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帝国喫茶 “伝えること”を追求し自分たちの音楽を磨き上げてきたバンドの3rdアルバム『帝国喫茶Ⅲ ストーリー・オブ・マイ・ライト』はいかにして完成したのか

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帝国喫茶 撮影=菊池貴裕

ホップ・ステップ・ジャンプという言葉を使うならば、3月19日リリースの帝国喫茶の3rdアルバム『帝国喫茶Ⅲ ストーリー・オブ・マイ・ライト』はジャンプの作品、つまりこれまでの成果を踏まえながらも、大幅な成長を遂げた素晴らしい作品となった。バラエティに富んでいて、ポップでキャッチーで親しみやすい曲が並んでいる。しかも彼らの人間味あふれる個性も全面的に発揮されている。彼らは自分たちのオリジナリティーを自覚した上で、“伝えること”を徹底的に追求し、自分たちの音楽を磨き上げてきたのだ。伝わりやすいことは、多くの人に知ってもらう機会を増やすことに繋がっていく。これは彼らがさらなる飛躍を遂げるきっかけの作品となるだろう。4月13日には自主企画イベント『喫茶店の日 2025』も開催される。『ワンマンツアー2025「ストーリー・オブ・マイ・ライト」』も5月16日からスタートする。アルバムとツアーとイベントについて、さらにはバンドが新たな地平へ進んだ流れについて、杉浦祐輝(Gt&Vo )、アクリ(Gt)、疋田耀(Ba)、杉崎拓斗(Dr)というメンバー4人に聞いた。

――3rdアルバム『帝国喫茶Ⅲ ストーリー・オブ・マイ・ライト』は、これまでの活動の成果が見事に結実した作品だと感じました。それぞれの手応えを教えていただけますか?

杉浦:この1年、帝国喫茶の音楽をいかに伝えるかを突き詰めてきましたが、今作はその成果が表れたと感じています。今まで以上に、伝えることができた作品になりました。

杉崎:前作までの2作は、帝国喫茶というバンドをどんなものなのか、自分たちでも探りながら作っていたところがあったんですよ。“こういうバンドなんだな”という本質が見えてきたことが大きいですね。今回、いろんな曲をやっていますが、帝国喫茶という軸があるからこそ、できることなんですよ。3rdアルバムが完成して、その軸がより太くなったなと改めて感じました。

――“こういうバンド”とは?

杉浦:4人のバラエティがあることもそうですし、それぞれが人間の中にある普遍的なものを歌いたい気持ちを持っていることもそうですし、それが帝国喫茶らしさに繋がっていると思っています。今作では光がひとつの鍵になっていますが、メンバーがそれぞれの視点で“日常生活の中にある光”や“生きていく中で大事にすべきこと”を描いています。

杉浦祐輝(Vo.Gt)

――3人のソングライターの人間性が曲に反映されていることが、曲の世界の幅の広さや深さに繋がっているんでしょうね。

杉浦: 1人で書いていると、視点が限られてしまうところがありますね。3人で書いているからこそ、人間の普遍的な部分に近づけているのかもしれません。

――疋田さんはアルバムが完成して、まず思ったことは?

疋田: 1曲1曲のカラーがあるアルバムになったということですね。曲ごとに風景が変わり、ストーリー性のある作品になったなと感じています。帝国喫茶のカラーを自分たちがより理解した上で、3人のソングライターが作っているので、帝国喫茶という大きな幹があった上で、そこから1曲1曲が枝分かれしているイメージがあります。1曲ごとの色合いは違いますが、曲を書いている人たちの根っこは繋がっているので、共通するものはあると思います。

――アクリさんはいかがですか?

アクリ:とてもシンプルな感想になりますが、アルバムができて思ったのは、いい曲たちが集まったなということでした。どの曲も演奏するのが楽しみですし、この新作を携えて、ツアーで全国を回るのが今からとても楽しみです。

――「アップオールナイト」「会いたいんだよ」「ビフォア・サンライズ」など、ライブの光景が見えそうな曲もあります。

アクリ:早く新曲をライブでやりたいですよね。

――バンドの個性を突き詰めて、伝えることを意識したとのことですが、曲作りにおいて、これまでとの違いはありますか?

杉崎:1、2作目もそうだったんですが、より一層、お客さんの存在が浮かぶようになってきました。ツアーの本数を重ねてきたことが大きいと思います。最初の頃はともかくガムシャラに曲を作っていたんですが、ステージに立って、お客さんとのやり取りをする中で、意識が自然に変わってきました。

――というと?

