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【今週のアニメ『キングダム』の話題は?】第2話「激動の起こり」|「法家」李斯とは? 軍議に信、蒙恬、王賁が!?

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『キングダム』は、紀元前中国の戦国時代を舞台にした原泰久先生の人気漫画作品です。こちらのアニメ第6シーズンが今秋スタートとなり、10月5日(10/4 24:10)からエピソード1が放映されました。SNSでは、放映開始と共に「きたー!」「待ってたー」など興奮の雄叫びが多数。視聴後も、感想もたくさん発信されていました。

そして、これに続くエピソード2「激動の起こり」が、10月12日(10/11 24:10)から放映されましたので、こちらでそのあらすじを振り返っていきたいと思います。

 
※第2話の内容に言及しています。

 

エピソード2「激動の起こり」あらすじ

李斯の解放

エピソード2は、夜更けの暗い画面から始まります。昌文君(しょうぶんくん)が、非公式に地下牢内の李斯(りし)に会いにいくところです。

昌文君は秦王 政(せい)の側近かつ左丞相(さじょうしょう)、李斯は楚(そ)出身の「法家(ほうか、法律で国を治めるべきとする思想家)」です。
李斯が捕まっている理由は、彼が反乱を起こした呂不韋(りょふい)の元にいたからです。呂不韋は、国内反乱を引導した罪で国政の頂点からおろされ、河南の地に蟄居させられています。李斯もこの時に捕まっていたのですね。

昌文君と李斯とのやりとりは、ぜひご覧頂きたい!としか言えませんが、ひと言で表すと“法とは何か“です。現代の私たちにも重みのある言葉がたくさんありますので、ぜひ改めて注目してみてください。

 

戦略会議

続いて、王宮のシーンです。趙攻めの作戦を練る4人が、難しい顔をして地形模型を囲んでいます。

昌文君、昌平君(しょうへいくん、秦軍総司令、軍師養成学校もやっている、右丞相)、蒙毅(もうき、若手軍師、昌平君の教え子、蒙恬の弟)、介億(かいおく、昌平君の家臣で軍師学校の教師も務める)の4人です。

敵対する趙の李牧(りぼく)が、黒羊(こくよう)の地の北東部に新たな築城を行なっていることから、これまで想定していた作戦が難しくなり、勝利までの道筋が見えなくなってしまったのです。4人は疲労の色が濃く、昌文君など一時倒れたほどです。

やがて、苦悩の中、昌平君が口にしたのは「鄴(ぎょう)攻め」です。

しかし、これには周囲の者たちは猛反対。特に、兵站の問題がクリアになっていないので無謀な作戦だ、という蒙毅の意見はもっともです。

 

信、王賁、蒙恬、よびだされる

作戦を完成させたところで前線から呼び出されたのが、信、王賁(おうほん)、蒙恬(もうてん、蒙毅の兄、昌平君の教え子)の若手将校3人です。3人は、独立友軍の隊長として、現場判断で自由に隊を率いてきた実績があります。昌平君は、この若手3人の動きで李牧の鼻をあかそうと考えたのです。

「鄴攻め」の作戦と目的を、簡単にまとめると以下のようになります。
1、前回の戦いで獲得した黒羊を拠点に北へ攻めるつもりだったが、この経路はおとりとする。
2、軍本隊は鄴を奪取せよ=鄴をその目と鼻の先である邯鄲(かんたん、趙の王都)を攻めるための拠点とする
3、ただし、秦領内から鄴までの道をふさがれると兵站がとぎれ、鄴に入れたとしても秦軍は孤立して趙軍に囲まれるので注意。
4、飛信隊・楽華隊・玉鳳隊は、作戦全体を頭に入れた上で、現場判断で臨機応変に動くこと。

「ぎ…、ぎょう(鄴)…、ってどこだ!?」という信が、ちょっと心配ではありますが(笑)、大きな戦の前の緊張感が伝わってきますね。

加えて3人は、「この戦で大功をあげ、三人そろって将軍へと昇格しろ」との詔を賜ります。こちらは、今シーズンを通しての見どころにもなるかと思います。

 

史実から見る「法家」とは?

