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若手エンジニアに捧ぐ「仕事が辛いとき」胸に刻みたい、一流たちの哲学【糸井重里、落合陽一、中島聡、岡田武史】

エンジニアtype

若手エンジニアに捧ぐ「仕事が辛いとき」胸に刻みたい、一流たちの哲学【糸井重里、落合陽一、中島聡、岡田武史】

職業としてエンジニアをやっている以上、ついつい「もう辛い、辞めたい」と弱音を吐きたくなるときもあるだろう。

上司や顧客から無理難題を突きつけられたり、無謀なスケジュールに振り回されたり……。あるいは、自分が得意ではないことを任されることだってあるかもしれない。

そこで今回、過去エンジニアtypeに掲載された記事の中から、「仕事が辛い」ときに心の支えとなってくれるような『プロフェッショナルたちの名言』を四つピックアップ! 各界で活躍する一流たちのメッセージは、きっとあなたの仕事へのモチベーションを高めてくれるはずだ。

目次

糸井重里「仕事が楽しくなるサイクルを、自分で回せるようにする」落合陽一「純粋な好奇心があれば、それだけで強い」中島聡「心からほれ込んだ仕事なら『苦行』すら楽しい」岡田武史「スキルの価値は優劣じゃなく、違いにこそある」

糸井重里「仕事が楽しくなるサイクルを、自分で回せるようにする」

コピーライターとして一世を風靡し、数々の名コピーで世の中を彩ってきた糸井重里さん。名作『MOTHER』シリーズでは、開発チームを率いてゲーム業界に絶大なインパクトを与えた。

そんな糸井さんだが、20代の頃は「華やかさのかけらもない、地味な毎日」を送っていたという。

糸井さん:僕の20代なんて、今にも潰れそうな会社で社長と二人、小さな会社の広告をせっせと作るのが仕事。

でも、それが楽しかった。なぜかと言うと、好きだったからでしょうね、コピーライターという仕事が。「自分にやらせてほしい」と思う仕事がどんどん出てきて、好きなことならいくらでもやれる、ということが分かりました。

ただ、いくら好きなことだとはいえ、楽しい仕事ばかりを手掛けられるかどうかは、また別の話だ。割り振られた仕事にモチベーションが湧かない場合には、どうすれば良いのだろうか。

糸井さん:そんなときは、あえて難しくするんです。頼まれてもいないのに、自分でもっとこうしたら面白くなるんじゃないかというアイデアを付け加えて、わざと仕事の難易度を上げてみる。

仕事の楽しみの一つは、できなかったことができるようになることです。だから、頑張ればできるかもしれないくらいの高さにハードルを上げて、それを飛び越えられるよう努力する、というのを若いうちは一人でやっていました。

すると、いつの間にか自分の実力も上がって、周りから「いた方がいい人」として認められるようになり、ますます自分も楽しくなる。

働くことは苦役であるという前提があるからこそ、仕事が楽しくなるサイクルを自分で回せるようにすることが大事なのだと思います。

ほぼ日 代表取締役社長
糸井重里氏

1948年11月10日生まれ。コピーライター。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。広告、作詞、文筆、ゲーム制作など多彩な分野で活躍。2002年より毎年発売している「ほぼ日手帳」は、累計1000万部を超えるロングヒット商品となっている

「技術だけで、良いものは作れない」ヒットメーカー糸井重里が半世紀働いて気付いた、熱狂を生むプロダクトに不可欠なものhttps://type.jp/et/feature/26771/

落合陽一「純粋な好奇心があれば、それだけで強い」

アーティスト、科学者、大学教員、 経営者……いくつもの顔を持ちマルチに活躍する落合陽一さんは、モチベーションを維持すること以上に、「好奇心」を持つことの重要さを説いてくれた。

落合さん:「モチベーション」というと、その先のやり抜く力までセットで必要だと思われがちですが、今はAIがありますから、作業やその後の工程はAIに任せるという手もある。純粋な好奇心があれば、それだけで強いと思います。

私は仕事柄さまざまな学生や社会人と関わってきましたが、「この世界で誰もやったことが無いことに対する好奇心」を持ち続けられる人の数は、かなり少ない印象です。僕自身は永遠にやりたいことがあって、好奇心が尽きないのですが。

「もっとこうしたい」という意志を示せる人は強い。その上で落合さんは、「諦めない」ことも大切な素養だという。

落合さん:ほとんどの人にとって、何かを諦める理由は「面倒くさいから」ではないでしょうか。「時間が無いから」もその一つ。諦めざるを得ない論理的な理由ができる手前のポイントで、勝手に納得して手を止めてしまうんです。それは本当にもったいないと思います。

落合さん:これからの時代をつくる若い人たちには「こんな社会にしたい」「世界をこう変えたい」という強くて人間的なモチベーション、そして広い視野のもと強靭な世界観を自分の中に育ててほしいと思います。

メディアアーティスト 博士(学際情報学)
落合陽一氏

筑波大学でメディア芸術を学び、2015年東京大学大学院学際情報学府にて博士(学際情報学)取得。現在、メディ アアーティスト・筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長/図書館情報メディア系准教授・ピクシーダストテクノロジーズCEO。ヒューマンコンピュータインタラクションを専門とし、研究論文は難関国際 会議SIGGRAPHなどに複数採択される。令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞を受賞。内 閣府、経産省などの委員、25年大阪・関西万博 テーマ事業プロデューサーとして活躍中。計算機と自然の融合を 目指すデジタルネイチャー(計算機自然)を提唱し、コンピューターと非コンピューターリソースが親和することで再構築される新しい自然の実現や社会実装に向けた技術開発などに貢献することを目指す

