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邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった

おたくま経済新聞

邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった

 理不尽な炎上を疑似体験することが出来るWebコンテンツ「絶対にバズるSNS」が、9月15日から公開されています。

 Xのタイムラインに流れてきたので興味本位に遊んでみたら、AIを駆使した“リアル”な炎上体験になかなか背筋が凍る思いをすることに……。

【ショート動画にまとめられる】

■ 映画とのタイアップで生まれた、パーソナライズされた炎上が疑似体験できるコンテンツ

 no plan株式会社が手掛ける「絶対にバズるSNS」は、9月26日公開の映画「俺ではない炎上」のプロモーションの一環として、制作されたもの。

 SNSにおける理不尽な“粗探し”の思考プロセスを学習させたAIが、ユーザーの投稿した1枚の画像の粗を徹底的に探し、炎上シナリオを自動生成するという内容です。なんという邪悪なAI……。

 AIを使っているということは、自分が投稿した画像に対して、いわゆるクソリプ(コメント)が自動生成されて寄せられる、ということでしょうか。

 これまで炎上やバズを疑似体験できるWebコンテンツはいくつか出てきましたが、AIを使用して、ユーザーにパーソナライズされた炎上が体験できるコンテンツというのは、初めて聞く気がします。

 怖いもの見たさに駆られ、試しに遊んでみました。

■ どうということはない料理画像を投稿!最初は温かな言葉が届くが……

 まずページを開くと警告として「理不尽な言葉が含まれるため、不安を感じる方は体験をお控えください」とのメッセージが。これが表示されるあたり、かなりのガチ感を抱きます。大丈夫でしょうか……。

 警告画面の次は、画面で規約に同意をし、SNSに実際に参加してみます。

 プロフィール登録の画面では、よりリアルに炎上を体験するために本当の情報を入力します。ドキドキしてきました。

 「まずは画像を投稿してみましょう!」との案内が出るので、直近の記事で使った「しらたき炒飯」の画像を添付。

 さらにテキストも入力できるようなのでなんのひねりもなく「しらたき炒飯!!」と入れ、投稿します。

 「バズるその瞬間まで『Y』を覗いてみましょう」とのことなので、しばらくはタイムラインを眺めてみることに。先ほどの投稿、一体どこに炎上の余地があるのやら……さすがのAIもこれを炎上させるのは難しい気がします。

 待っている間タイムラインをスクロールしてみると、自分以外のユーザーの投稿も見ることができます。並ぶ投稿は「前髪きりすぎてオワタ」「朝食はグラノーラとヨーグルト」といった何気ないものばかりで、とても静か。誰もレスバを繰り広げていない、平和な世界。

 しばらくすると通知音とともに、画面下部のベルのマークにバッジ表示が。誰かが反応をくれたようです。

 その後もリポスト、いいね、コメントが相次ぎ「さっそく炎上か?」と思いきや「めっちゃファンになりました!」「毎日みてたい!」「仲良くしてください!」といった穏やかなものばかり。若干のインプレゾンビ感は否めないですが、炎上ではなく、応援のコメントなので悪い気はしません。

 さらにDMも届き、こちらも「淡い色に見えるのに、ちゃんと黒が生きてるのすごい。画面の芯がぶれてない……好き。」とよく分かりませんが、お褒めの言葉。同じ画像をみていると思えないほど芸術的観点からの評価ですが、やっぱり悪い気はしません。

 「へー、バズるってこんな感じなんだー。いいなー」とバズったことない暦=年齢の筆者としてはホクホク気分。

 しかししばらくすると不穏なDMが……。

■ 止まらなくなる通知音、自分の画像についての“粗探しコメント”にゾッ……!

 「その一皿のためにどれだけの資源が無駄になったか考えたことある?」先ほど筆者の画像を芸術的観点から評価してくれたのと同じアカウントから、斜め上すぎる指摘が入りました。手のひら返しがすごい。

 さらに別のアカウントから「どうせまずいからあの量しか作れなかったんでしょ?」というメッセージも。は?

 そしてここから通知音が止まなくなり、投稿の方に戻れば、こっちも惨憺たる有り様。

 リプライ欄には「男の料理でこの量はさすがに情けない」「幸せなのは分かったから、わざわざ見せつけないでくれる?」「フードロスに加担してる自覚ありますか?」「そのお皿の余白、君の心の中を表現してるの?」といっためちゃくちゃなコメントがずらりと並んでいます。皿の余白もダメなの……?

