声優の表現を活かした絵本読み聞かせ・紙芝居実践プロジェクト始動! 声優・高岸美里亜さんが園児たちの前で実演
現在、声優はアニメやゲームのキャラクターに声をあてるだけではなく、ナレーション、舞台、歌手活動、イベント出演など多方面で活躍していますが、そうした中の一つに朗読も挙げられます。
このたび、声優の表現を活かした絵本読み聞かせ・紙芝居実践プロジェクトが始動しました。
<以下、公式発表の内容を引用して掲載しています>
【写真】声優の表現を活かした絵本読み聞かせ・紙芝居実践プロジェクト始動!
「声優」と「保育」が出会う、新たな教育実践のかたち
保育の現場では日常的に絵本の読み聞かせや紙芝居の実演を行っていますが、これらは子どもたちにとって、まさに想像力や共感力、情緒の発達を支える大切な時間となります。
しかし、保育現場では保育士各人によって表現力にばらつきがあり、さらに人手不足も相まって、作品の魅力を十分に引き出せていないという課題も見受けられます。
こうした背景のもと、高千穂大学 渡辺賢治研究室と常磐大学 佐藤賢一郎研究室は、声優の表現力を保育現場に応用すべく「声優の表現を生かした絵本読み聞かせ・紙芝居実践プロジェクト―保育現場における子どもの心を育てる声と物語―」を始動しました。
その第一弾として、東京都江東区の認可保育園「東雲キャナルコートNURSERY SCHOOL」にて、声優・高岸美里亜さんによる絵本と紙芝居の実演を行いました。
なお、本件のキャスティングとして、10年以上の長きにわたって声優のキャスティング事業を行う株式会社オブジェクト(代表:吉村尚紀)の全面協力で実現しました。
▲園児たちの前で絵本『くもとそらのえほん』の読み聞かせを行う、声優・高岸美里亜さん
使用されたのは、絵本『くもとそらのえほん』(著者・五十嵐美和子、監修・武田康男、PHP研究所 2019年)と紙芝居『いたずらにんじゃをつかまえろ!』(著者・しばはらち、教育画劇 1997年)の2作品。
対象は5歳児で、同園の保育士ならびに渡辺賢治氏(高千穂大学人間科学部教授)と佐藤賢一郎氏(常磐大学人間科学部准教授)も同席し、子どもたちの反応や集中力、感情表現などを朗読と対話の構成のもと、観察・記録しました。
▲絵本に続き、園児たちの前で紙芝居『いたずらにんじゃをつかまえろ!』の実演を行う高岸さん
プロ声優の「声」が子どもの心を動かす
絵本『くもとそらのえほん』の読み聞かせでは、高岸さんは落ち着いたテンポの語り出しから始め、ページをめくるごとに声の高さやリズムを微妙に変化させ、空の情景や雲の動きを丁寧にかつ優しく表現していきました。
柔らかな声のトーンに合わせて、園児たちも自然と体を前のめりにし、物語の展開をじっと見つめるように聴き入っていたのが印象的でした。静かな場面では、教室全体の空気が柔らかく沈み込み、明るい描写に切り替わると元気な声が上がるなど、子どもたちの反応がそのまま声の抑揚に呼応していました。
紙芝居『いたずらにんじゃをつかまえろ!』では、テンポのよいリズムと明快なせりふ回しで、物語の世界が一気に動き出しました。いたずら好きの忍者が様々な場所に隠れるなど、ユーモラスな展開に合わせて、高岸さんは声色を巧みに変化させ、忍者のすばしっこさや登場人物たちの驚き、笑いなどを生き生きと表現しました。
子どもたちも体を乗り出して「にんじゃ、みーつけた!」と一緒に声を出し、手を叩いたり指をさしたりしながら、楽しく物語世界を味わっていた様子でした。
▲高岸さんの多彩な表現力に夢中になっている園児たち
声と物語の織りなす世界と未来への可能性
絵本の読み聞かせと紙芝居の実演において、高岸さんは園児一人ひとりの反応を確かめながら、笑顔で語りかけるように物語を進めており、教室全体がいつの間にか一体感に包まれていました。まさに「声を通じて子どもたちと心をつなぐ」という本プロジェクトの主旨を体現する場面と言えます。
