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日銀 保有株売却は禁じ手ではない! ETF売却の影響は株式市場よりも金融引き締め

文化放送

7月15日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日銀の保有株売却について意見を交わした。

ETF売却の話に結び付けたくて言っているだけですよ……

日銀が金融システム安定策の一環として銀行から買い取った株式の売却を終えたことがわかった。 

日銀が銀行から株式を買い入れる異例の政策に踏み切ったのは2002年11月。日本の銀行が不良債権処理に苦しんでいた時期で、銀行経営を株価下落の悪影響から遮断して、銀行が不良債権問題に取り組む環境を整えることを目的とした。 

(寺島アナ)「日銀が金融システムの安定を目的に銀行から株式を購入する政策。これは田中さん、禁じ手とされていたのでしょうか?」 

(田中氏)「いや全然違いますよね。“禁じ手”と言っている人は、どういう発想で言っているのかよく分かりません。日本銀行は中央銀行で『銀行の銀行』とも言われていて、金融システム全体を維持するための最後の守りなんですよね。これを『最後の貸し手』とも言います。なので簡単に言うと、金融システムを保つためには何でもありですよ。ただそれだけなので“禁じ手”もなにも、その人が勝手に思っているだけなんじゃないですか?」 

日銀関係者、保有株の売却について「こんなに時間がかかるとは想定していなかった。2008年のリーマンショックで状況が一変し、売却計画が大幅に遅れた」と語っている。 

日銀が金融システム安定策の一環として銀行から買い取った株式の売却を終了した。 

(寺島アナ)「これは田中さん、どう見ていますか?」 

(田中氏)「やっぱり日銀関係者が嘆いたのが分かりませんが、リーマンショックが間にありますからね。“21世紀の初めに不良債権処理問題としてやった政策に、ようやく片が付いた”程度の話題なんですが、これがなんで大きく取り上げられたかというと、日銀が『異次元緩和』のときにやったETFを今後どうするのか?と。経済的にはほとんど重要性が無いんですが、ETF売却の話に結び付けたくて言っているだけですよ……」 

7月10日時点で日本銀行はETFを37兆円保有している。「このETFを売却してしまうと株式市場が混乱してしまうのではないか?」という指摘もある。 

(田中氏)「ETFを売却するってことは、市場から貨幣を日銀が吸収しちゃうってことなので、やり過ぎたら超金融引き締めになっちゃうわけです。株式市場の混乱云々は日銀のETF購入について批判的な人たちが“異次元緩和の負の遺産が出てきた!”と言いたいためのフェイクニュースの一個ですね。日本全体に与える影響を見ないといけないので、ETFをいま売却すると金融引き締めになるので、そっちの方を心配した方がいいと思います」 

(寺島アナ)「そうか。そこが大事なんですね!」 

(田中氏)「別に株価なんかどうでもいいじゃないですか。下がろうが上がろうが儲ける人はいますから。ずっと停滞したら問題でしょうけどね」 

〈出典〉 

日銀、保有株の売却完了 銀行から買い入れ分、ETF焦点に | 日本経済新聞

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