霊山寺の木造金剛力士立像のお噺し
2025年3月16日放送の「静岡市歴史めぐりまち噺し」。今日は、霊山寺の木造金剛力士立像のお噺しです。
語り:春風亭昇太
清水区の大内山の中腹にあるのは奈良時代に開山されたと伝わる霊山寺。
室町時代の1516 年に建立されたかやぶき屋根の仁王門は、室町様式の傑作とも評され、国の重要文化財に指定されています。
この仁王門の左右には一対の金剛力士立像が配置されていました。
平安時代から鎌倉時代に制作されたと推定され、長い歳月を経て傷みが目立ってきていた金剛力士立像。
これからも守り続けたいという地元に人たちの尽力もあって2023年10月に山から下ろされ、さいたま市の文化財修復所で大掛かりな修復が進められています。
部材を解体してみると脚の部分にはおびただしい量のドロバチの巣が見つかり、深刻な状態であったことが分かりました。
重量の負荷がかかる両足の部分が周到に考えられた構造になっていることが発見され、台座の合わせ目からは江戸時代後期に駿府の職人によって修復されたことを示すとみられる墨書が見つかりました。
今回の修復にあたって、木材や塗られた漆のサンプルから制作年代の特定も行われることになっています。
修復を終えた仁王像は山を下りた貴重な機会に静岡市歴史博物館での展示も予定され、霊山寺の仁王門に戻るのは2026年以降。
人々の手でまた山に上り、人々の暮らしを見守り続けていきます。
静岡市歴史めぐりまち噺し、今日のお噺しはこれにて。 <!-- tag:神社・仏閣/area:静岡市清水区 -->