埼玉の道路陥没事故を受けて、神戸市が市内の下水道を『点検』したみたい。「路面空洞調査」なども実施
画像:神戸市 臨時会見資料より
1月に埼玉県で発生した「道路陥没事故」を受けて、神戸市は臨時会見を行い、事故を受けての市の取り組み状況などを発表しました。
事故直後から神戸市独自に緊急点検
画像:神戸市 臨時会見資料より
埼玉県の道路陥没事故は1月28日に発生。陥没は下水道の破損に起因するもので、埼玉県は県民約120万人を対象に、下水道(洗濯・風呂など)の使用自粛をよびかけています。
今回の事故では、下水道の腐食などが原因とされています。なかには、地下約10m地点に、1983年に整備した汚水管もあったそうです。
神戸市内には、国土交通省が示した「点検対象」に当てはまる施設はないものの、最大管径3mの大きな汚水管があるんだそう。
そのため市は事故直後から独自に、管径2m以上で、硫化水素による腐食の影響を受けやすい「コンクリート製の管」(約16.9km)の緊急点検しました。
画像:神戸市 臨時会見資料より
緊急点検では、1月30日~31日にかけて「路面目視点検」を行い、2月3日~7日にかけて「マンホール内部の調査」を実施しています。
現在取り組んでいる「路面空洞調査」も2月末まで行うそうで、「浮流式テレビカメラ」などの最新テクノロジーも活用して、市民の安心・安全を守るそうです。
処理場をつなぐ神戸の「下水道ネットワークシステム」
画像:神戸市 臨時会見資料より
神戸市は、阪神・淡路大震災の経験と教訓を糧に、日本初という5処理場をつなぐ「下水道ネットワークシステム」を運用しています。
市内では「垂水処理場」「西部処理場」「東灘処理場」「鈴蘭台処理場」「中部処理場」(廃止)を結ぶ形で下水道がつながっています。
山側にある鈴蘭台処理場は標高が高いため、ほかの下水処理場に汚水を送るのみの一方向送水となっていますが、海側にある3つの処理場は、相互に汚水を送り処理することができるそうです。
画像:神戸市 下水道ネットワークシステム資料より
こうして処理場同士を大口径の下水道管渠(ネットワークシステム)でつなぐことにより、1つの処理場が機能停止した場合でも、汚水をネットワーク化した別の処理場へ送水し処理することができるんだそう。
通常時は連絡幹線を利用して処理場の相互利用を図り、非常時には処理場の「流入ゲート」を閉めて、水位差でほかの処理場に汚水を送水する仕組みになっています。
災害に強いだけでなく、処理場の改築やメンテナンス時などでも、安定した下水処理ができるシステムなのだそうです。
神戸市はもともと、日頃からテレビカメラなどを活用して「汚水管路の管内状況」を点検して保全しているみたい。特に硫化水素が発生しやすい箇所は、国の基準に従って「5年以内に1度」の点検を実施しています。道路部局とも連携して、空洞探査車による調査も実施。これらの点検で今まで、問題となるような事象は見つかっていないそうです。