顕著な成果 5者表彰 市ものづくり産業表彰で
ものづくりの分野で著しい成果を挙げた個人や市内の事業者を表彰する「令和6年度八王子市ものづくり産業表彰」が発表され、2月10日に授与式が行われた。14回目となる今年度は、個人表彰に(株)アドニクス(台町/小島要代表取締役)から3人、(株)阿川美装店(犬目町/阿川祐樹代表取締役)から1人、計4人が選ばれた。団体表彰には(株)メデック(下恩方町/関和之代表取締役)が決定した。
人工衛星用の通信機
(株)アドニクスは、無線通信機器などの研究開発メーカー。人工衛星の通信機において、従来品より高速・大容量のデータ送受信を可能としながら、重量も消費電力も5分の1に減らすことに成功した。これにより、ロケットそのものの小型・軽量化、開発期間の大幅短縮、コスト削減に寄与し、日本の宇宙産業の発展に大きく貢献している。この人工衛星用通信機の一辺の長さが8cmなのは「八王子だから」という。同製品の開発は、今年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞も受賞している。
小島代表の他、開発部の新家隆広さん、望月知也さんも表彰を受けた。
建物に適した塗料を
阿川美装店は塗装、防水工事を行う専門会社。阿川代表は、昔からの建築塗装仕上工法を継承しつつ、時代に合わせた新しい工法も常に探求し取り入れている。近年では、太陽光を反射する効果のある遮熱塗料などの機能性塗料が流通していることを受け、各建築物に適した塗装を提案する技能が評価された。阿川氏は今年度の東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞も受賞している。
人材育成に注力
団体表彰を受けたメデックは、内視鏡など医療関連の部品製造会社。高技能を持つ人材を育成するため、部門別力量評価表を用いた体系的な人材育成を実践。加工時間が製品のコストに直結することを受け、従業員の技術評価を給与に反映させ、モチベーションの向上につなげている。今年度の東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞では奨励賞を受賞。
市の授与式は市役所本庁舎で2月10日に実施。アドニクスの小島代表は「3人で知恵を絞って小型化を実現した。評価されてうれしく思う」、阿川美装店の阿川代表は「学校でも講師として教えており、後進の育成にも力を入れている」、メデックの関代表は「技術の継承は会社の存続に関わるので重要視している。今回の表彰は、社員にとってもうれしく励みになる」とそれぞれ受賞の思いを語った。