 全部が全部「は?」としか思えないような内容ばかりなのですが、リアルで炎上しているアカウントへの投稿も、本当にこんな的外れ&論点ズレまくったリプライで溢れてますからあながちフィクションとも切り捨てられません。

 そしてコメントはどれも自分の投稿した画像に関連する内容なので、AIだと分かっていても、少し嫌な気分。もしこれがリアルの人間からだったら……なんて考えたくもありません。

 さらに炎上はSNSを飛び出して、メッセージアプリへ。「LIME」というアプリの通知が届いたので開いてみると、母や取引先と思しき相手から連絡が。

 母から届いているのは「町内会の回覧板で『孤独炒飯男』ってあんたの写真が出回ってるって連絡が……」「あのスカスカのお皿、何なの!?」などのメッセージ。余白、そんなにダメ?

 さらに取引相手と思しき企業からは「今後のプロジェクトイメージへの影響を懸念しております」や「このままでは、お取引の継続が難しいかもしれません」といった恐ろしい文言が並びます。

 恋人と思しき「ゆみ」という相手からは励ましのメッセージ。一貫して擁護してくれるので、少し心が軽くなります。

 そして友人と思しき「清水涼介」という相手からは、kotkitという動画サイトでまとめられているとの連絡が。

 動画のリンクをクリックしてみると、よく見る音源と構成、そしてよく聞くナレーションで今回の1件がまとめ動画にされています。

 ショート動画をよく見る人なら一度は視聴したことがあるまとめられ方に、笑いと寒気が同時にやってきます。

 全部疑似体験、シミュレーションなのに、元になっているのは自分のコンテンツなので、本当に炎上しているような気分がしてくるのです。常にじんわり嫌な気分が漂っています。

 もちろん動画のコメント欄も炎上しており「普通に考えてアウトだろ」「こういうの一番痛い」「やらかし方が致命的すぎる」と、こちらも散々な言われよう。はい、ごめんなさい。もうしません。

 そして追いきれないほどのメンションに画面が埋め尽くされ、ブルースクリーンに。

 最後は「根も葉もないことで炎上する世の中です。くれぐれもご注意を。」というメッセージに続いて、映画「俺ではない炎上」の宣伝ページが表示され、コンテンツは終了します。

■ 興味本位で遊ぶにしてはダメージがデカい……自撮り画像でやるともっと辛い

 “粗探しAI”という邪悪なAIによって、何気ない料理画像が炎上していくさまは、多少の誇張はあれども、かなりの生々しさ。興味本位で遊んだだけにしては、なかなかのダメージを負いました。

 ちなみに今回は料理画像でしたが「自撮りでやるともっと酷いのでは?」と思い、自撮りで再チャレンジしてみたところ、想像どおり心を抉るコメントが続々。

 「一度、自分の顔を客観的に見てみることをお勧めします」「いい大人がこの背景でドヤ顔されても…」などと、AIだと分かっていても「そんな事言わないでよ……」と半泣きになるような内容が殺到しました。

 試す際は、自撮りだけは止めたほうがいいかもしれません。

* * *

 何気ない投稿がバズりすぎて炎上に近い経験を何度かした人物に、この一連を見てもらったところ、「動画サイトへの転載や、個人情報をばらまかれるといったことは経験していないけれども、SNS内で起きる出来事については非常にリアル」との感想が寄せられました。ただし、実際とは少し異なる点もある、とのことです。

 聞けば、現実の炎上中には必ずといっていいほど謎の恒例イベントが発生するのだとか。それは、これまでフォロワーとして親しくしていた人から突然「私とは考え方が違うようです。フォロー解除します」とわざわざ宣言が届き、反応する間もなくブロックされてしまう、というもの。フォロー解除するなら、いちいち宣言しなくてもいいのに……。

 ただ、この1点をのぞけば「絶対にバズるSNS」はフィクションとは思えないほどリアル。今では一般人・有名人を問わず、ちょっとしたことから大炎上してしまう時代です。実際に体験したくはありませんが、一度仮体験しておくと、いざというときメンタル面で少し役立つかもしれません。

 「俺ではない炎上」は秋倉秋成による同名小説を実写映画化した作品。ある日突然SNSで〈殺人事件の犯人〉として個人情報をさらされ、身に覚えがないのに炎上した男・山縣泰介(演:阿部寛)を巡るノンストップ炎上エンターテインメントです。

<参考・引用>
絶対にバズるSNS
※記事内の画像は「絶対にバズるSNS」のスクリーンショットです。

(ヨシクラミク)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025091701.html

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