亀戸で愛され70年『亀戸ぎょうざ 本店』。こだわり抜かれたシンプルな味に食べる手が止まらない！
亀戸といえば、餃子とホルモンが浮かぶ方も多いのではないだろうか。駅から徒歩1分圏内の路地には餃子とホルモンを提供する飲食店が立ち並ぶ。なかでも『亀戸ぎょうざ』は、亀戸に餃子を根付かせたお店だ。 「おいしい餃子をたくさん食べたい！」そんな欲望に答えるように『亀戸ぎょうざ』では、座席に座った瞬間に1皿300円の餃子が運ばれてくる。食べ終わる頃におかわりの確認がある。わんこそばならぬわんこ餃子。餃子を食べたいだけ食べられるお店だ。
亀戸で餃子屋を営んで70年
『亀戸ぎょうざ』の始まりは70年前に遡る。創業者が地元亀戸に料理屋が少なく、特に餃子を食べられる場所が少ないことを受けて、開業したという。『亀戸ぎょうざ 本店』のメニューは、当時から変わらず餃子のみ。まずは「おいしい餃子を提供するために、餃子の味を極める」という創業時の意思を守り続けているのだ。
今回は、『亀戸ぎょうざ 本店』で、副店長を務める王紅昕さんにお話を伺った。王さんは日本人の旦那さんと結婚生活を送るなかで、偶然立ち寄った『亀戸ぎょうざ 本店』で、働きたいと感じたという。
「外から見えた店内がすごく活気があったんです。ここで働いてみたいなあと感じて、次の日には働きたいです。と面接を申し込みました。お客さんも、一緒に働く仲間も元気があって、大好きです」
お店にあふれる活気。その魅力は10年経った今も変わらない。休日は行列が途切れない人気店で、毎日充実した気持ちで働けているという。
さまざまな調味料との組み合わせが楽しい
王さんにお話を伺ったあと、早速餃子を焼いてもらった。鉄鍋に餃子を並べてしばらく焼いたあとに、お湯を注いで蒸し焼き。あっという間に完成した餃子の美しい焼き色に、食欲がそそられる。
餃子の主な具材はキャベツ、豚肉、ショウガ、ニンニク、ニラ、タマネギで、すべて国産。キャベツは群馬県の嬬恋産、にんにくは青森産のものを使用している。餃子のタネは、肉の量よりも野菜の量が多く、野菜が多い餃子であるからこそ何皿でも食べられるのだ。
早速一口食べてみると、野菜と調和した肉の風味、キャベツのしゃきしゃきとした食感を感じる。皮が薄目だからか、シンプルなタネのおいしさをしっかりと感じられ、油っぽくなく食べやすい。2皿もペロっと食べてしまった。皮やタネだけでなく、使用しているラードにもこだわっているという。
「ラードはお店のオリジナル配合です。季節によって割合を変えていて、脂が固まりやすい冬は濃いめのラードを少なめに、夏は逆に少し多めに。食べた時に脂を感じすぎないように調整しています」と語る王さん。シンプルなおいしさには、追求されたこだわりが反映されているのだ。
店内には、餃子とともに楽しめる調味料が豊富に揃っている。醤油や酢、こしょうなど代表的なものはもちろん、なんともうれしいのが自家製のラー油。毎日のようにサラダ油とごま油、七味、一味を配合して作っているそうで、適度な辛味が餃子の味を引き立てる。そして『亀戸ぎょうざ』の最大の特徴は、餃子とともにカラシが運ばれてくること。ツンとした辛味のあるカラシが意外にも餃子によく合うのだ。
さまざまな調味料と合わせて餃子を楽しむと、餃子はこんなにも懐の深い食べ物だったのかと感服してしまう。何皿でも食べたくなるシンプルな餃子だからこそ、餃子の新しい魅力に気付くことができた。
全国の餃子好きから注目を集める名店！
食べたいだけ餃子を楽しむことができる『亀戸ぎょうざ 本店』は、平日は地元の住民やサラリーマンが中心だが、休日には全国から餃子好きが足を運ぶという。一体、1日に何個焼いているのだろうか。
「平日は1万個、休日は2万個ほど焼いています。男性の方で4〜5皿、女性の方だと3〜4皿ほど食べる方が多いです。多い人で30〜40皿食べる人もいますね。餃子で有名な静岡県や栃木県から食べにきてくれる方も多いんです」
70年もの間、亀戸から愛されてきた『亀戸ぎょうざ 本店』。餃子を通して亀戸を活気付け、“亀戸といえば餃子”の文化を作ってきた。地方から訪れる人も多い名店でありながら、地元の常連さんも多いという。
「このお客さんは何皿食べるか、どんなドリンクが好きかは自然と覚えてしまいますね。常連さんを覚えて親切な接客をすると喜んでもらえるし、喜んでいるお客さんの姿を見ると私もうれしくなります」
亀戸を見守り続けてきた老舗餃子屋『亀戸ぎょうざ 本店』。シンプルな餃子の味わいには、『亀戸ぎょうざ』が長年守ってきたこだわりが反映されている。調味料との組み合わせを楽しめば、餃子の新たなおいしさに出会えるだろう。
亀戸ぎょうざ 本店（カメイドギョウザ ホンテン）
住所：東京都江東区亀戸5-3-4／営業時間：11:00～19:40LO／定休日：無／アクセス：JR総武線亀戸駅から徒歩1分
取材・文・撮影＝古澤椋子
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