全国でプールの給水ミス 川崎市教委 教訓生かし負担軽減へ
各地の学校でプールの給水ミスが相次いだことを受け、文部科学省は7月10日、「プール管理が教員の負担になっている」として負担軽減を求める通知を全国の教育委員会に送った。昨夏に市立小学校でプールの給水ミスが起こり、校長らが水道代を賠償する騒ぎがあった川崎市では、独自の改善策を進めている。
今年6月には、東京都江戸川区の2つの小学校と大阪市の小学校で給水を放置するミスがあった。各地で続く給水ミスに、文科省は「学校における働き方改革に配慮した学校プールの管理の在り方について(依頼)」と題した通知の中で、民間業者に委託するなどして教員らの負担を軽減するよう求めている。
川崎市では昨年5月に市立小学校のプールで給水ミスがあり、市教委は流出した水道代金の半額を学校長や教諭に請求。他の自治体の過去のケースを参考にした判断だったが、川崎市に対して賛否両論、様々な意見や抗議が寄せられた。
市教委ではこれを教訓に、まずプール管理に関するマニュアルの改訂作業に着手。給水ミスを防ぐために「プールの給水作業は複数の教職員で進めること」や「作業内容を管理職に報告すること」を明記。また、ろ過装置などの機器の「操作マニュアル」がない学校が全体の4割を占めたことから、市教委がひな型を作ったうえで各校でマニュアルを整備した。担当者は「ミスが起こっても、個人に責任を問うような事態を防ぐため」と説明する。
プール管理の難しさは、設備も状態も各校で異なる点にある。今年4月の時点で市立学校162校にプールがあるが、担当者は「108校でプール清掃を業者に委託しているが、給水も打診したところ、『設備が違いすぎて無理』とのことだった」。スイッチを入れて数時間で満水になるプールもあれば、旧式の「バルブ式」で古いものなら、夜間を除いて給水するため計100時間を要する場合もある。
一方、水泳の授業は「学習指導要領」の中で「教育活動」に位置付けられているため、「指導計画や評価は教員が担う業務」と担当者はいう。昨年度に水泳の授業を実施した川崎の市立学校は、校外プールを使った5校を含め計165校だった。すべて学校の授業として実施された。