北海道の自慢のそば祭りも「少子高齢化」で終幕…若者の活動が実ったマチの実例は
教育やインフラの維持などあらゆる面に影響を及ぼす人口減少。
北海道でいま何が起きているのか現場を歩きました。
連載「じぶんごとニュース」
マチの名物「祭り」も人口減少で
そばの作付け面積日本一、北海道上川郡の幌加内町。
見渡す限りのソバ畑が広がります。
自慢の「幌加内そば」を一躍、全国区に押し上げた立役者が「幌加内町新そば祭り」です。
マチの活性化や観光振興などを目的に1994年に始まった祭りは毎年4万人以上を集める人気イベントとなりました。
今回で30回目の節目の年を迎えましたが、実は、2025年で祭りは幕を下ろします。
幌加内町そば祭りの田丸利博実行委員長は「毎年”人口減少”。当時から頑張ってくれてる人も32歳年をとって、スタッフを維持するのがかなり厳しい」と教えてくれました。
幌加内町の人口は1221人と、祭りが始まった年から半減。
町立高校でそば打ちの授業を必修にするなど、そばを通じたマチづくりも進めてきましたが、厳しい状況が続いています。
急激に衰退するマチ…それでも「そば祭り」は形を変えて残したいといいます。
「身の丈に合った運営を継続していく。しなければいけないと思っている」
祭りに加え、マチの行く末も岐路に立たされています。
そんな中そんな「若者」の活動が実ったマチが北海道十勝地方にあります。
人口「社会増」を達成“若者が挑戦しやすいマチ”
もうすぐスイートコーンの季節がやってくる、帯広市のとなり、芽室町です。
2024年度人口の転入が、転出を上回る「社会増」を達成しました。
要因のひとつに挙げられるのが「若者が挑戦しやすいマチ」だということです。
9年前に移住してきた川上徹さんは、十勝地方ならではの自然が楽しめるマルシェの開催や、中心部の空き家を自ら改修して若者が集えるコミュニティスペースの立ち上げなどを行っています。
「2人子育てしていて、彼らの地元が芽室町になったことで、『なにもなかった』『シャッター街でつまらないマチ』とは思ってほしくない」
活動を支えているのは、芽室町が町民とマチの未来像を共有するために4年前に作った「ビジョンマップ」です。
地域活性化に向け「これをやりたい」という若者に、行政は補助金の申請支援など手厚いサポートをしています。
芽室町魅力創造課の渡辺浩二さんは「役場としては寄り添いながら支援できる形として、いわゆる後方支援と言うか、主役は町民の方で生き生きとチャレンジして実現していくのが理想」と話します。
こうした活動が評価され町は、魅力的な地域活性化を行う自治体に贈られる賞で金賞を受賞しました。
一方でその魅力を持続させるためには課題もあります。
川上さんは「マチや人への思いで頑張ることはできるが、どうしてもボランティアになる部分が多い。補助金は事業そのものに使われるため、活動する『人』も報いてほしい」と話します。
民間の「やる気」だけに頼らない地方創生のあり方とは…
「消滅しない」マチづくりへの方策が求められています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年7月16日)の情報に基づきます。