北海道最古の水族館名物は4代守り継ぐ自慢の「つぶ焼き」秘伝の醤油とダシでじっくりおいしく【今日ドキッ!】
HBC テレビで、毎週月~金曜ごご4:50~7:00に放送中の情報ワイド番組「今日ドキッ!」。
北海道のさまざまな話題をご紹介している「今日ドキッ!」から、選りすぐりの情報をお届けします。
新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、室蘭の白鳥大橋のたもとにある、道内で一番歴史のある水族館の名物に注目しました。
創業72年「つぶ焼き池田」タレとダシが沁み入るツブ!そのうまさと人気の秘密
おけをトントン叩いてエサをおねだりするゴマフアザラシの「さつき」や…
ヨチヨチと歩くかわいいペンギンたちに会いにたくさんの親子連れが訪れます。
この場所に、多くの来場者を魅了してやまない“うまい名物”があります。
東日本最大の吊り橋として、27年前に完成した白鳥大橋。
白鳥が羽根を広げたような優雅な姿に見えることから、そう名付けられました。
この白鳥大橋のたもとに、ゴールデンウイーク中、最も賑わいを見せる貴重な施設があります。
道内で最も歴史のある水族館として親しまれている「市立室蘭水族館」です。
その歴史は大変古く、今から72年前の1953年(昭和28年)に道内初の水族館として開館しました。
番組スタッフ:「室蘭水族館にはよく来ますか?」地元客:「はい、子どものころから来ています」
番組スタッフ:「室蘭水族館には?」男性客:「久々ですね。小さいころ来ていました」
この室蘭水族館に中に、誰もが名物と認める小さなお店があります。
家族4代に渡って受け継いできた、創業72年の「つぶ焼き池田」です。
初代の室(むろ)キク江さんは曾祖母、先々代の池田 君江さんは祖母。
先代は母の理恵さん、そして4代目を継ぐために現在修行中なのが、娘の望美さん、28歳です。
実は望美さん、本業は会社員。勤めている会社に許可を取り、会社が休みの日だけ、この店に立っています。
なので、店を営業する4月下旬から10月中旬までの間、ほぼ休みがありません。
三好 望美さん:「月曜日から金曜日まで会社員として働いて、土日はこちらで働くということは結構体力的にもハードな日常を送っているんですけれども、人の笑顔見て『おいしかった』って言ってくれるだけでうれしいので、それだけで十分です」
三好 望美さん:「小学生のときに“なりたい職業ランキング”っていうのがありまして、“つぶ焼き”って書いてたんですよ。なのでやっぱり意識はしていたんですね、小学校から。つぶ焼きを食べてよろこんでくれるお客様の顔ですとか、『今年も変わらずおいしいね』とか、言っていただいたりするのは、たぶん子どもながらに伝わっていたのだと思います」
何世代にも渡り愛されて…
何世代にも渡って、愛されて続けてきた室蘭水族館のつぶ焼き。
その味を懐かしんで訪れる人も。
地元客:「室蘭水族館は“つぶ焼き”ですよ、やっぱり。室蘭水族館=つぶ焼きだから、やっぱり懐かしいですよね。しょう油がこうばしい感じがおいしいです」
帰省中の家族:「『つぶつぶ』ってうるさいんで…」長男:「“つぶ”おいしいから」
父親:「水族館と言えば“つぶ”」長男:「こりこりしててうまい!」
昭和28年の創業当時から変わらずに使ってきた“マツブ”。
漁師だった望美さんのひいおじいさんが、獲ってきたツブを海水浴場で売ったのが始まり。
現在は日高産のマツブを仕入れて、毒素が含まれている脂と呼ばれる部分(唾液腺)を丁寧に取り除いてから使用しています。
マツブの良さを望美さんに聞くと…
三好 望美さん:「甘みがあるのが特徴でして、あと食感もしっかりしているし、その分ちょっと高級にはなってくるんですけど、味はすごくおいしいです」
気になるその味付けは…つぶ焼き池田に代々続く、一子相伝!秘伝のしょうゆタレと昆布ダシ。
つぶの焼き加減の頃合いをみながら、数種類の調味料を調合したしょうゆタレと昆布ダシを注ぎ込み、炭火でじっくりと煮立たせていきます。
最後に生姜を少し加えることで、さらに旨味が増して、4代に渡って続いてきたつぶ焼きが完成です。
女性客:「おいしいの?つぶ食べたことないんだけど」
女性客:「おいしいです。うまっ」女性客②:「生姜となんかのだし?たれ?みたいな味がします。おいしいです」
娘:「グー」母親:「グーしてる!グー!」
バトンは引き継がれ…「大丈夫」母の太鼓判
室蘭水族館が開館した72年前当時から、つぶ焼きを見守り続けてきた人がいます。
室蘭水族館に勤めて54年、飼育員だった坂田さんです。
元職員の坂口 輝雄さん:「5月の連休はすごい人なんですよ」
元職員の坂口 輝雄さん:「お客さんがびっちり並んで、水族館の名物なんです。私も大好きです。よく食べました」
元職員の坂口 輝雄さん:「4代全部分かってます。これからも水族館あるうちね、ずっと続いてもらって、お客さんに楽しんでもらえればいいなと思っていますけどね」
会社員として仕事を持ちながら、つぶ焼きの店に立つ望美さん。
娘へとバトンを託した三代目、母の理恵さんは、そっと娘を見守ります。
母の理恵さん:「ほんとちっぽけなお店かもしれないですけど、やっぱり多くの方に愛されていますのでね、ここを無くしたくないっていう、ただそれだけで来まし。」
母の理恵さん:「うちの母はお客さんに対して『感謝の気持ちを忘れちゃいけないよ』って。そうやって言ってた人なんですよね。この子は私より接客も上手だし、お客さんに対しての笑顔も素敵ですし、私の母に似ています。はい、だから大丈夫です」
望美さんに母の理恵さんについて聞いてみると…
三好 望美さん:「めちゃくちゃ尊敬しています。お母さんにはとことん教えてもらったので。『何年たっても1年生の気持ちでやってください』っていうのを言われて…。初心を忘れないというか。正確な味を作る秘訣はそこにあると思います。それが守っていくってことだなって思います」
男性客:「つぶが楽しみで…」三好 望美さん:「いやぁ~うれしいです!ほんとに。」
母の理恵さん:「そうやっていただくとやりがいがあります」三好 望美さん:「ありがとうございます。うれしいな…」
愛されるワケは…
三好 望美さん:「遠くから来ていただいてる方とか、つぶを目当てに来て下さる方もいるので、その方への感謝の気持ちですとか心を大切にと言われております。昔きていたんだよとか、私の知らない時代の話もしていただいたり、『どこにもない味だよね』とか言っていただけたりするので、ほんとに受け継がれてきたんだなって、ひしひしと感じますね。同じ味でずっと続けていきたいなと思っています」
【つぶ焼き池田】
室蘭民報みんなの水族館(市立室蘭水族館)内
住所:室蘭市祝津町3丁目
電話:0143-27-1638
営業:GW期間 午前9時半~午後5時(通常は4時半まで)
期間:~10月13日まで無休営業
※掲載の内容は番組放送時(2025年5月5日)の情報に基づきます。