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ホタル、集まれー!餌のカワニナ放流 釜石・中小川町内会「生息地守る」 地道に活動中

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 ゲンジボタルの生息地として知られる釜石市の小川川で16日、地域住民が、ホタルの幼虫の餌になる巻き貝「カワニナ」を放流した。中小川町内会(佐々木正雪会長、約280世帯)が地域の豊かな自然を守ろうと実施し、今年で3回目。今回も中流域の「ワッカラ淵」と呼ばれる河川敷から、親子連れら約40人が手分けして約1000匹を水中に放った。

放流は小川川の中流域「ワッカラ淵」の河川敷で行われた


 放流の前に、釜石ホタル友の会の臼澤良一会長(75)がカワニナとホタルの生態や自然とのつながりを紹介した。カワニナはきれいな水が流れる川や用水路に住み、それを食べるホタルの生息にも良好な水質の河川環境が欠かせない。「ホタルの光を見て自然保護の大切さをアピールする場は地域の財産」などとし、保全活動の重要性と協力を呼びかけた。

 参加者は水槽に入ったカワニナを触って観察しながらバケツに投入。川辺に並んで、流れの緩やかな場所に放った。近くに住む外川啓翔君(9)は「初めて参加した。生き物は苦手だけど、やってみたら楽しかった。ホタルが増えるといい」と期待。父直樹さん(51)は「以前はすごくホタルが飛んでいた。その風景を子どもに見せたい。川で遊ぶ機会も減っているが、自然に触れるいい機会になった」と目を細めた。

臼澤良一さん(左下写真)の話を聞いて興味深そうにカワニナ(右下写真)を触る子どもたち


「ほーたる来い」。子どもらは流れが穏やかな場所にカワニナを放った


「原風景を子どもたちに残したい」。地域の大人たちは願う


 同川にはホタルが自生しており、初夏にはワッカラ淵で観察会も開かれる。無数のホタルが飛び交い、多くの人の目を楽しませていたが、東日本大震災後は仮設住宅整備など環境変化の影響を受けたのか、生息数が減少。台風や豪雨による川の増水などの影響もあって、カワニナ自体が減っていることも分かった。

 「美しい風景を再び」と考えた住民らは、ホタルを増やすためにカワニナを探し、2022年に同川の上流域で発見。採集して、佐々木会長(74)が自宅で育ててきた。昨年からは旧小川小の校庭の一部を市から借り受け、水路を整備。繁殖させる環境を増やして放流数を確保し、息の長い活動を見据えている。

カワニナの繁殖地として旧小川小敷地に整地された水路


「ホタルの里」を守るため地域ぐるみで活動を続ける佐々木正雪会長


 ホタルの見頃は例年6月下旬~7月中旬。放流の成果が分かるのは数年先だが、住民たちは「カワニナは少しずつ増えている」と感じている。そして、今年はすでにいくつかの淡い光を確認。佐々木会長は「震災前の光景を復活させたい。もっと多くの若い世代に関わってもらい、みんなで自然環境を守り続けられるような取り組みにしたい」と望んだ。

 小川地区の豊かな自然環境を次世代につなぐのを狙いに継続する「第9回ほたるの里まつり」は7月7日に開催する予定。ワッカラ淵すぐそばの中小川集会所前にステージを設け、地元の芸能団体による歌や踊り、餅まきなどが行われる。

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