落合陽一「2026年にはほとんどの知的作業がAIに置き換わる」人間に残される仕事は“とげ作り”https://type.jp/et/feature/26858/

中島聡「心からほれ込んだ仕事なら『苦行』すら楽しい」

続いては、『Windows 95』の生みの親・中島聡さんのメッセージを紹介しよう。

中島さんは、「本当にその仕事が好きなら『つらい、辞めたい』と思うよりも先に、『どうやって困難を乗り越えるか』と考えるものです」と話す。

中島さん:マラソン選手が上り坂に出会うたび、「坂道なんて大嫌いだ、マラソンなんてするんじゃなかった」と思うでしょうか。本当にマラソンが好きならば、「ここで音を上げているようではトップになれない」「むしろライバルに差をつける絶好のチャンスだ」と感じるはず。

頑張る底力は、好きだからこそ自然に出てくる。好きでもないものに対して、無理矢理絞り出すものではないのです。

どうせ働くのであれば「心から夢中になれる」ことを仕事にしよう。中島さんの言葉からは、そんなメッセージをひしひしと感じる。

中島さん:どんな世界でもそうですが、三度の飯を忘れるくらい夢中になって勉強している人、働いている人ほど、強い人はいません。そんな人にとっては、他の人にとっての「苦行」が「楽しくて仕方がないこと」になる。僕もそうやってソフトウエア開発に日々向き合ってきたことで、この世界で成功することができました。

特にこの変化の激しい時代では、新しいことを勉強し続ける姿勢がより重要になってきています。現役エンジニアの皆さんも、試しにこれまで一度も書いたことのないプログラミング言語の勉強をしてみてはどうでしょうか。

そのプロセスを楽しむことができるなら、あなたはエンジニアに向いているのです。自信を持って、エンジニアとしてのキャリアを歩み続けてください。

ソフトウエアエンジニア 実業家
中島 聡氏

早稲田大学大学院理工学研究科修了・MBA(ワシントン大学)。1985年に大学院を卒業しNTTの研究所に入所し、86年にマイクロソフトの日本法人(マイクロソフト株式会社、MSKK)に転職。89年には米国マイクロソフト本社に移り、ソフトウェア・アーキテクトとしてMicrosoft本社で Windows 95 と Internet Explorer 3.0/4.0 を開発。Windws95に「ドラッグ&ドロップ」と「(現在の形の)右クリック」を実装したことによって、両機能を世界に普及させる。後に全米ナンバーワンの車載機向けソフトウェア企業に成長するXevo(旧UIEvolution)を2000年に起業し、19年に352億円(3億2000万ドル)で売却。元EvernoteのCEOが立ち上げたmmhmmの株主兼エンジニア。現在はフルオンチェーンのジェネラティブアートの発行など、Web3時代の新たなビジネスモデルを作るべく活動している。堀江貴文氏に「元米マイクロソフトの伝説のプログラマー」と評された

中島聡「未知の開発言語の勉強を、楽しめるかどうか」Windows 95の父が考える、エンジニア向きの資質とはhttps://type.jp/et/feature/26867/

岡田武史「スキルの価値は優劣じゃなく、違いにこそある」

「自分よりデキるやつがいて辛い」「技術では周りに勝てないと感じている」若手エンジニアであれば、あるあるの悩みではないだろうか。

その悩みに「そりゃあ客観的に見て劣ってるなら仕方ない。でも、競争に悩んでてもきりがないよ」と答えてくれたのは、かつてサッカー日本代表を初めてワールドカップ出場に導いた名将・岡田武史さんだ。

岡田さん:客観的に見て本当に能力が低いなら、俺が助言しても仕方がないよね(笑)

ただ、いろいろな人を見てきて思うのは、それが「思い込み」である場合は結構多い。だからもっと冷静になって自分の強みをきちんと把握したらいいんじゃないかな。「ここなら勝てるかもしれない」というものを見つけたら、徹底的にそこを磨けばいい。

とはいえ、他人との優劣を気にしてしまうのが人間だ。そのジレンマに岡田さんは、「周りより劣っているスキルがあっても、強みを別に探せばいい」と答える。

岡田さん:全部のスキルが平均点以上なんて人は、いないんじゃないかな。人っていうのは、みんな違うものだから。身長も、価値観も考え方も違うし、能力も違う。

岡田さん:全員が同じ能力を伸ばすより、一人一人が他の人に負けない自分の武器を磨く方が、その人のためにもチーム全体のためにも良いと思う。

周囲を見渡して「これなら一番上に立てそう」という武器を見つけて、磨いていくこと。武器は簡単には見つからないかもしれない。でも日々やるべきことにフォーカスして、自分が成長していくしかないんじゃないかな。

だから、「あいつにはかなわない」とか「俺はだめだな」とか、そんなことを思うなら競争なんてしない方がいい。それこそ「ここは自分の生きる道じゃない」と思うのなら、辞めたっていいんですよ。

元サッカー日本代表監督
岡田武史氏

1956年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、古河電気工業サッカー部に入団し、1980年に日本代表に選出。現役引退後はチームコーチを経験し、1997年フランスW杯アジア予選で日本代表監督に起用され、史上初の本戦出場を果たす。2007年の南アフリカW杯で再度監督に就任、日本代表をベスト16に導いた。2014年FC今治のオーナー会社である今治.夢スポーツの代表取締役に就任、2024年4月にはFC今治高校の学園長に就任。また、2019年には日本サッカー殿堂入りを果たしている

岡田武史「劣等感に悩むくらいなら、辞めろ」名将に聞く、競争よりも大切なことhttps://type.jp/et/feature/26156/

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