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妖怪と生きた漫画家の軌跡。水木しげるをめぐる映画5選

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妖怪と生きた漫画家の軌跡。水木しげるをめぐる映画5選

日本を代表する漫画家・水木しげる。
1922年3月8日に大阪で生まれ、鳥取県境港市で育った彼は、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などの妖怪漫画で知られ、日本の妖怪文化を現代に蘇らせた唯一無二の偉大な存在です。2015年11月30日、93歳で逝去した水木しげるの命日は「ゲゲゲ忌」と呼ばれ、彼が長年暮らした東京・調布市では毎年追悼イベントが開催されています。また、2023年には生誕100周年を記念した鬼太郎映画の最新作の公開、Netflixでは1989年のテレビアニメ版から30数年後の世界を舞台にした『悪魔くん』が配信されるなど、今なおファンを魅了し続けています。

そこで今回は、「ゲゲゲ忌」に合わせて、水木しげるという人物と、彼が生み出した作品世界を映画を通して振り返ってみたいと思います。

ありがとう、水木先生。

『ゲゲゲの女房』(2010年)

監督:鈴木卓爾
出演:吹石一恵、宮藤官九郎、村上淳 ほか

【あらすじ】
昭和36年、島根県安来市。大家族の中で育った布枝(吹石一恵)は、東京に住む貸本漫画家・しげる(宮藤官九郎)とお見合いをし、わずか5日後に結婚、慌ただしく上京することになります。しかし布枝を待っていたのは、想像を絶する貧乏暮らしでした。戦争で左腕を失い、ひたすら妖怪漫画ばかりを描き続けるぶっきらぼうな夫との生活に、最初は困惑する布枝。しかし、どんなに貧しくても漫画家として、飄々と妖怪を描き続ける夫の姿に、次第に心を動かされていき……。

【おすすめポイント】
NHK朝ドラでも大ヒットした武良布枝の自伝を、鈴木卓爾監督が映画化。水木しげるという天才漫画家を、夫婦の日常という視点から描いています。本作は、水木しげるが国民的漫画家になる以前の、誰にも知られていなかった苦難の時代を描くことで、彼の作品に込められた執念と愛情を浮き彫りにしています。

『妖怪大戦争』(2005年)

監督:三池崇史
出演:神木隆之介、豊川悦司、岡村隆史、水木しげる ほか

【あらすじ】
両親の離婚で、東京から母の故郷・鳥取に移り住んだ10歳の少年タダシ(神木隆之介)。都会育ちのタダシは田舎の生活に馴染めず、学校でも浮いた存在になっていました。ある日、神社の祭りで「麒麟送子」に選ばれたタダシは、大天狗の山へ伝説の聖剣を取りに行かなければならなくなります。勇気を出して山に入るも、怖じ気づいて引き返してしまうタダシ。その途中で、彼は猫のような不思議な生き物と出会います。一方その頃、日本各地では子供が消える事件が多発し、妖怪たちも何者かに襲われる異変が起きていて……。

【おすすめポイント】
水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきという妖怪を愛する4人の作家がプロデュースチーム「怪」を結成し、三池崇史監督が映画化した痛快ファンタジー。水木しげるの妖怪世界を総動員した圧倒的なビジュアルが見どころです。河童、天狗、一反木綿、ぬりかべなど、日本各地の妖怪たちが実写映画の中で躍動します。そして特筆すべきは、水木しげる御本人が出演していること。劇中で重要な役割を果たしているので、要チェックです。

『カッパの三平』(1993年)

監督:平田敏夫
声の出演:田中真弓、堀絢子、天野由梨 ほか

【あらすじ】
おじいさんの十兵衛と山奥で暮らしている少年・三平。学校で「カッパ」とあだ名されている三平でしたが、泳ぎが苦手でした。ある日、水泳大会に向けて川でこっそり練習していた三平は、急流に飲み込まれてしまいます。意識を取り戻すと、そこはなんと河童の世界で……。

【おすすめポイント】
水木しげるの初期の代表作「河童の三平」を、にっかつ児童映画が製作した長編アニメーション。本作の魅力は、水木しげる作品の中でも特に温かく、子供向けのファンタジーとして描かれている点にあります。河童という日本の伝統的な妖怪を愛らしいキャラクターとして描きながらも、水木しげるらしい妖怪世界の不思議さと奥深さは健在です。現代のCGアニメとは異なる温かみがあり、ノスタルジックな魅力に溢れています。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023年)

監督:古賀豪
声の出演:関俊彦、木内秀信、種崎敦美 ほか

【あらすじ】
鬼太郎と目玉おやじが訪れたのは、廃墟となった哭倉村。そこで目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を語り始めます。昭和31年。哭倉村は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配していました。幽霊族の末裔である鬼太郎の父(後の目玉おやじ)がこの村にやって来たのは、行方不明の妻を探すためでした。そこで彼が出会ったのが、ある野心を胸に、龍賀一族の秘密に迫ろうとしていた血液銀行の行員・水木で……。

【おすすめポイント】
水木しげる生誕100周年を記念して製作された、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの最新劇場版。鬼太郎誕生の秘密を、昭和30年代の日本を舞台に、大人向けの重厚なダークなミステリーとして描いています。興行収入20億円超を記録する大ヒットとなり、子供向けと思われがちな『ゲゲゲの鬼太郎』に新たな可能性を示しました。

『悪魔くん ようこそ悪魔ランドへ!!』(1990年)

監督:佐藤順一
声の出演:三田ゆう子、室井深雪、古川登志夫 ほか

【あらすじ】
町では、子供たちが夢遊病のように消えていくという奇妙な事件が多発していました。消えた子供たちは、黒悪魔の策略により「悪魔ランド」と呼ばれる小島に集められていたのです。黒悪魔は、人間界を悪魔の力で支配しようと企んでいました。子供たちの行方を追っていた悪魔くんは、メフィスト、百目をはじめとする十二使徒と共に悪魔ランドへ乗り込みます。

【おすすめポイント】
『ゲゲゲの鬼太郎』と並ぶ水木しげるの代表作『悪魔くん』の劇場版アニメーション第2弾です。水木しげるは、日本の妖怪だけでなく、世界中の悪魔や魔物にも造詣が深く、本作ではその知識が遺憾なく発揮されています。1990年代初頭のアニメーション作品として『ゲゲゲの鬼太郎』の陰に隠れがちですが、ぜひチェックしておいてほしい1本です。

戦争で左腕を失い、極貧の中でも漫画を描き続け、日本の伝統的な妖怪文化を現代に蘇らせた、水木しげる。妖怪漫画のイメージが強いかもしれませんが、戦争体験を描いた「総員玉砕せよ!」、自身の幼少期を描いた「のんのんばあとオレ」など、心に響く名作も多数残しています。11月30日の「ゲゲゲ忌」に、水木先生の功績を振り返るとともに、懐の深い豊かな作品群に触れてみるのはいかがでしょうか。

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