「恐縮です」の意味は?正しい使い方や例文、言い換え表現を紹介
相手に褒められたときや厚意に甘えるときなどに使うことができる「恐縮です」。謙虚な印象を与えたり、相手に申し訳ないという気持ちを伝えたりする際に役立つ言葉です。
この記事では、「恐縮です」の意味や使い方、注意点、言い換え表現などを、例文とともに紹介します。ビジネスからフォーマルなシーンにまで使えるため、ぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。
「恐縮です」の意味
「恐縮」は相手へ迷惑をかけ申し訳なく思ったり、相手の厚意に対して恐れ多く思ったりすることを意味します。「恐縮です」のほかに、文章の前置きとして「恐縮ですが」と表すこともあります。
シーン別の「恐縮です」の使い方や例文
「恐縮です」は、自分がへりくだり相手へ敬意を表す謙譲語のため、目上の人や取引先の人へ使用できます。以下ではシーン別の使い方と例文を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
謙遜をしたいとき
「恐縮です」は、 人から褒められたとき に使用できます。ビジネスシーンで目上の人から褒められた際に、あまり自己主張をせず、「周囲の助けがあったから」「もっと精進していきたい」と謙遜した返しをすることができれば、謙虚な人という印象を与え、円滑な人間関係を築くことができるでしょう。
例
「お褒めいただき恐縮です。皆様のご指導のおかげです。」 「このような栄誉にあずかり、ただただ恐縮しております。」 「そのようにおっしゃっていただき、大変恐縮です。」
ただし、過度な謙遜は相手を不快にさせてしまう可能性もあるため、ときには素直に受け入れ感謝をすることも大切です。
感謝をしたいとき
業務において、サポートをしてもらったり、こちらの都合に合わせて配慮してもらったりすることもあるでしょう。そんな 相手の厚意に甘えるとき に、感謝の気持ちを込めて「恐縮です」と表現することもあります。相手の親切な行動などに対して、「自分にはもったいない」という控えめな態度で感謝を伝えるのができます。
より相手に感謝を伝えるのなら、あわせて「ありがとうございます」とお礼を述べるのも忘れないようにしましょう。
例
「お力添えをいただき、誠に恐縮です。心より感謝申し上げます。」 「お気遣いいただき恐縮です。心から感謝申し上げます。」 「恐縮ながらお言葉に甘えさせていただきます。」
依頼や要求をしたいとき
「恐縮です」には、 「手間をかけさせてしまい申し訳ない」 という意味が含まれており、相手に何かをお願いしたい際にも使えます。ビジネスで仕事を依頼するときや業務をお願いするときなどに「恐縮ですが」と前置きすることで、丁寧な印象になります。
例
「大変恐縮ですが、今週中にご対応いただけますと幸いです。」 「お忙しいところ恐縮ですが、資料のご準備をお願い申し上げます。」 「お手数をおかけして恐縮ですが、再度ご確認をお願いいたします。」
申し出を断りたいとき
相手のお願いやお誘いなどの申し出を断る 際にも使用できます。クッション言葉として付け加えると、相手へ配慮した言い回しになります。
例
「大変恐縮ですが、別の機会にお願いできればと存じます。」 「ご提案いただき恐縮ですが、今回は辞退いたします。」 「恐縮ですが今回は見送らせていただきます。」
「恐縮です」を強調する表現
ここでは、「恐縮です」を強調したい際に使える表現の意味・例文を紹介します。
意味
恐縮至極:極限、この上ない 恐縮しきり:たびたび、繰り返し、回数が多いこと 恐縮の至り/極み:状態が最高に達していること 恐縮の限り:限界、限度いっぱい
例
「お心遣いを賜り、恐縮至極でございます。感謝申し上げます。」 「丁寧なご指導をいただき、恐縮しきりでございます。今後ともよろしくお願いいたします。」 「ご招待いただき、恐縮の至りです。素晴らしい時間を過ごさせていただきました。」 「温かいお言葉をいただき、恐縮の極みです。大変嬉しく思います。」 「ご厚情に対しまして、恐縮の限りです。引き続きよろしくお願いいたします。」
「恐縮」の前に 「大変」「誠に」「この上なく」「甚だ(大変・とてもという意味)」 などと付け加え、強調することもできます。
「恐縮です」を使う際の注意点
「恐縮です」と謙遜するつもりが、使い方を間違うことで相手を不快な気持ちにさせてしまう場合もあります。以下の注意点を参考にして、「恐縮です」を正しく使うようにしましょう。
謝罪の際には使わない
