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鈴木雅之のルーツは三橋美智也? ラブソングの王様が歌うピュアで普遍的なバラード「恋人」

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1993年04月21日 鈴木雅之のシングル「恋人」発売日

これまで紅白歌合戦に7回出場している鈴木雅之


2023年大晦日の『NHK紅白歌合戦』では、オープニングでカメラに向かって投げキッスをし、ラッツ&スター名義で1983年にリリースした「め組のひと」を披露した鈴木雅之さん。2022年の紅白では、1995年にリリースされた「違う、そうじゃない」を歌唱。こちらはネットミームでシングルCDのジャケットが貼り付けられ、TikTokで火がついて人気になったのも記憶に新しい。

紅白にはこれまでラッツ&スター名義を含め7回出場している。1991年に「ガラス越しに消えた夏」、1992年に「もう涙はいらない」、1996年にラッツ&スターで「夢で逢えたら」、2020年に「夢で逢えたら」、そして2021年は「め組のひと紅白Ver.(ランナウェイ~め組のひと)」を歌唱した。ダンサブルな楽曲からバラードまで、他の歌手にはない、大人の落ち着いたポップスを届けている。

彼のコンサートでは “お洒落な街" として、その日の会場が紹介される。渋谷公会堂であれば「今夜はここお洒落な街、渋谷へようこそ」、釧路文化ホールであれば「今夜はここお洒落な街、釧路へようこそ」といった具合だ。聴いている誰もが、別世界に引き込まれてしまう。

ボーカリストの原点は、三橋美智也


2000年頃からは “ラブソングの王様” “ラブソングの帝王" と名乗っている鈴木雅之さん。1956年9月生まれの彼の音楽ルーツは幅広い。東京湾がまだ豊かな江戸前の漁場だった頃、海苔漁に出る祖父の船に乗せてもらい、船の舳先で三橋美智也の歌を歌って褒められた、歌を歌うことが楽しくてしょうがなかった幼年時代。それが彼のボーカリストとしての原点だという。

還暦を迎え、ソロデビュー30周年という節目で2016年に刊行された真っ赤な記念書籍『60th Anniversary Martin Book』では、「三橋美智也とベン・E・キングは歌い方が特徴的でカッコよかった」と語っている。

実家の旋盤工場でラジオから流れる民謡、歌謡曲、海外のポップスもR&Bも流れるごった煮の世界で育ち、GSを経由して初めて買ったレコードはサム&デイヴの7インチシングル盤だったという。ロックにもフォークソングにも親しむ一方でR&Bやそして、モータウン・サウンド、やがてドゥーワップに惹かれて行った。

ソロシンガーとして熟成したラブソングを中心に歌い続けてきた鈴木雅之


ヤマハが主催するアマチュアバンド・コンテスト『East&West '77』に出場。1978年には、大瀧詠一プロデュース『LET’s ONDO AGAIN』収録の「禁煙音頭」のボーカルに「竜ケ崎宇童」として起用された後、シャネルズのリードボーカリストとして1980年にデビュー、1983年にはグループ名をラッツ&スターに変更。その後1986年にソロシンガー・鈴木雅之としてデビューした。以降、様々なミュージシャンとのコラボレイトを含めて、様々なサウンドで、熟成したラブソングを中心に歌い続けてきた。

彼はおとなの恋の歌、いわゆる “不条理な恋” の世界を堂々と歌える歌手だ。70’sソウルの名曲「Me and Mrs. Jones」に代表されるロマンティックなR&Bのバラードや、彼自身が憧れていて大好きなボーカリストのマーヴィン・ゲイ、ルーサー・ヴァンドロスなどに通じるスウィートな雰囲気を持った、一声聴いて “Martin” とわかるヴォーカルで、大人が歌う恋の歌を日本のポップス界に根付かせた。

いちばんピュアで普遍的なラブソング「恋人」


数多くのラブソングを発表しているMartinこと鈴木雅之さんの、いちばんピュアで普遍的なラブソングをひとつピックアップするならば、「恋人」。1993年4月に6枚目のソロアルバム『Perfume』の先行シングルとしてリリースされた。

この曲の “ふたり” は、恋をするすべての年代の男女にあてはまるのではないだろうか。当時としては珍しく、いきなり歌から入るのが印象に残ったものだ。
 
 想いをいま届けたい 
 この先ずっと
 あなただけを 
 いまでもここでみている

あふれる想いがこぼれる、その寸前でこらえている、時々想いが溢れ出ているような Martinのボーカルはとても甘美な存在感がある。

2021年には、一発録りYouTubeチャンネル “THE FIRST TAKE” で、「恋人」を大坪稔明さんのピアノにのせた、シンプルなアレンジで配信した。こちらも、さらっとした中に隠しきれない情熱が溢れている。ゴージャス感があるオリジナルよりもストイックな表現で、2020年代にフィットした作品として仕上げられているという印象がある。

「恋人」に歌われる風景は、時代を問わない。1993年に生まれた子供は、2024年には31歳。いくつか恋をしていてもおかしくない年頃だ。人間が生きている限り、人が人を好きになることは未来永興続くだろう。そのときに、こんな想いを相手に届けたい、というツールとして、「恋人」をはじめとするMartinさんのラブソングは残っていて欲しいと思うのだ。

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