海辺のプラスチックごみを拾ってキーホルダーを作る方法 ゴミ問題を身近に感じよう
JAMSTEC(海洋研究開発機構)の運営する情報サイトで興味深い記事を見つけました。その記事によると、深海にプラスチックの溜まり場ができているというのです。今回の記事では、プラスチックごみに関心を持ってもらうべく、“ゴミのアップサイクル”をメインテーマにお届けします。
(アイキャッチ画像提供:keiko)
海のプラスチック汚染
2016年に開催された世界経済フォーラムで、海のプラスチックの量は2050年までに魚の量を上回るだろうという衝撃的な発表がありました。
プラスチックは自然分解がされません。大きさが5mm以下になった「マイクロプラスチック」は海に堆積して生物の生態系や人体へ大きな問題を引き起こします。
そんなに海にプラスチックごみってある? と思われる方もいるかもしれません。JAMSTECの記事によると、プラスチックごみは深海の海底へと到達しているのだそうです(深海にもプラスチックの溜まり場が! 海のプラスチック汚染を可視化する 深海底や中層に溜まる永遠に消えないごみ-JAMSTEC BASE )。
筆者もプラスチックは“軽い”というイメージがあったので、まさか深海に堆積しているとは思ってもいませんでした。
プラスチックごみでキーホルダーを作る
今回は私たちにできることのひとつとして、プラスチックごみを使ったキーホルダーの作り方を紹介いたします。製作にあたってこちらの記事を参考にさせていただきました。([保存版] ご家庭用アイロンを使い、プラごみからめちゃんこカワイイアクセサリーを作る)。
要約すると、集める、砕く、入れる、溶かす、整えるの5ステップです。
用意する道具は、海辺で集めたプラスチックごみと、キーホルダーのフレーム、クッキングシート、ニッパーにピンセット、アイロンです。
上記の道具はほとんど100円ショップで用意ができますので、お子様への夏休みの宿題の候補にも最適です。ただしアイロンを使うので、やけどなどの事故を避けるためにもお子様は保護者の方と一緒に制作しましょう。
1. プラスチックごみを集める
ビーチへ行くと多くのごみが打ち上げられています。プラスチックごみには熱を加えてはいけないものもあるので、注意が必要です。今回はペットボトルのキャップを中心に集めてみました。
ペットボトルのキャップは一般的にポリプロピレン(PP)で作られており、アイロンで溶かしても有害ではありません。集めたプラスチックが熱を加えてもいいものかどうかを見分ける方法は、水につけて浮くかどうかを見てください。水に浮くプラスチックは、220℃以下の熱であれば有害物質は発生しないものと判断できます。
ただし、マイクロプラスチックは有害化学物質を取り込みやすいです。不安な方はビーチクリーンとは別に、ペットボトルのキャップをご用意された方がいいでしょう。
どちらにしても作業する場所は換気をしっかりとし、自己責任で行ってくださいね。(参考:プラスチック(樹脂)の見分け方|代表的な3素材の特徴も)。
2. 洗浄して細かく砕く
拾ったプラスチックを水や洗剤で洗浄をします。水分はペーパータオルなどでしっかりと拭き取りましょう。
大きいものはニッパーを使って細かく砕きます。この作業には握力が必要で、手が本当に疲れます。海で半永久的に分解されないというプラスチックの手ごわさを感じる瞬間でもあります。
3. フレームに入れる
今回は、100円ショップで購入したキーホルダー用のフレームを使用しました。
アイロン台の上にクッキングシートを敷き、その上にフレームを置き、フレームの中に溢れるくらいのプラスチックを入れます。
4. アイロンで溶かす
3の上からクッキングシートを掛け、アイロンをかけます。
設定温度は高温にします。上からプレスするというより、溶かしてすりきり、伸ばすようなイメージでアイロンすることがポイントです。
溶けてはみ出ても問題ありません。フレームの中でへこんでいる部分があったらプラスチックを追加して、作業を繰り返せばOKです。
このとき、プラスチックは高温になっています。やけどを避けるためにも素手で触らず、ピンセットを使うようにしましょう。
この作業を表裏両面で行います。
5. 形を整えコーティングをする
プラスチックが完全に冷めたら最後に整えます。はみ出た部分はニッパーで切り落としましょう。完成品は色が混ざりあってかわいいですね。
今回はマニキュアのトップコートで艶出しと、シールを貼ってアレンジをしてみました。海を泳ぐシャチとダイバーです。
「自然の力で分解できない」を実感
所見としては、製作よりも準備に時間と労力がかかりました。実際にプラスチックを細かく砕いてみると自然の力で分解できないのも納得で、ごみをアップサイクルすることの大変さを実感しました。
自分で作ったものには愛着も湧いてくるもの。体験と物理的な思い出があることで、よりプラスチックごみに向き合えるのではないでしょうか。
みなさんもぜひ自分だけの海のストーリーをのせて製作してみてください。そして、これを機会に海洋プラスチックごみに関心をもっていただけると嬉しいです。
<keiko/サカナトライター>