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見て、触れて、味わって知る「サケ」 かまいしこども園児 郷土の水産業に理解一層

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児85人)で11月28日、サケの解体学習が行われた。同園の年長児が取り組む「サケ学習」の一環。サケの一生や漁獲方法、食卓に上がるまでの過程を教わった園児らは、地元で取れた雌サケの解体を見学し、さばいた切り身を炭火焼きで味わった。

 同学習は地元水産資源の学びを通して郷土愛や環境保全意識の醸成につなげようと、海洋教育パイオニアスクールプログラム(笹川平和財団海洋政策研究所など主催)の助成を受けて2021年度から行われる。今年度の学習は春の稚魚放流からスタート。夏には漁獲や市場の様子を映像で学んだ。

 3回目となった今回は恒例の解体学習。はじめに、講師を務める岩手大三陸水産研究センター特任専門職員の齋藤孝信さんが、これまでの学びのおさらいとして、サケの成長過程や定置網での漁獲方法、市場での競りなどについて話した。齋藤さんは「みんなが甲子川に放流したサケの赤ちゃんは北の海で大きくなり、4年後の秋に釜石の海に戻ってきます。大きな網を仕掛けて取ったサケは、市場で仲買人さんが買って魚屋さんに並びます」と説明。最近は戻ってくるサケが少なくなっていることも教え、「サケが戻ってこられるきれいな海や川にするため、ごみは決められた場所に捨てよう」などと呼び掛けた。

岩手大の齋藤さんはサケが食卓に届くまでの過程を説明


 いよいよ本物のサケが登場。齋藤さんが腹に包丁を入れるとイクラが姿を見せ、園児から歓声が上がった。用意されたサケは体長75センチ、重さ4キロの中型。両石湾仮宿沖の定置網で前日朝に漁獲された。園児らはサケの体に触ったり、鋭い歯がある口の中や頭の近くにある心臓を観察したり…。初めて見る体内や各部位に驚きの表情で見入った。解体学習には年長児のほか、年中児も特別参加した。

釜石の海で水揚げされたサケに目を輝かせる園児


初めて触るサケの体の感触は?


鋭い歯が並ぶサケの口の中を見てびっくり仰天!


 梶原環ちゃん(5)は「血がちょっと怖かった。サケの体はぬるぬるしていた。イクラが好き。サケを食べるの、楽しみ」と、この後の試食を心待ちにした。

 内臓などを取り除き、切り身にしたサケは塩をふって、園庭で炭火焼きにして味わった。「おいしー!」と声をそろえる園児たち。「カリカリする」「焦げがちょっと苦い」「塩がしょっぱい」「皮、大好き」…。それぞれの舌で海の恵みの味を表現した。

サケが焼き上がるのを心待ちに見守る園児


炭火で焼いたサケの切り身をじっくり味わう


 3年間、同学習に協力してきた講師の齋藤さんは「映像を見せる、実物を触らせる、放流をするなど、さまざまな体験が子どもたちの興味喚起につながっている。サケへの理解も随分、深まっている」と手応えを実感。海や海産物に親しむことで、地産地消の推進、魚食普及にもつながることを願い、「将来、漁師になりたいと思う子がでてくれればさらにうれしい」と10年、20年後に期待を寄せる。

 サケが豊漁だったころは、家庭の軒先に新巻きザケが並ぶ光景が冬の風物詩だった釜石。近年の水揚げ激減で、そうした景色も見る機会が減った。澤田利子副園長は同学習について、「魚(漁業)のまち釜石をもっと身近に感じられるようになったのではないか。地球温暖化や海洋(プラスチック)ごみの魚への影響が顕著になってきている。子どもたちには自然を大切にするなど、環境問題にも関心を持ちながら育っていってほしい」と願う。同園のサケ学習はこの後、新巻きザケ作りの見学なども検討している。

お腹を開いたサケの体内に目がくぎ付け。貴重な学びの時間


取り出したばかりのイクラの塊に興味津々


女の子はきらきら光るイクラの粒にこの笑顔

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