杉崎:以前は“背中を押す”という感覚がありましたが、今はともに肩を組んで手を繋いで、一緒に進んでいくイメージが強くなってきました。実際にお客さんとそういうことができる曲を作りたいと思っています。

疋田 耀(Ba)

――疋田さんは曲作りで、変わってきたことはありますか?

疋田:今回のアルバムに入っている曲では、最初に書いたのは「さよならより遠いどこかへ」で、その次に「光を迎えに行こう」を書いて、「sha na na なjourney」、「グッバイ・コメット!」、「ひとりぼっちの幸せの空へ」、「アップオールナイト」という順番で書いていったんですが、その過程で変わっていった部分がありました。気持ちで作るのか、頭で作るのか、考えながら作っていたんですよ。もちろんその両方とも必要ですが、そのバランス、塩梅が少し変わってきたかなと。

――後半の曲ほど、より頭を使っているということですね。曲の構成やアレンジなど、練り上げて、突き詰めて、音楽としての完成度の高さを追求している印象を受けました。

疋田:そうですね。「ひとりぼっちの幸せの空へ」、「アップオールナイト」は、最後のほうに作った曲なんですが、この2曲は音楽の持っている国語的な部分と数学的な部分でいうと、数学的な部分に注目して作りました。レコーディングでも、音符をしっかりイメージしつつ。聴いた人に、演奏している人の手元が見えてきたと思ってもらうのが理想という。

――「ひとりぼっちの幸せの空へ」の歌詞では、杉浦さんのギター、ES-335が登場しています。アレンジも素晴らしいですし、確かに、それぞれの演奏が見えてきそうです。コーラスも空間的な広がりがあって、随所に洋楽的なアプローチを感じました。

疋田: 洋楽的なテイストは意識して作ったところはあります。

――「sha na na なjourney」も洋楽的なテイストを持った、ポップかつキャッチーな曲です。

疋田:リフの繰り返しをうまく使うことを考えて作った曲が多いですね。

―― 杉浦さんは、曲作りで変化してきたことはありますか?

杉浦:今回、僕が作ったのは「東京駅」と「会いたいんだよ」の2曲なんですが、人に伝えるにはどうすればいいのかを考えながら作っていました。僕は自分のことしか書けないんですが、パーソナルなことが人に伝わるようにするには、散文的なものよりも、ストーリー性があるほうがいいのかなと考えながら作ったところはありました。12曲集まってからアルバムタイトルを決めたのですが、物語を感じられる曲が集まっていたので、“ストーリー”という言葉を入れました。

――「東京駅」は1コーラスごとに時間経過があって、ストーリー展開の見事な曲です。2024年1月にシングルとしてリリースされた曲ですが、そもそもどんなきっかけから作ったのですか?

杉浦:2ndアルバムリリース後に、“伝えること”についてより深く考え始めたんですよ。自分の気持ちを描くのではなくて、人間にとって大切なものをテーマにして作ってみようと思って作ったのが、この「東京駅」です。時間が経って会えなくなったり、距離が遠くて会えなくなったりすることってあると思いますが、遠く離れているからこそ、強くなる感情を物語として描いてみようと思って作りました。

――時間や距離が離れている象徴として、東京駅を舞台にしているところも見事です。“人に伝わるように”意識して作るようになったことは、歌うことにも影響を与えていますか?

杉浦:ボーカルに関しては、今までは自分が歌えば、帝国喫茶の音楽になると思っていたんですよ。でも伝えることを考えてから、“自分が歌えば帝国喫茶になる”という意識を手放したところはあります。2人が作った曲には僕にはない視点や感情があるので、そうした歌を歌う場合には、自分ではなく、歌の主人公になりきって歌うことを意識するようになりました。

――「グッバイ・コメット!」でのせつない歌声も、歌詞の主人公をイメージした上での歌なんですね。

杉浦:そうですね。

アクリ(Gt)

――アクリさんは、3人から今回の新作の曲があがってきて、印象に残っていることはありますか?