申し訳ない、心苦しいなどの意味が含まれている言葉ですが、謝罪をする際には使うことができません。自分のミスや不手際などで相手に迷惑をかけた場合などは、「大変失礼いたしました」「申し訳ございません」「謹んでお詫び申し上げます。」などと、きちんと謝罪をするようにしましょう。
「恐縮に存じます」は二重表現のためNG
「恐縮」には「申し訳なく思う/ありがたく思う」という意味があり、「存じます」は「思う」を丁寧に表した謙譲語です。「恐縮に存じます」は「思う」という意味が重なった誤った表現なので、使用しないようにしましょう。
「恐縮」を目上の人に対してより丁寧に表現したい場合は、 「恐縮でございます」 と言い換えることができます。
話し言葉では使わない
基本的に「恐縮です」は書き言葉として使用するのが適切です。話し言葉として使用すると堅苦しい印象となり、相手に違和感を与えてしまいます。対面での会話で使いたい場合は、柔らかな印象の 「恐れ入ります」 に言い換えるとよいでしょう。
使う相手や多用に注意
「恐縮です」は、目上の人に対して使えるかしこまった表現のため、目下の人や部下に対して使うのは適していません。また、多用しすぎると大げさな印象を与えてしまうため、繰り返し使用することは避けましょう。謙遜や感謝の気持ちを表したい場合は、ほかの言い回しに言い換えるなどしてくどい印象にならないよう注意が必要です。以下で類語や言い換え表現を紹介するので、参考にしてください。
「恐縮です」の類語や言い換え表現
「恐縮です」の類語や言い換え表現を例文とともに紹介します。シーンに合わせて使い分けてみてください。
「恐れ入ります」
「恐れ入ります」は、 相手の厚意へ感謝する際 や 迷惑をかけたことに対して謝罪する際 に使う言葉です。相手への配慮と礼儀を示したいときにも使えます。クッション言葉としてビジネスシーンで使えば、丁寧な印象を与えることができるでしょう。
例
「迅速なご対応を賜り、誠に恐れ入ります。」 「恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか。」
「失礼ですが」
「失礼ですが」は、 相手に何かを尋ねるときや依頼するとき 、 相手に失礼になるかもしれない事柄を話すとき などに用いられます。相手の意見に異論や反論をする際などに付け加えれば、言いにくい内容も和らげて伝えることができます。
例
「失礼ですが、お名前をもう一度伺ってもよろしいでしょうか。」 「失礼ですが、会議の日程を再調整することは可能でしょうか。」
「痛み入ります」
「痛み入ります」は、「痛み」=「申し訳ない」、「入る」=「深く感じ入る」が語源となった、 相手の配慮、厚意などに対して、深い感謝や謙虚な気持ちを表す際 に使う言葉です。ビジネスからフォーマルな場まで使用できます。
例
「ご丁寧なご指導をいただき、痛み入ります。」 「ご協力いただき、誠に痛み入ります。」
「僭越ながら」
「僭越」は、自分の地位、立場を越えて出過ぎたことを指す言葉です。「僭越ながら」と付け加えれば、「出過ぎたことをしますが」と謙虚に前置きができます。 自分よりも立場の上の人に意見をしたり、立場の上の人がいるにもかかわらずあいさつを任されたりした場合 などに使えます。
例
「僭越ながら、この件について補足させていただきます。」 「僭越ながら、会議の進行を務めさせていただきます。」
「生憎(あいにく)ですが」
「生憎(あいにく)」は、都合が悪い、期待に応えられないなどという意味を持ちます。 どうしても相手の希望に沿うことができないため、残念、申し訳ないというニュアンス を伝えられます。
例
「あいにくですが、その商品は完売しております。」 「あいにくですが、ご期待には添えかねます。」
「汗顔(かんがん)の至りです」
「汗顔(かんがん)」は、顔に汗をかくほど恥ずかしく感じることを意味します。「これ以上のことはない」という意味合いで、 自分の不手際、失敗を謝罪する際 に使える言葉です。相手に褒められた際にも使うことができます。
例
「配慮不足で、汗顔の至りでございます。」 「お褒めに預かり、汗顔の至りです。」
まとめ
この記事では、「恐縮です」の使い方や例文、注意点、言い換え表現などを紹介しました。
「恐縮です」の正しい使い方を理解し、適切な場面で用いることで、相手に対して敬意や感謝の気持ちを効果的に伝えられます。また、相手や状況に応じて言い換え表現を活用すれば、コミュニケーションの幅を広げることができるでしょう。
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