ピックアッププレーヤー ハンドボール女子 勝利への執着心高まる井上心暖(大分1年) 【大分県】
大分開催となるハンドボールの全国高校選抜大会。女子の開幕戦に登場する大分にとって、この試合は勢いをつける重要な一戦となる。この試合を楽しみにしているのが1年生エースの井上心暖だ。入学当初からその才能を認められ、ベンチ入りを果たすと、新チームではエースポジションであるレフトバック(左45度)の大役を担うまでに成長した。
レフトバックは、ロングシュート、ポストとの連携、1対1の仕掛けなど、多様な攻撃パターンを駆使するポジションだ。エースの得点力が高ければ、相手ディフェンスの意識を引きつけ、味方のフリーを生み出すこともできる。「井上が毎試合5点決めれば勝てる」と滝元泰昭監督は期待を寄せる。井上の得点力と負けん気の強さが、チームの勝敗を左右すると言っても過言ではない。
しかし、井上にとってここまでの道のりは決して平坦ではなかった。九州高校選抜大会では思うような結果を残せず、悔しさをかみしめた。「あの悔しさをバネに、地元開催の全国大会では必ず結果を出したい」。全国の舞台に立てることへの感謝を胸に、一戦一戦勝ち抜く決意を固める。
得点源として活躍が期待される井上心暖
井上の強みは、広いスペースでの1対1の場面で発揮される。鋭いフェイントで相手を抜き去り、ノーマークでシュートを打つ。あるいは、跳躍力を生かしてディフェンスの壁を越えるロングシュートを放つ。「プレーも変わってきているが、それ以上にチーム内での存在感が増している」と滝元監督は評価する。以前は試行錯誤の中で迷いがみられたが、今では自らが得点源であるという自覚を持ち、勝負どころで確実に決める力が身についてきた。
井上は「正確な判断やシュートに至るまでの動きをもっと磨いていかなければならない」と語る。技術やパワーの差以上に、勝利への執着心こそが試合を左右することを実感し、その姿勢も大きく変わってきた。「開幕戦は地元開催で、多くの声援を受けられる。その力を背に、すべてを出し切りたい。そして初戦を突破し、第1シードの白梅学園(東京)と戦いたい。今の自分の力がどこまで通用するのか試したい」
1年生エースが全国の舞台でどれほど輝くのか、注目が集まる。
「自分の力が全国で通用するのか試したい」と語る
(柚野真也)