEEK」では、飼育されているケープぺンギンやサンゴに焦点を当てた展示を実施中。
気候変動の影響で絶滅の危機に瀕しているケープぺンギンと、海の高水温化により白化現象が進行するサンゴ礁は、どちらも近年の気候変動の影響により深刻なダメージを受けています。それぞれが受けている影響を、グラフや羽の量による可視化によってわかりやすく伝えます。
また、資源循環の仕組みを利用し、水槽で野菜を育てるアクアポニックス水槽を展示。アクアポニックス水槽で育てられた野菜はサンシャイン水族館の生きものに与える取り組みも行います。
マクセル アクアパーク品川「サステナウィーク」
東京都港区にある水族館「マクセル アクアパーク品川」では、9月20日から28日までの期間、アクアパークの「サステナウィーク」を実施しています。
サステナウィーク中は、新しい展示エリア「Wonder Research(ワンダーリサーチ)」で特別プログラム「おうちトーク」を開催。支え合って生きている自然界の生きものたちについて学べます。
Wonder Research(ワンダーリサーチ)(提供:株式会社 横浜八景島)
また、通年行われている「ドルフィンパフォーマンス」の前に、SDGs講話「イルカのごはんのおはなし」を実施。海洋ゴミが間接的にイルカに与える影響について解説しながら、海の豊かさをできるために私たちができることを考えるきっかけを提供しています。
飼育スタッフ目線のライブ映像と解説で生きものの魅力や生態を伝えるプログラム「ワイルドライブビューイング」では「サステナver」として、ぺンギンとアザラシに焦点をあてたプログラムを1日2回開催中です。
上越市立水族博物館「うみがたりのサステナビリティアクション」
新潟県上越市にある上越市立水族博物館「うみがたり」では、9月20日から11月24日までの期間、持続可能な社会の実現を目指した企画「うみがたりのサステナビリティアクション」を実施中。
うみがたり1階のフィーディングプールでは、プランターに植えたリーフレタスやコマツナなどをアクアポニックス農法で栽培。新潟県立海洋高等学校、新潟県立高田農業高校と協同で、アクアポニックスをスタートさせるのに必要な苗や、それを育てるための肥料づくりにも挑戦していることも展示のポイントです。
キタノアカヒレタビラ(提供:株式会社 横浜八景島)
また、上越市内で生存数が激減した魚「キタノアカヒレタビラ」や、日本海沿岸の河川において個体数が著しく減少しているニホンイトヨなど、希少な淡水魚を展示。近年の河川環境の悪化や、それに伴う保全活動についての理解を深めることができます。
持続可能な環境をつくるためには、海洋だけでなく、山や河川の環境にも目を向けることが大切であることを教えてくれます。
SDGs週間は普段の行動を省みるきっかけに
環境保全や持続可能な社会が求められる昨今、私たちは普段からそれらを意識して過ごせているでしょうか。
特に都市で過ごしていると、自然と環境への意識は希薄になっていきます。私たちを育んできた海や森について、私たちが今できることを改めて学ぶことが大切です。
水族館では、自然に暮らす生きものたちの姿に出会うことができます。この期間、水族館を通して自然環境について考えなおしてみてはいかがでしょうか。
イベントの詳細については、各水族館の公式ホームページで確認することができます。
※2025年9月25日時点の情報です
(サカナト編集部)