アクリ:どの曲も印象に残っていますが、今、話に出た「グッバイ・コメット!」を初めて聴いたのは、ヒッキー(疋田)さんが弾き語りしているデモで、ひとりで喫茶店で聴いていて、泣きそうになりました。

――せつなさの極地の曲ですもんね。

アクリ:そうなんですよ。だからこの曲のギターソロに関しても、自分が曲から感じたことも含めて、思いを込めて、丁寧に優しく弾きました。わたしは3人からできてきた曲を最初に聴ける立場でもあるので、その時に感じたことを大切にして、演奏に反映できたらと考えています。

――「グッバイ・コメット!」はどんなきっかけから生まれた曲なのですか?

疋田:それも喫茶店の話になるんですけど。

――帝国喫茶のインタビューなので、どんどん喫茶店の話を入れてください(笑)。

疋田:ある時、喫茶店でボーッとしていて、ふと妄想してしまったことがあったんですね。音楽を聴かない人が今、目の前にいるとしたら、自分がバンドでどんな活動をしても、音楽業界の人がどんなに頑張っても、まったく届かないんだろうな、ものすごく遠い距離があるんだろうなって無力感が湧いてきたんです。その無力感をきっかけとして作り始めた曲です。“近いけど遠い”のは悲しいなあ、物理的には会える距離でも、事情があって会えないとは、悲しいなあって、いろいろ考えつつ。あと、星が好きなので、星を題材にしたところもありますね。「さよならより遠いどこかへ」も流れ星が題材ですし。杉浦くんの曲でも「星のマーチ」(1stアルバム収録曲)がありますし。

――みなさん、星好きという共通点があるのかもしれませんね。アルバムタイトルの“ライト”とも通じるところがあります。

疋田:遠くでキラキラしているものって、綺麗だけれど、ちょっと悲しいと感じてしまうタイプの人たちが集まっているのかもしれません(笑)。今までとの違いということでは、あえて情けなさを出したくて作った曲であることですね。これまでは、情けなさをテーマにすることはありませんでしたが、情けなくなる瞬間って切実なものだし、そこまで踏み込みたいと思いました。「グッバイ・コメット!」ではそうした感情を上手く描けたなと思っています。

――感情の微妙な機微を丹念に描いた曲が多い印象も受けました。杉崎さんの作った曲「なんとなく」も、曖昧な感情を曖昧なままに描いているところがいいですよね。

杉崎:自分の作ったすべての曲に共通することかもしれませんが、はっきりさせたくないところがあるんですよ。人間って答えや正解を決めたがるじゃないですか。でも大事なのは、結論ではなくて、過程なんじゃないか、どういう思いでそこに行き着いたのかではないかと思っています。「つもる話し」にも《知らんけど》というフレーズが入っていますし、「ビフォア・サンライズ」でも、決めつけたことではなくて、偶然から生まれるものについて歌っていますし、決めつけないのが好きなんです(笑)。

――決めるってことは、そこで判断を停止することにつながる場合もありますもんね。

杉崎:もちろん強い意志を持って決めることが大事な瞬間もありますが、決めつけないことも大切にしていきたいと思っています。

――アルバム1曲目の「光を迎えに行こう」は、《いっせーのーでー》というかけ声で始まります。これは?

疋田: 普通なら、ドラムのスティックのカウントで入るところですが、バンドが楽器で一方的に始めるのではなくて、お客さんにとっても親しみやすい口語的なもので始めたいなと思って、《いっせーのーでー》にしました。何かを始める時や何か重たいものをみんなで一緒に持ち上げる時のかけ声みたいなイメージですね。

――みんなで一緒に息を合わせて始まる感じがいいですね。

疋田:作った後に気付いたことなんですが、《いっせーのーでー》って関西人しか言わないみたいなんですよ(笑)。だから逆に、ツアーで演るのが楽しみです。ご当地それぞれの言い方があるから。どこだっけ? “さんのーがーはい”で始めたのは?

アクリ:福岡ですね。

疋田:土地によって、親しみやすいカウントになればいいかなって思っています。

――「光を迎えに行こう」はどんな時に生まれたのですか?

疋田: 「さよならより遠いどこかへ」を作り終えてカラッポになって疲れ切った時に、これからどうしようか、毎日をしっかり生きていかなければいけないなと思ったんですね。それで、《光を迎えに行こう》というフレーズが出てきてくれたというか。この言葉を曲名にできるぐらい、明るい方にいきたいと思いながら作りました。

――4人の奏でる音の中にも光に向かっていく感覚が宿っていると感じました。明るくて温かくて人なつこいエネルギーが詰まっていて、アルバムの始まりにふさわしい曲なのではないですか?

