吉祥寺駅のおすすめ待ち合わせ場所8スポット~“住みたい街”で見つけた緑豊かな集合地点~
「待ち合わせ」、それは情緒あふれる響きである。ところがスマホが浸透した現在、ひとは特に「待ち合わせ」をしなくても、なんとなく会えるようになってしまった。それでも駅に行けば、今日も多くの人たちが、誰かを待っている。皆はなぜ駅で待ち合わせるのだろう、そして駅のどこを目印にすれば相手に会えるのだろう。商店街から緑豊かな公園まで有する吉祥寺駅で、おすすめ待ち合わせスポットを探っていきたい。
相手の遅刻も許せる? 駅南口の階段横【南口(公園口)】
首都圏住みたい街ランキングの上位常連の街・吉祥寺。23区に隣接する武蔵野市の東部に位置し、JR中央線・京王井の頭線が乗り入れる吉祥寺駅からは、新宿・渋谷へ20分弱で行くことができる。こうした交通の便の良さに加え、井の頭恩賜公園のような緑豊かな場所があること、吉祥寺サンロード商店街、吉祥寺ダイヤ街といった活気ある商店街があることなどが、吉祥寺が「住みたい街」に選ばれる理由だろう。今回は、その吉祥寺駅の待ち合わせ場所を探してみたい。
実は吉祥寺駅は、JR、井の頭線ともに、待ち合わせ場所に適した目印が少ない。そのため、たいていは「JRの中央改札で」とか「井の頭線の改札で」という待ち合わせになることが多い。しかし駅周辺を見回してみれば、吉祥寺のイメージにぴったり合った緑豊かな待ち合わせ場所を見つけることができる。
まず、JR南改札・井の頭線改札を出て、南口の階段を下りる。下りていた時には気が付かないが、じつはこの階段横にはビッシリと観葉植物が植えられている。
この緑を見ながら待ち合わせをすれば、多少相手が遅れてきても、穏やかな気持ちで迎えられるかもしれない。
ひかりの広場/はなびの広場/ゆらぎの広場【駅ナカ】
南口から、南北自由通路「はなこみち」を通って北口方面へ向かう。両脇には、駅高架下の商業ビル「アトレ吉祥寺」入り口がある。かつての吉祥寺の駅ビルといえば「ロンロン」が有名だったが、2010年にアトレに全面リニューアルされた(ロンロンの名残は、アトレ本館1階の食品売り場の名称「ロンロン市場」に残されている)。
このアトレ、「吉祥寺に目立った待ち合わせ場所がない問題」が考慮されたのか、南北自由通路に面した入り口には「ひかりの広場」、駅北口の道路に面した入り口には「はなびの広場」、そして地下1階には「ゆらぎの広場」と、待ち合わせ場所に適した広場がいくつか設置されている。いずれも自然や緑を感じさせる雰囲気の場所で、吉祥寺にふさわしい。
多くの人たちから愛され銅像に「ゾウのはな子」【北口】
ここまで「吉祥寺には待ち合わせの目印となるようなものが少ない」と言ってきたが、2017年、吉祥寺駅北口広場に目立つ銅像が設置された。「ゾウのはな子」像である。
井の頭自然文化園で長年飼育され、69歳まで生きたアジアゾウのはな子は、多くの人たちから愛されたゾウであった。はな子の死後、銅像を作ろうという動きが起こり、翌年に完成した。はな子像の周辺にはベンチも設置され、待ち合わせ場所として機能している。ベンチに座ってはな子像を眺めていると、背後の植え込みもあいまって、アジアの森林にいるような気持ちになれる。
吉祥寺マルイ/コピス吉祥寺/東急百貨店 吉祥寺店【駅周辺】
この「自然や緑を重視した待ち合わせ場所」は、吉祥寺駅周辺の商業施設にも見出せる。たとえば南口近くの「吉祥寺マルイ」入り口には大きな木が植えられており、待ち合わせる時にも目印になる。
北口の商業施設「コピス吉祥寺」の1階入り口テラス部にも植え込みが施され、多くの人が腰かけてくつろいでいた(そもそも「コピス」という名前も、雑木林・小さな森を意味する英語のcoppiceに由来するという)。
「東急百貨店 吉祥寺店」もまた、入り口横の植栽がベンチの機能も備えていて、買い物客や待ち合わせの人が座って待てるつくりになっている。
緑豊かな吉祥寺。その雰囲気を、待ち合わせ場所から感じ取るのも素敵かもしれない。
イラスト・文・撮影=オギリマサホ
オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。