バサジィ大分 今季のキープレーヤー 闘志衰えぬ田村龍太郎がチームを優勝へ導く 【大分県】
Fリーグ開幕を迎えるバサジィ大分をけん引するキープレーヤーを、2回に分けて紹介する。第2回は5季ぶりに復帰した田村龍太郎。36歳にしてなお衰えぬ運動量と勝者のメンタリティーで、若きチームに「勝つための空気」を注ぎ込む。
バサジィ大分に、頼れるベテランが帰ってきた。田村龍太郎、36歳。Fリーグ通算400試合出場を超えるキャリアの持ち主が、5季ぶりに古巣のユニフォームに袖を通す。クラブ最高成績となるリーグ2位を3度経験した男が、再びピッチに立つ理由はただ一つ。「このクラブで、もう一度勝ちたい」という思いだ。
昨季、田村はしながわシティでプレーし、全日本選手権優勝に貢献。その過程で、日々の練習の厳しさと勝利への執念がいかに結果を左右するかを、改めて実感した。自身が得た経験を若手に還元したいという強い思いが、復帰の決断を後押しした。
オファーを出した狩野新監督とは何度も言葉を交わした。「戦力として必要だ」というシンプルで真っ直ぐなメッセージが心を動かした。「年齢ではなく、姿勢と運動量で評価されたことがうれしかった」と語る田村は、今もなお走り続ける。
体力の衰えを感じさせない田村龍太郎
その運動量は健在だ。大きなけがなくキャリアを積み重ね、練習量を落とすことなく体を維持してきた。「練習の1分1秒を大切にする姿勢が勝敗を分ける」と話すように、田村の言葉と行動には説得力がある。若い選手が増えた今のチームで、ベテランとして、その背中で伝える責任を感じている。
復帰後もプレースタイルは変わらない。攻守にわたって走り、ゴール前で得点やアシストに絡むプレーを担う。守備でも球際での激しさを武器に、チームにエネルギーを注入する。今季の個人目標として掲げるのは「ゴール+アシストで2桁」。その数字には、まだまだ衰えを見せない情熱が込められている。
「バサジィには1日中フットサルに向き合える環境がある。それを選手一人一人が価値として捉え、優勝への思いを強く持てば、今の立ち位置は必ず変えられる」と語る田村の復帰は単なる戦力補強ではない。勝つための「意識改革」そのものだ。
かつての仲間たちの多くはチームを去り、今やロッカールームには若い顔ぶれが並ぶ。それでも田村はひるまない。後輩たちの前で、体現してみせる覚悟がある。次戦は6月1日、古巣となったしながわシティとのホーム戦だ。静かに、だが確かに、この男がチームに火をつける。
今季もチームの最前線に立ち続ける
(柚野真也)