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【滋賀】水の町・米原市醒井宿で出会う夏の風物詩─清流に揺れる梅花藻(8/24までライトアップ実施中)

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©長月あき

川面に咲く小さな白い花「梅花藻(ばいかも)」をご存じでしょうか。滋賀県米原市の醒井宿(さめがいじゅく)では、真夏になると清流の水面にこの花が可憐に咲き誇り、涼やかな光景が広がります。酷暑が続く中、ひとときの涼を求めて、この梅花藻を見に出かけてきました。

【画像】可憐な「梅花藻」が川面を彩る

米原市の醒井宿とは

醒井宿は、滋賀県米原市にある旧中山道の宿場町のひとつです。JR米原駅から1駅の「醒ケ井駅」で下車し、徒歩約5分で、江戸時代の面影を今に伝える風情ある町並みに出合えます。

町の中心を流れるのは、名水百選にも選ばれた湧き水「居醒の清水(いさめのしみず)」を源とする地蔵川。夏になると、この清流に白く可憐な「梅花藻」が咲き、川面を涼やかに彩ります。石畳の道や格子戸の町家が並ぶ景観は、情緒と涼しさをあわせ持ち、暑さの残る日にも心地よいひとときを与えてくれます。

夏の風物詩、梅花藻

梅花藻は、その花の形が梅に似ていることから名付けられた水中植物です。年間を通して水温が一定に保たれた冷たい湧き水でしか育たず、全国でも限られた場所でしか見ることができません。

醒井宿の地蔵川は、その代表的な自生地。透き通った水の中で、白い花がそよぐ姿はまさに夏の風物詩です。今は観賞のベストシーズンを迎えており、多くの人がこの涼やかな景色を目当てに訪れています。

歴史と自然が調和するまち並み

川沿いには散策路が整備され、花や魚が揺らめく水面を間近に眺めながら歩くことができます。町内には、ヤマトタケル伝説が残る「居醒の清水」や「加茂神社」など、自然と歴史が息づく史跡も点在。静かで落ち着いた時間を過ごすのにぴったりの場所です。

見どころのひとつが、大正時代に活躍した建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計に携わった「醒井郵便局舎(旧醒井郵便局)」。国の登録有形文化財にも指定されており、大正時代から昭和48年まで郵便局として使われていました。現在は資料館として公開され、醒井宿のマップがここで手に入ります。白い外壁とアーチ型の窓が特徴の西洋風建築は、伝統的な町家と美しく調和し、景観にアクセントを添えています。

そのほかにも、明治時代の醒井尋常高等小学校の玄関を移築した「松尾寺政所」や、かつて宿場を運営していた施設「問屋場」(現在は資料館)など、歴史を感じられる建物が点在しています。

8月24日まで開催、梅花藻のライトアップ

毎年夏には、梅花藻を幻想的に照らすライトアップが行われています。今年は8月1日から24日までの開催。地蔵川沿いは生活道路のため、煌びやかな演出ではなく、数カ所がほのかに照らされる控えめな明かりが夜の静けさを引き立てます。

問屋場では、和傘のディスプレイや小さな行灯を積み上げたミニタワー、切り絵作家・早川鉄兵さんの作品をあしらった行灯など、光のアートが展示されています。こちらも幻想的で美しく見入ってしまいました。

ライトアップされている箇所は3カ所と規模は小さいものの、夕涼みを兼ねて静かなまち並みを歩くには十分に楽しめます。歩く人が少なく、日中とはまた違った落ち着いた雰囲気を味わえるのが魅力です。

醒井宿は、住む人々の暮らしと共にある場所です。川のせせらぎに耳を澄ませ、静けさごと味わいながら散策を楽しんでくださいね。(車の乗り入れは禁止です。騒音にはご注意ください。)

◆醒井宿所在地:滋賀県米原市醒井 アクセス: ・JR醒ケ井駅から徒歩約10分 ・自動車の場合、米原ICから約5分(醒ケ井駅前駐車場を利用。醒井宿の中にも有料駐車場あり)

◆醒井ライトアップ期間:2025年8月1日から8月24日まで 時間:19時頃〜20時30分 場所:米原市醒井 地蔵川沿い問屋場周辺

TEXT by 長月あき

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