今回、李斯のところで出てきた「法家」ですが、せっかくなので歴史的なことも調べてみました。「法家」はどういった経緯から誕生したのでしょうか?

 

諸子百家の中の「儒家」と「法家」

「法家」の誕生を、いつの誰と見るかは諸説あるようですが、いずれの説にしても、誰かが突然ひらめいたというものではなく、「儒学」の思想体系の中から出てきたものだそうです。

まずはそもそもの話ですが、戦国時代は、王のコンサルタントともいうべき諸子百家たちが、中華をうろうろ移動している時代。王は自分の国を強国にするすべを求め、そこに知識人たる諸子百家が舌先をもって就職を求めていたのです。

そこで、春秋時代末から戦国時代初期の各国は、大昔から続く独自の文化習慣をもちながら、その上に、春秋末期の孔子(こうし)にはじまる「儒学」を置くことになりました。
 
戦国の世が本格化してくると、孟子(もうし)が「性善説」を説き、「王は徳によって天下を治めるべき(徳治主義)」とする論を打ち出します。これに対して、「礼(れい、しきたりや慣習のルール)」を優先的地位に置くべきだとしたのが荀子(じゅんし)です。人間には多少の“たが”が必要だ、みたいなことでしょうか。

 

法家思想

そして、荀子の弟子だったのが、韓非(かんぴ)と李斯だとされてきました。
 
韓非は韓の公子(王子)なのですが、徹底的に人を信用しません。〈荀子のいう「礼」なんて生ぬるい、「礼」と王権を結びつけて強制力と刑罰を伴わせたのが「法」、施行された「法」はすべての人間より上、「法」で統治するべき〉という思想です。
李斯もこちらの考えの人間です。彼らは「法家」と呼ばれることになります。
 
彼ら法家思想の究極は、「どんな王が立とうとも、法律をもとに人々は粛々と自分の仕事をなせばよい。国はシステムなのだから」です。これでは、いくら祖を同じくするといっても、儒家とは対立するに決まっています。“他人への敬意・寛容さ・立派な人間になろうと精進すること、とか意味なくない?” と言っているようなものだからです。

 

李斯の評価は?

李斯は、楚で庶民として生まれ、低い官位から学問を積んで出世した人物です。そして、学問を積むほどに楚の将来に期待が持てなくなり、秦に移り呂不韋の食客となります。その後は『キングダム』のとおりで、法家として王に認められ、やがては丞相(宰相)の地位にまで昇り詰めます。
 
彼がかかわったことは、郡県制、度量衡の統一、貨幣の統一、全国均一法の適用、焚書と多岐にわたります。これらは、その後の歴史に大きな影響を与えたことに間違いはありません。
 
しかし、秦の短期での滅亡は、法支配の厳しさによるところが大きいのではないかとする意見も根強く、李斯への批判的な見方も存在します。また、彼は「沙丘之謀(さきゅうのはかりごと)」といわれる、二世皇帝胡亥(こがい)擁立にもかかわっています。こちらの件も、李斯の評判を落とす原因になっているでしょう。
 
このように、様々なことを成し遂げた李斯の人物評は、善とも悪とも表しがたいところ。しかしながら、彼が勉強家で、先見した理想の持ち主であった、と見ることに差し支えはないでしょう。

 

まとめ

現在の私たちにとって、「法」というものは生まれた時からあるもので、その概念も当たり前に理解できるものですが、『キングダム』の世界ではそうではありません。――秦に、これから、常識を超えた新しいものが出現する――そんな歴史的瞬間を、政や信たちと一緒に感じられたら、さらに深く楽しめそうな気がします。
 
そして、これから動き出す「鄴攻め」です。
軍の編成はどうなるのでしょうか? 総大将は誰になるのでしょうか? 来週のエピソード3「秦軍の陣容」が待ち遠しいですね。
 
最後になってしまいましたが、演者の方々とアニメ制作スタッフさんたちのSNS投稿の一部をご紹介しておきます。どうぞみなさま、これらをお読みになって来週までの待ち時間を有意義にお過ごしください!

 

 

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