杉浦:自分たちの色を出すことと曲を伝えていくことのバランスが良くて、両方が叶ったわかりやすい曲になりました。人間の大事な部分を歌うとしても、100人いたら100人すべてには当てはまらない場合もあると思うんですよ。でもこの曲は、“日々の暮らしの中にある光”がテーマになっていて、100人いたら100人に当てはまる曲だと思います。なので、アルバム1曲目にふさわしいなと考えて、この位置に入れました。

――アルバムのラストを締める「ビフォア・サンライズ」も《ステージの光》というフレーズがあって、やはり光がテーマとなっています。しかも、《行くぜフォーピース》など、バンドの決意表明のようなものも伝わってきます。演奏する気配がリアルかつダイレクトに伝わってくるところも素晴らしいです。どんなきっかけから?

杉崎:「ビフォア・サンライズ」はお客さんと一緒に進んでいきたいという気持ちやこの4人でバンドとして進んでいきたいという気持ちを描いた曲です。テーマは“バンド”。僕の思う“帝国喫茶とはこんなバンドです”ということを全面に出して作りました。

――なぜバンドをテーマにして作ろうと思ったのですか?

杉崎:4人でバンドのことを話す機会があって、自分自身でも改めて、バンドと向き合ったんですね。もちろんこれまでも向き合ってきたんですが、ここまで心を裸にして向き合ったのは初めてだと思います。その時の気持ちをストレートに表した曲です。3部構成になっていて、1つ目のブロックはバンドの中の個人に焦点を当てています。2つ目のブロックでは個人が4人集まってバンドになって、そのバンドの塊に焦点を当てていて、3つ目のブロックは、バンドとお客さんとが一体となって作り上げるライブに焦点を当てています。ストーリー展開のはっきりした曲になりました。

杉崎拓斗(Dr)

――楽器の存在感も際立っています。それぞれ、どんな意識で演奏したのですか?

杉浦:僕は今作に関しては、自分を手放して、歌の主人公になりきって歌う意識で臨んでいましたが、この曲はバンドのことなので、自然に感じるままに歌いました。

――アルバムラストにぴったりの曲ですよね。

杉浦:自分にとっては、バンドも1つの光なので、このアルバムの最後にあることで、より説得力があるのかなと思っています。バンドのこれまでのストーリーがそのまま曲になっている気がします。4人が集まってバンドになって、どういうバンドにしていくのかをそれぞれが考えながら走ってきて、次はお客さんのほうに向かっていくバンドの姿が歌になっているという。

――疋田さんは演奏に関しては?

疋田:ベースの話になりますが、3部構成の3部目はスピードがすごいことになっているんですよ(笑)。かなり速いテンポで、しかもタクティー(杉崎)から、「動き回ってください」との注文があって、“オレ、行けるのか?”と思いながら、必死でついていきました(笑)。でもその必死な感じが良かったのかなと感じています。

杉崎:ガムシャラ感を出すために、あえてできる限界ギリギリの演奏をしてもらいました(笑)。

疋田:ピックで弾くこともできたんですが、指で刻んだほうがよりバンド感が出るのではないかと思い、頑張りました。

アクリ:私も必死でした。ラストのサビのフレーズは、レコーディング当日まで悩んだ末に決めたんですよ。最後は全員でユニゾンで歌っているんですが、コーラスすることを想定せずに、ギターのフレーズを作ってしまったので、今もライブに向けて、ガムシャラに練習しています。

―― 「光を迎えに行こう」も「ビフォア・サンライズ」もそうですが、光がモチーフとなった曲が数多く収録されています。『ストーリー・オブ・マイ・ライト』というアルバムタイトルはどのようにして決めたのですか?

杉浦:12曲揃ってから考えました。アルバムタイトルはいつもそういう付け方をしています。事前に“こういうアルバムにしよう”みたいなことは決めず、4人の中から自然に出てくるものを入れていきたいからです。今回も12曲集まった時に、物語のある曲が並んでいるな、自分たちの伝えたいこと、自分たちらしさは“光”や“輝く”というキーワードとして現れているなと思ったので、光を伝えていくための物語ということで、このタイトルに決めました。

―― アルバムジャケットもとても素敵です。タイトルが決まったことを受けて、描いたのですか?

