『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第8回:ユカリス役・ファイルーズあいさん 前編|ユカリスの魅力は純粋な気持ちからくる“思慮深さ”。激化する戦いに女子も負けていられない!
2025年10月4日(土)より放送中の『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』。
「仮面ライダーになりたかったから」 40歳になっても本気で「仮面ライダー」になろうとしていた男・東島丹三郎。その夢を諦めかけた時、世間を騒がす「偽ショッカー」強盗事件に巻き込まれてしまい……。『エアマスター』『ハチワンダイバー』の柴田ヨクサル先生の漫画を原作とする「仮面ライダー」を愛しすぎるオトナたちによる“本気の仮面ライダーごっこ”がここに開幕します!
アニメイトタイムズでは、各話放送後にキャスト陣へのインタビューをお届け! 第8回は、ユカリスを演じるファイルーズあいさんに第8話の物語を振り返っていただきました。
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前回はこちら
【写真】『東島ライダー』ファイルーズあいインタビュー前編【連載第8回】
成りきって演じる。東島丹三郎の生き様に共感した瞬間
ーーインタビュー連載の中で、キャストの皆さんにお話を伺っているのですが、これまでにもユカリスのお話が出ていまして。
ユカリス役・ファイルーズあいさん(以下、ファイルーズ):本当ですか!?
ーーファイルーズさんのお芝居がすごいとお話されていました。
ファイルーズ:すごく嬉しいです……! 全部スクショします(笑)。
ーー(笑)。それでは、『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』という作品に対する印象や魅力的に感じた点からお聞かせください。
ファイルーズ:原作の絵柄がとても個性的で、「こんなにも色々な表情が描けるんだ」と圧倒されました。この絵に負けないお芝居ができてこそ、この作品に携わる資格があるんだろうなと。そういう不思議なエネルギーのようなものを感じました。それこそショッカーの洗脳じゃないですけど、マイク前に立つと大きな声が自然に出てしまうんです。意識的に出しているというよりは、何かに先導されている感じ(笑)。とにかくエネルギーに溢れています。
ーーキャッチコピーの通り、まさに“本気の仮面ライダーごっこ”ですよね。
ファイルーズ:私、昔からごっこ遊びが大好きだったんです。小さい頃はおままごとから始まって、そのうちアニメのキャラクターのセリフを真似したり、変身ごっこをしたりしていました。
中学生から「好きなアニメの真似をして、自分の引き出しを増やしていこう」と考えるようになって、高校生ではコスプレを始めて。“成りきって演じる”ということにどんどんハマっていったんです。その延長線上で今仕事ができているのはすごく幸せなことで……だからこそ、東島丹三郎の気持ちも分かるんですよ。
ーー40歳になっても子どもの頃の夢を追い続けている姿は格好良いですよね。
ファイルーズ:情けない姿もたくさん見せてくれるんですけど、何かに本気で打ち込んで、涙が出るくらい好きなことをやる姿勢、パッションにすごく元気をもらえます。
本当に『東島ライダー』向きの声優だと思います(笑)
ーーアフレコ現場も、原作に負けないほどの大声が飛び交っているとか。
ファイルーズ:私、普段Apple Watchをつけているんですけど、どのアフレコ現場でも音の大きさで通知がくることはそうそうないんですよ。でも、ある日の収録で、キャラソンのレコーディングやライブ会場でしか見ないような数値が出ていたんです。「現在、90デシベル以上の音が検出されています。この音を30分以上聞き続けると、一時的に聴力が低下する可能性があります」って(笑)。
ーーアフレコ中なので、人間の肉声だけでその騒音警告が出たということですよね?
ファイルーズ:そうなんです(笑)。スピーカーを通していないにも関わらず、そんな通知が来るほどの音がアフレコ現場に響いていたという……。あれは本当に驚きました。(インタビュー時点では)まだ完成した映像を観られていないのですが……何て言うんでしょう。既に一体感みたいなものを感じ始めています。原作が持つエネルギーや力強さは監督をはじめとしたスタッフの方々も感じているところだと思うんです。なので、キャストだけでなく、みんなの力で作り上げる作品だと感じます。
ーー素人質問で恐縮なのですが、アフレコ後に声が枯れたりすることはないのでしょうか?
ファイルーズ:ないですね。どれだけ叫んでも、翌日にはケロッとしているんですよ。咽頭炎になった時は耳鼻咽喉科に行きますけど、叫びすぎて喉を枯らしたことは一度もないです。夜に「痛いなあ」と思っても、朝には治っていて。本当に『東島ライダー』向きの声優だと思います!(笑)
ーーそれはすごいですね……!
ファイルーズ:多くの作品に参加されてきた先輩方に比べて、私自身はまだまだなので、喉の温存もしないです。新人の頃から「テストも本気でやる」というポリシーがあって、それは今でも変わりません。
ファイルーズ:「私はこのくらいでいきます!」みたいな、ある種の“宣戦布告”でもあるというか(笑)。ミキサーさんも調整しやすいと思いますし、共演者の皆さんも「ファイちゃんはこれくらいでくるのね」と分かった方がやりやすいんじゃないかなと。それを許していただける現場というのも当たり前ではないので、本当に出し惜しみせず全力で臨んでいました。あと、同じスタジオ内で以前別作品の第6部も収録していたんですよ。なので、あのスタジオに入ると「よし叫ぶぞ!」というスイッチが入ります。
ただ可愛いだけじゃない。たしかな実力を持ったユカリスの魅力
ーー演じるユカリスのキャラクター像については、どのように捉えていますか?
