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多摩モノレール延伸ここまで進んだ ①町田方面延伸路線の2024年1月の状況をお伝え

鉄道チャンネル

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多摩都市モノレールは、1998年に立川北駅から上北台駅間の約5.4キロメートルが開業し、2000年1月に多摩センター駅から立川北駅間の約10.6キロメートルが開業、現在は多摩センター駅から上北台駅間の約16kmが運行されています。

東京都の多摩地域に住む人々にとって欠かせないこのモノレールは、東京都と沿線鉄道事業者、沿線自治体、金融機関などの出資で設立された多摩都市モノレール株式会社が運営をしています。開業から数年間は、乗車人数が予想を下回って赤字となっていましたが、沿線住民が増えたことでの利用者の増加や、東京都からの追加支援もあり2008年度からは経常利益が黒字化、2023年2月13日には累計利用者数が10億人を突破しています。そして近年の利用者の増加を背景に、延伸構想に関しても大きく動き出しました。

多摩都市モノレールの延伸候補の3つのルート計画

図:多摩市・町田市のモノレール沿線まちづくり構想(素案)の資料より

多摩都市モノレールの延伸計画に関しては、2016年4月に国土交通省の交通政策審議会がまとめた答申において、『「東京圏の都市鉄道が目指すべき姿」を実現する上で意義のあるプロジェクト』とされました。

上記のように3つの路線での延伸計画がありますが、そのうちの「箱根ケ崎方面延伸路線」と「町田方面延伸路線」に関しては、東京都や沿線自治体などでの動きが始まっており、延伸工事に向けた準備が着々と進んでいます。
一方、「八王子方面延伸路線」に関しては、今も検討は続けているものの目に見える形での大きな進展が無く、将来の整備に向けて調整を続けているという状況のようです。

多摩都市モノレールの「町田方面延伸路線」

図:多摩市・町田市のモノレール沿線まちづくり構想(素案)の資料より

今回は、南の終点駅「多摩センター」駅から南側へ進み、JR/小田急線の町田駅を目指す路線となる「町田方面延伸路線」に関してお伝えします。

町田駅に向かうルートに関しては、2019年から「多摩都市モノレール町田方面延伸」の導入空間となり得る道路が未確定の区間において、客観的かつ合理的なルートを検討していくため、東京都都市整備局の主導で「ルート検討委員会」が設置されて、町田市内を通過する4つの案で検討が重ねられました。

「ルート検討委員会」での検討結果

2019年からの審議の結果、2021年12月にはそのうちの1つの案、下記B案に、ルートが決定されました。

図:東京都 多摩都市モノレール町田方面延伸 ルート検討委員会 資料より
図:東京都 多摩都市モノレール町田方面延伸 ルート検討委員会 資料より

決定したB案は、多摩センター駅から町田駅間を約16kmで結ぶルートで、利用者想定は1日当たり約7万5000人です。A案とC案は、延長距離が短いため、費用対効果としては高いと見込まれていますが、4つの案ともに1という指標は超えているため、どのルートでも事業は妥当なものであるとされました。

図:東京都 多摩都市モノレール町田方面延伸 ルート検討委員会 資料より

費用面に加え、もう一つの重要なポイントである「まちづくりに関する評価」では、A・C案に比べるとB案の方が、町田市内の多くの場所のアクセス向上に効果があるとされています。

最終的にB案が選択された理由としては、「速達性は他ルートに比べやや劣るものの、小山田桜台団地や桜美林学園など現時点で確実に需要が見込める拠点を経由し、現道がある地域を経由するため、新駅周辺等において新たな沿線開発等が期待できるとともに、町田陸上競技場や野津田高校、日大三高など更なる需要の増加が見込める拠点を経由する。」とされています。(ただし、今後の収支採算性の精査などの結果によっては、他案を改めて検討することもあるとしています。)

多摩市・町田市の取り組み

2021年のルート検討委員会の決定ルート案を基に、多摩市と町田市では、モノレールの需要創出に資する沿線まちづくりの深度化を図るため、2022年8月から「多摩都市モノレール町田方面延伸 沿線まちづくり検討会」を設置し、2023年12月15日には「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」が発表されました。

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」(概要版)から

この構想素案は、多摩センターから野津田や小山田桜台団地、町田山崎団地を通りJR町田駅を結ぶ延長約16キロのモノレール沿線のまちの将来像や実現化方策、開業までのプロセスを示したもので、「沿線の現状と課題」や「期待される人や街への効果」「目指す沿線のビジョン」「ビジョンを実現するための施策」などが、まとめられています。

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」(概要版)から

町田市では、南北方向の交通を強化しネットワーク性を高めることが課題とされており、町田駅に向かう町田街道に724便(1日あたり・往復)ものバス路線が集中して道路混雑と重なることでバスの定時性に影響を与えていたり、2024年のJ1昇格を決めた町田ゼルビアのホームスタジアムとなる町田GIONスタジアムへの駅からのアクセスにがバスだけであったりと、交通に関する課題も散見されます。

モノレールがこのルートで開業した場合には、町田市内の小山田桜台団地から町田駅までの所領時間は、現在バスで35分のところが、モノレールでは18分と、約17分の短縮につながると試算をしています(町田市試算)。

モノレール沿線のビジョン

この構想素案では、暮らしやすさや移動の利便性といった地域課題を踏まえて、沿線のビジョンを「みんなが安心して快適に住み続けられる わたしの『ココチよさ』がかなうまち」に設定されました。そして、暮らしやすさ・過ごしやすさを向上させるために、各エリアごとの今までの取り組みや、今後行っていくべき取組を紹介・提案しています。

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」から

例えば、多摩センター駅と町田駅周辺では、公演の再整備の取り組みを行う取り組みを進める案が出ています。

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」から

町田市内では、モノレール建設をきっかけに、沿線にある大きな団地の再生を推進するために、様々なアイデアが掲出されています。

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」から

今後の開業までのプロセス

図:多摩市・町田市「モノレール沿線まちづくり構想(素案)」(概要版)から

構想策定後、事業性の検討やモノレール導入空間の道路設計、関係者協議などを経て、事業化決定のための法定手続きに着手をする予定になっています。多摩市と町田市では、現在、構想案に対する意見を募集しています。(1月19日まで、資料は町田市ホームページなどで閲覧できます)

また町田市では、多摩都市モノレール町田方面延伸を一日でも早く実現するために、モノレールの導入空間となりうる都市計画道路(東京都施行予定)の用地を町田市が先行取得する「多摩都市モノレール町田方面延伸加速化プロジェクト」を、既に立ち上げ、用地取得を開始しています。

写真:ニングル / PIXTA

東京都は2024年度に事業化検討を開始

東京都では、このような地元の動きを受けて、「町田方面延伸路線」に関して2024年度にも開業後の需要予測など事業化に向けた検討を進めるとしています。

現在検討されているルート上には、既に道路があるところと、これから道路の整備が必要なところが混在していますので、モノレールの導入空間となりうる都市計画道路用地確保は非常に重要になってきそうです。そのため、今のところは開業時期も未定となっています。

町田市の悲願となるモノレール構想、2024年に何かの動きがあるのか、こちらの今後の行方を見守りましょう。

(鉄道チャンネル)

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