時間割を子どもと一緒に作る 香川小での取り組み一冊に
時間割を児童と教諭が一緒に考え、決める―。茅ヶ崎市立香川小学校の山田剛輔(ごうすけ)教諭(44)が、2022年度から行ってきた取り組みの過程や成果を『時間割から子どもと一緒につくることにしてみた。』(学事出版)=写真=として出版した。
山田教諭は18年度、同校に赴任。時間割を児童と一緒に決める取り組みは、22年度に受け持った1年5組で始まった。
きっかけの一つが「私自身が勉強する意味が分からず、意欲が湧かない子どもだったこと」にあるという。教師になった後も「教育が『知識を詰め込みテストで良い点をとること』に偏っているのではと感じていた」といい「遊びや生活と結び付けて、子どもたち自身が『学びたい』と考えるための仕掛け」として取り組みがスタートした。
山田教諭のクラスでは前期は毎朝、後期は毎週初めに子どもたち自身が「学びたいこと」を話し合い、それを「時間割」に落とし込んでいく。
例えば学校内を探検し、どんな教室や施設があるのかを学んだ際には「各教室に名前を記したプレートがあったらみんなが分かりやすいのでは」という声が上がり「教室表示プロジェクト」がスタート。自らの意志で「文字を知りたい・書きたい」という学びに繋げていった。他にも近くの森で採取した落ち葉から腐葉土を作り、それを活用するなど、児童発信のさまざまなプロジェクトが行われた。
取り組みは現在受け持つ4年生のクラスでも続く。教室の変化について山田教諭は「『やりたいこと』でつながっているので、子どもたちが互いを思いやれるようになった。また子どもが積極的に学んでいる姿を見て、保護者がそこに参加することも多く『私たち自身がもう一度青春している気がする』と言われたこともありました」と笑顔を見せる。
そのうえで今回の書籍について「取り組みを通じて子どもには自ら考え、作る力があることを実感している。それをどう引き出したらいいかを考える材料になれば」と話している。2640円(税込)。長谷川書店ネスパ店などで取扱中。