食堂の炒飯は俺たちの聖火台。須賀川市に灯り続ける老舗の味わい
第74回「あじみ食堂」
急に冷え込んできましたね。
加速する秋に、紅葉狩り気分で鮮やかな紅生姜を愛でようと、第74回のふくしま定食部は須賀川市へ。
国道4号線と須賀川駅の間、福島交通須賀川営業所の向かいにあります「あじみ食堂」さんを目指します。
国道からヨークベニマル須賀川西店の交差点を西へ。ほどなくして左手に現れる“これぞ食堂”な佇まい。多少の時間では醸し出すことのできないロケーションに、引き戸を開けるときはいつもドキドキです。
中に入ると、右手に厨房と店内を仕切るようにカウンター。そして左手にテーブル席。※カウンター奥の座敷は時間帯により休止中
厨房から放たれる熱量を全身に浴びたいなら、迷わず深紅のカウンターです。
個人的に飯ものをオーダーしがちでしたが、今日は麺類もチョイスして、チャーハンとミニラーメンの組み合わせで行きましょう。
オーダーを告げたら、カシャンと炒める鍋の音をBGMに、次回に向けてメニューの確認をして待ちます。
個人的にお気に入りの「焼肉定食」は、柔らかい国産豚肩ロースに、甘辛いニンニクだれが最高。なによりカレー味のショートパスタが、「あじみ食堂」さんの代名詞的存在。
前半はそれぞれに味わって、醍醐味の終盤は焼肉のタレとカレー風味が混然一体となって旨味の宇宙!
焼肉系やみそ系は、女将さんから「ニンニクはどうしますか?」の確認コール。
すかさず、口角を半分上げて「お願いします」とニヤリ。お店が提案するフルポテンシャルを堪能しない手はないですよね。
ソースカツ丼は、丁寧に筋切りされ、ラードでカラりと揚げられたグラマラスな一杯。特製ブレンドソースに食欲も前のめり。
他にも丼メニューには、煮込みでもソースでもない“マヨメニュー”に毎度胃袋をくすぐられます。
メニューを回想していると、注文した「チャーハン+ミニラーメン」が湯気を揺らしながら到着です。
「あじみ食堂」さんのラーメンは、本家、小野町の仙台屋食堂さんから受け継いだ味。
ほんのりと甘み・節香るラーメンは、Wナルト、わかめ、チャーシュー、柔らかく煮込まれたメンマと、ミニとは思えない充実の内容。
ストレート中太麺を手繰る手を一度ステイさせたら、本日の目的「チャーハン」の出番!
特製しょう油だれを使った、コクのある所謂しっとりチャーハンは、炒めたネギの香ばしさも相まって、シンプルながら豊かな味わい。
チャーハンの頂にしっかりたっぷり盛られた紅生姜は、胃だけではなく心にも灯る“俺たちの聖火”。
流行りの味ではないかもしれません。でも、子どもの頃に楽しみにしていた懐かしい「食堂の味」。思い出がオーバーラップして涙が出るほど美味しかった。変わらずに在り続けていただきたい味です。
魅力的なチャーハンは、さらに段階的な破壊力を伴って、また別の魅力も解き放っています。
チャーハン→チャーハン大盛→無限チャーハン→無限チャーハン大盛とボリュームアップ。さらにその上、無限チャーハン特盛ともなれば、2回に分けないと炒められない約5合の脅威の量。
無頼/無敵/無双/無限といったメガメニューは、たくさん食べたいお客さんが多くて、サービスして行くうちに誕生したそう。
創業は昭和50年の半世紀食堂。この味わい、ロケーション。そのすべてが定食部員を虜にするお店。
お腹も心も満たされたらお会計です。
再び引き戸を開けたら、秋の心地よい風。「あぁ良い1日だなぁ」と思える素晴らしい食後のクールダウン。後味の余韻と幸福感は比例しますね。
ごちそうさまでした。
あじみ食堂
住所
須賀川市山寺道2-7
電話番号
0248-75-1743
営業時間
11:00~18:30
休み
毎週日曜日
駐車場
約10台(第2駐車場含む)