アクリ:そうです。構図はみんなで考えました。『ストーリー・オブ・マイ・ライト』というタイトルになってから、重厚感のある洋書みたいなものが立っている構図を決めて、そこから帝国喫茶らしさを出すために、いろいろと試行錯誤して作りました。本を開くと、キラキラした光があふれ出てくるイメージもありました。ジャケットは本になっていますが、このアルバムを聴いてくださった皆さんに、それぞれの歌によって、キラキラした思い出が浮かんできたり、大切な思いを感じてもらえたら、うれしいですね。

――疋田さんが帝国喫茶の音楽を木にたとえて、幹と枝の話をしていましたが、本の表紙に描かれている木ともつながりますね。

疋田:意識してませんでしたが、伏線になりましたね(笑)。

アクリ:木で輝いている星の数も、曲数に合わせて12個になっています。

―― アルバムツアーについてもうかがいたいのですが、ツアーが始まる前に、4月13日には恒例となっているイベント『喫茶店の日2025』もあります。2023年から開催していますが、そもそもどういう趣旨で始めたのですか?

杉浦:中身は毎回変えていますが、その日にしかできないことをやろうというのが趣旨です。4人それぞれに音楽以外のところでもものづくりをしているので、そこの部分も見えるといいんじゃないかなと思っています。

――それぞれどんな一日にしたいと思っていますか?

杉崎:僕たちにとっても、ファンの皆さんにとっても、ご褒美的な一日になったらいいですね。普段のライブは、好きになってもらおうという気持ちで演奏していますが、この日は、僕らのことを好きでいてくれている人、応援してくれている人に喜んでもらいたいという気持ちが強いです。同時に、僕たちも純粋に楽しめる企画を考えたいですね。

疋田:『喫茶店の日』はライブとはまたちょっとテイストが違っていて、パーティーに近いんですよ。年に1回のパーティーなので、いつもとは違う服を着て、おめかしている自分たちを見てもらえたらいいのかなと思っています。

アクリ:去年~一昨年よりも、さらにお客さんに近い『喫茶店の日』にしたいです。トークコーナーもやる予定なんですが、一方的に私たちが話すのではなくて、一緒に参加する感覚を、お客さんにも味わってもらえたらいいですね。音楽以外の部分、趣味などのパーソナルな部分も見てもらえたらと考えています。

――『喫茶店の日』は、1888年4月13日に東京・上野で日本初となる本格的な喫茶店「可否茶館」が開業したことにちなんで制定された由緒のある日なんですね。

杉浦:いつか4月13日を祝日にしたいと思っています(笑)。この日がお正月みたいになったらいいですよね。お客さんも毎年その日を楽しみにして、その日に向けて頑張る、みたいな。

――そしてアルバム『ストーリー・オブ・マイ・ライト』のツアーが5月16日の名古屋クラブクアトロからスタートします。どんなツアーにしてたいですか?

杉浦:これまで2回ツアーをやって、お客さんの前で演奏することで見えてきたこと、実感したことがたくさんあったんですよ。そうした実感に基づいて、伝えることを意識して作ったのが『ストーリー・オブ・マイ・ライト』なので、これまで以上に、みんなの心に届くステージができたらいいなと思っています。

杉崎:ストーリー性を感じ取れるアルバムになったので、そのアルバムをひっさげたツアーでも、ストーリー性を感じてもらえるものにしたいですね。アルバムと曲順は変わるので、ライブはライブで、また違うストーリーが浮かび上がると思います。お客さんのことを考えながら作った曲を、実際のライブで演奏できるのは純粋に楽しみでもありますね。

疋田:新曲をライブでやれることが大好きなんですよ。自分たちの作った曲をどう受け取ってもらえるのかなってことも楽しみです。新作を持ってツアーに行くことは、新品の服を着ることに似たところがあって。“どうですか? 似合ってますか?”って、お客さんの反応を見るのも楽しみです。もちろんこれまでに発表した曲もやるので、お馴染みのTシャツに新しいジャケットを合わせてみました、みたいなコーデも出てくると思います。みなさんの反応を肌で感じることで、曲が成長していく部分もあるだろうし、その過程を体験できることも楽しみです。

アクリ:新曲が入ってくることで、今までの帝国喫茶のライブのノリとはまた違うノリも出てくると思うんですよ。地方ごとにノリや雰囲気も違うだろうし、楽しみですね。「光を迎えに行こう」の《いっせーのーでー》も土地によって変えていけたらと思っています。今はライブに向けて練習中で、必死ですが、その必死さも含めて楽しみたいですし、お客さんにも楽しんでほしいです。

取材・文=長谷川誠 撮影=菊池貴裕

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