本プロジェクトは、保育現場に声優の表現力を導入する初の試みとしてプロの声優による絵本の読み聞かせや紙芝居の実演を継続的に行い、そこから得られる子どもの豊かな感性や言語表現を育むメカニズムや反応などを実証的に検証し、その成果を論文や学会で発表していく予定です。保育現場における読み聞かせの質を高めるだけでなく、“声から物語を感じ取る力”を幼少期から育む、声優×保育の新しい教育モデルを構築・実装していきたいと考えています。
なお、今回の高岸さんの絵本読み聞かせ・紙芝居実演の様子ならびに終了後に行ったインタビュー動画を、渡辺研究室、佐藤研究室それぞれのYouTubeチャンネルにて配信しています(3ヶ月間の限定公開)。
・渡辺研究室(本編)
・渡辺研究室(インタビュー)
・佐藤研究室(本編)
・佐藤研究室(インタビュー)
▲紙芝居の実演後、園児一人一人に視線を向け、優しく感想を聞く高岸さん
プロジェクト概要
声優の表現を生かした絵本読み聞かせ・紙芝居実践プロジェクト―保育現場における子どもの心を育てる声と物語―
実施場所:認可保育園 東雲キャナルコートNURSERY SCHOOL(東京都江東区東雲1-9-51)
実施内容:声優による絵本の読み聞かせ及び紙芝居の実演
対象:5歳児 15名(保育士・研究者同席)
出演者(敬称略):高岸美里亜(ケンユウオフィス)
主催:高千穂大学 渡辺賢治研究室、常磐大学 佐藤賢一郎研究室
協力:株式会社オブジェクト
▲高岸美里亜さん(ケンユウオフィス)
プロジェクト主旨
現代の子どもたちにとって、物語を「声で聴く」体験は、想像力・共感力・情緒等の育成に大きな役割を果たしています。一方で、保育現場では保育士の表現力の課題も認められます。そこで、多くの人々に親しまれ、愛されてきた「声のプロ(=声優)」の表現力を保育の世界でも活かすべく、接触機会の多い絵本や紙芝居を通して、「声優の表現力×保育」という新たな可能性や役割について、学術領域から実証的検証を重ね、実装化に向けて展開していきます。
▲プロジェクトが行われた、認可保育園 東雲キャナルコートNURSERY SCHOOL
プロジェクト研究者
・研究代表者 渡辺賢治(高千穂大学 人間科学部 教授)
〒168-8508 東京都杉並区大宮2-19-1 学校法人 高千穂学園
※研究者情報・詳細 https://researchmap.jp/kenji-watanabe6120
※関連業績「幼保小における読み聞かせや朗読の力―国語教育へのステップ―」(2023年11月『解釈学』第99輯)
https://researchmap.jp/kenji-watanabe6120/published_papers/43999029
※YouTubeチャンネル(高千穂大学 渡辺賢治研究室YouTubeチャンネル)
https://www.youtube.com/channel/UC6NyWrSOPyHYZ_F6HUs-iBg
※研究室HP http://k-w22laboratorio.com/
※コピーライト © KENJI WATANABE.LABO
・共同研究者 佐藤賢一郎(常磐大学 人間科学部 教育学科 准教授)
〒310-8585 茨城県水戸市見和1-430-1 学校法人 常磐大学
※研究者情報・詳細 https://researchmap.jp/kenichirosato
※関連業績『理論と実践の往還で紡ぐ保育・幼児教育学』(「第9章 磨かれた感性と表現する力を身につけることは、生活を彩り豊かにします」)(2025年3月 朝倉書店)
※YouTubeチャンネル(けんいちろう准教授)
https://www.youtube.com/@kenichiro_0918
・プロジェクト協力 株式会社オブジェクト
代表取締役 吉村尚紀
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町1-12 3006号室
※オブジェクトHP:https://object-co.jp/
※問い合わせ先:https://object-co.jp/contact/