ファイルーズ:どこまでもまっすぐで、直情型のキャラクターだと思いました。ただ、それだけではない冷静な一面も実は持っているんですよね。
猪突猛進な部分が注目されがちなんですけど、実は一歩引いた視点から皆のことを観察している時もある。打算的なわけではなく、純粋な気持ちからくる思慮深さというか。三葉だけに夢中なように見える一方で、どうすれば三葉を良い方向に導けるかをちゃんと考えて行動しているんです。演じるうえでも、そのメリハリは意識していました。
ーーユカリス役はオーディションだったと伺っています。
ファイルーズ:今回はテープオーディションのみでした。そういう形式だと、私自身の人柄やユカリスとリンクする部分について、お芝居の中でしか伝えることができないんですよ。スタジオで直接ディスカッションすることができないんです。
なので、「ユカリスが鼻水を垂らしていたら、同じくらい汁っぽく叫ばないとだめだ!」って(笑)。そういう意味でも、オーディションの段階から声をどこまで汚くできるか、どこまでパワーを込められるかを考えていました。
ーーオーディションの段階から、熱を入れてユカリスという役を作り上げられたのですね。
ファイルーズ:決まった時は本当に嬉しかったです。私自身、いちオタクとしてもユカリスのようなキャラクターが大好きなので、「演じたい!」という気持ちが強くて。
ーーご自身とユカリスのリンクというお話もありましたが、ファイルーズさん自身と共通する部分もあるのでしょうか?
ファイルーズ:まあ……直情型……(笑)。
ーーなるほど(笑)。
ファイルーズ:ただ、これは尊敬している部分でもあります。私は何かひとつのことに集中すると、それしか見えなくなってしまうタイプなんです。所謂、0か100かみたいな。先ほども言った通り、ユカリスは似たようなところがありつつ、冷静に一歩引いている時もあります。
ーー似ている部分と憧れる部分が両方あるんですね。
ファイルーズ:ユカリスのように実力を伴って行動できる人間になりたいなと。現場でも先輩方に支えていただいてばかりです。いつかは自分が引っ張っていけるように……と言うとおこがましいですけど、誰かを安心させられるような存在になりたいですね。ユカリスはそれだけの能力がある子なので、私自身もそういう実力を身につけていきたいと思っています。
ーーユカリスは、レギュラーメンバーの中でも特殊な立ち位置にいるキャラクターでもあります。
ファイルーズ:そうですね。お話が進む中で、ユカリスは他のキャラクターたちからも一目置かれる存在になっていきます。“憧れ組”の目線からすると、「やっぱり本物は違うなあ」と感じる部分があるのかもしれません。
ユカリス自身は望んでそのポジションにいる訳ではないけど、皆が彼女をリスペクトして接してくれるのは嬉しかったです。彼女自身が悲観的じゃないのもいいですよね。自分の意志と三葉への愛で洗脳を解いたところに彼女の強さを感じますし、ただ可愛いだけじゃない部分がすごく魅力的です。
第8話のユカリスは視聴者を代弁している?
ーー第8話の中で印象的だったシーンを教えてください。
ファイルーズ:トーナメントが始まりましたね。全体的にみんなノリノリなんですけど、ユカリスだけが「え、なんでこんなことしてるの?」って(笑)。彼女だけが正気なんですよ。
ーーここに来て常識的な一面を見せるのは意外でした。
ファイルーズ:更に言えば、なし崩し的にショッカーになってしまったからこそ、周囲の熱量を見て「自分が間違ってるのかな……?」と少し揺らいでるんです。その感情の変化がすごく面白いですし、彼女の新たな一面が見えたのもいいなと思いました。
ーーここでは観ている人の代弁者的なポジションに見えます。
ファイルーズ:たしかに! ユカリスがいることで、視聴者の皆さんも置いてけぼりにならないという(笑)。ちょっと“裏回し”的な役割も担ってくれていますね。
ーー三葉とユカリスが謎の特訓をしている場面も印象的でした。ライダーマンの意外な弱点も判明して。
ファイルーズ:「何の特訓だよ!」って思いますよね(笑)。三葉とそれ以外のキャラクターとの掛け合いでは、声のトーンを明確に変えているんですよ。その高低差は意識的に演じているので、コメディ要素のひとつとして楽しんでいただけると嬉しいです。
ーー物語的にもますます激しくなりそうですね。
ファイルーズ:そうなんです! 第9話以降は、それぞれのキャラクターが本気でぶつかり合うので、女子も負けていられません! ユカリスはもちろん、茅野愛衣さん演じる岡田ユリコの活躍もぜひ楽しみにしていただきたいです。
[インタビュー/小川いなり]