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自治体で広がる防災ギフト

TBSラジオ

東日本大震災から14年。
日頃からいろいろな災害への備えをしている方も増えたと思いますが、今、自治体で広がり始めているのが、防災用品を各家庭、住民に配布する「防災ギフト」の取り組み。東京都内では中央区、江東区、板橋区、世田谷区などが実施しています。

「せたがや防災ギフト」

このうち「せたがや防災ギフト」という取り組みを行った、世田谷区災害対策課 係長 伊藤祐貴さんのお話です。

世田谷区災害対策課 係長 伊藤祐貴さん

仕組みとしては、各世帯1人あたり3000ポイントをお配りして、カタログギフトの中から商品を選んでいただく「防災ギフト」そういった事業になっています。防災用品、約100種類、例えば水とか食料をはじめ、衛生用品、モバイルバッテリーとか、そういったものをご用意した形になります。各家庭に、カタログと、申込用紙を含めた封筒が届く事業になっています。返信用のハガキでお申し込みいただく手段と、あとはHPからネットで注文することができます。区内に50万世帯くらいいらっしゃるんですけど、最終的には38万世帯、76.4%の方にお申し込みいただいています。

1人あたり3000ポイントなので、例えば4人家族だと3000ポイント×4人で家族全員で合わせて12000ポイント分の防災用品と引き換えができる仕組み。去年8月から12月末まで申し込みを受け付けて、今月中に全ての商品を届け終える予定だということです。

この防災ギフトの取り組みは、世田谷区の区民意識調査で「在宅避難」に対する防災、意識の低さが分かったことや、能登半島地震などを受けて実施。補正予算で36億円を計上して行いました。

食品のほか家具の転倒防止器具や、防災士監修の防災スリッパ、簡易的な消火スプレーなど、100種類ほどから選ぶことができます。赤ちゃん用の液体ミルクや、ペット用の缶詰セットまで!特に簡易トイレやモバイルバッテリーが人気だったそうです。

防災ギフトを受け取った世田谷区民は

世田谷区民は、どの防災用品を受け取ったのか、この取り組みをどう思うか、区民のみなさんに聞いてみました。

・「もらいました。玄関の防災の箱にしまっちゃったな、何だったかな。簡易トイレかな。」

・「ソーラーパネルと、そのソーラーパネルから充電する充電器をもらいました。すごく助かりますね。自治体からいただいた資料の中で、ポイントで買えなかった分を、自分たちでちゃんと揃えようかなというような意識改革にもなったので良かったと思います。」

・「乾電池。乾電池どうせ使うから。商品カタログ全部見ましたけど、やっぱりこういうこともあるんだっていう注意喚起にはなりました。」

・「いろいろ見て、防災セット、それだ!すぐ使える物がいいかなっていう感じだったかな。一部分は「ありがたいな」だけれど、やっぱりあとは自分たちで準備しなければなという気持ちはありますよね。」

・「まだ届いてはないんですけど、トイレとコンロ。自分だけだと、やろうやろうと思ってもなかなかできなかったりするので、期限とか決めてやってもらえると、取り組みやすくはなるかなと思います。

お話を伺った中では、申し込まなかったという方は1人だけでした。「防災のいいきっかけになった」という声もありましたし、カタログを見て他にも揃えたいと思ったという声が多かったです。

女性のための防災セットや寄付金付きの防災セットを企画・販売

そして、カタログに載っている「女性のための防災15点セット」も好評だったそうです。この女性のためのセットなど、およそ150種類の防災用品・防災セットを企画・販売している株式会社エピオスの社長 山口直樹さんに伺いました。

株式会社エピオス 社長 山口直樹さん

市場が成熟してきたということで、お客さんの要望のレベルが上がってきたというのは感じます。例えば食品で言うと、昔は「カロリーがとれればいい」っていうものが、今は「美味しいものがいい」そういうものに変わってきているかなというのはあります。「女性のための防災セット」も企画販売しています。女性をターゲットにした得意先が多かったので、比較的早い時期から展開することができていました。女性の独自のものでいうと、やはり生理用品をいれるということ、あとは衛生関係の商品を入れている、ほぼうちの女性社員が作った商品です。石川県の南部に会社がありまして、石川県に防災グッズをやっているメーカーは、おそらくうちしかないので、5種類くらい寄付金付きの防災セットを取り扱って「能登のために」っていうシリーズでやっているんですけど、非常に大きな反響をいただいているところです。

(能登のために チャリティ防災セットの一例)

エピオスは、本社が石川県南部の川北町にあって、能登からは150kmほど離れているので、能登半島地震は大きく揺れたものの、大きな被害はなかったそうです。「能登のために チャリティ防災セット」は、石川県庁に売り上げの一部を寄付。企業などを含む全国から今、人気を集めていて、ECサイトなどから購入できます。

(女性のための防災セットの一例)

また、「女性のための防災セット」は、小さなナップサックに全て入れて持ち運べるようになっていて、さらにA4サイズの箱が付いているので、ナップサックに中身を全て入れて、それをさらに箱に入れて会社のデスクや棚、引き出しに入れておくのも便利だということでした。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)

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